神戸から、おはようございます。3月も最終週ですね。
最近なんですが、日常的に紙の辞書を引いています。中学生の時以来です。
毎日、手元にある大辞林の適当なページを開いて見開きで2ページじっくり見る習慣にしているんですが、半分以上は知らない言葉であることに驚かされます。これまで言葉を大切にする仕事に関わってきたにもかかわらず、どれほど限られた言葉で話し、書き、考えてきたんだろうと。英単語なんかより日本語単語やんと。反省しながら楽しみつつ、破倫だったり、黙契だったり、そんな言葉があるのねと日々ふむふむしています。(ちなみに「ふむ」は、大辞林では『同輩以下の人に対して、軽く了解・承諾の意を表す語』とされている一方、新明解では『納得(同感・疑問)の気持ちを表す』となっています。ふむ)
いよいよ4月なので、新明解国語辞典で「春」を調べてみると、こんな説明の仕方でした。
① 寒い冬の後、暑い夏の前の、季候の良い季節。雪・氷が溶け、草木が芽を出し、花を開く、三・四・五の三ヶ月。
② [開花期の意から] 最盛期
(新明解国語辞典 第八版より)
豊かですね。シンプルながら、豊かな説明だと感じました。「春ってなに?」と聴かれたときに、↑みたいな話が出来る人になりたいです。
先週の “読んでいる” の中でご紹介した「問いの立て方」の中に、こんな一節がありました。
生きるとは白色の世界を塗る営みだと認めるなら、それは、自分の問いの深さ、懐疑がいかほどのものか、それがそのままその人の人生、生き様となります。
(宮野 公樹「問いの立て方 (ちくま新書)」)
問いの深さを出すための一つの鍵は豊かな語彙と表現だと思っている私にとって、辞書を引くことはすなわち、自分の世界を塗るために色のストックを増やしていくことです。自分が持つ言葉のパレットが自分の世界の彩りの限界になる。言葉が豊かになると、世界がもっと豊かになって、自身が持つ問いは深く広く、併せてアイディアや考えが豊かになっていくでしょう。
春の風景を豊かにしてくれるのは、木々の芽吹きや花々だけではなく、皆さんの本棚に眠る辞書なのかもしれません。一緒に語彙を豊かにしていきましょう。おすすめです、辞書をまったり見る習慣。
生活は言語によって支えられ、われわれの思考と内省は言語によって深まる。
(新明解国語辞典 第四版序文より)
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ここからは、私が今週観たものや聴いたものなんかを紹介していきます。
✏️読んだ/読んでいる
📃記事
気候操作にドローンを使うUAE:雨不足に苦しむアラブ首長国連邦(UAE)は、雲にドローンを飛ばしその中で放電させることで雨を降らせると。既に人工的な雲の生成技術の開発に取り組んでいる同国。周辺国との関係性にも変化を生み出しうる技術だ。 (Link)
地球を生む土地・アイスランド:活火山であるファグラダルスフィヤルが噴火。 (Link)
火星の海は地殻に取り込まれた:火星の表面にあった水は宇宙空間に放出されたとの説が従来は一般的だったものの、シミュレーションをベースにした新研究では、30-99%の水分が火星の近くに取り込まれたのでは、とのこと。ほぇぇ。 (Link)
赦しを忘れた社会:Teen VogueのAlexi McCammondさんが過去アジア人を揶揄したTweetしたことを謝罪したものの、炎上が続く。そんなにかっかして、人はどこにいこうというのか。何をしようというのか。 (Link)
シリコンバレー時代の終焉:4つの要因(苦手なライフサイエンス領域の伸長、欧州を始めとするビッグテックへの規制強化、気候変動対策の本質的ローカリティ、安価な資本に支えられた賭博型経済の衰退)が、シリコンバレーの時代を終わらせると。DeepL翻訳でも良いので、ざざっとみてみるのはいかがでしょう。 (Link)
世界中のホームオフィスを覗き見しよう:イラン、キルギス、韓国、南アフリカ、メキシコ、フィリピン、タイ、、、いろんな国の、普通の市民がどんな風にWFHしているのか。Rest of the World 大好きメディア。 (Link)
稼働率低下に苦しむWeWork:リモートワークが広がったことで、2020年頭に70%を超えていたオフィス稼働率が年末には47%にまで低下。設備投資を22億ドル→0.5億ドルに抑えたものの、年間収益は32億ドルの赤字。苦しい。 (Link)
John Maedaの2021 CX Report:SXSWにあわせて毎年公開される恒例レポート。本論ではないとは思いつつ、JusticeやResilienceの図解がわかりやすくて好きでした。解説動画もあるのでぜひ。 (Link)
言葉は、文章はあなたの作品だ:英語での文章書き方講座メモですが、日本語にも共通する要素がたくさん。明瞭で正確な言葉を書くこと。 “Every word should serve a purpose. Every sentence should make you want to read the next one.”ですって。BCG時代に、文章がRedundantとのフィードバックをもらい続けた私に突き刺さります… (Link)
藤井二冠の4一銀:素人の私でも分かる、とんでもない手でした。「…今回は『人なら必ず指す手(▲8四飛)』があり、その上に『人には絶対指せない手』が示されて、しかもそれを人が指した」。AIどうこうは脇に置いて、本当に美しい一手。横歩取りの名局でした。 (Link)
📙本
イタリア人の働き方:イタリアはOECD加盟国の中で、中小企業の数がアメリカに次ぐ2位で、日本よりも全然多い。(2017年データ。ちなみに3位ブラジル、4位トルコ。)「イタリア人はじめ南欧の人は怠け者」というステレオタイプを持つ人は多いですが、はてさて実態は。 (Link)
ゲッベルスと私──ナチ宣伝相秘書の独白:ナチスのプロパガンダを積極的に広め、ナチ党の勢力拡大に貢献したヨーゼフ・ゲッベルス。その秘書を務めた女性、ポムゼルさんの独白ドキュメンタリー。映画にもなっています。責任とは、と考えさせられる書籍。 (Link)
🎥観た/観ている
Ancient Earth globe:過去数億年単位で歴史を遡り、そのときの地球の様子をシミュレーションできるサイト。すべての時代の地球が美しかったです。 (Link)
Skuawk:Unsplashをはじめ、フリー写真がダウンロードできるサイトは多くあれど、Skuawkに掲載されている画像の素敵さは群を抜いている印象があります。 (Link)
ルーブル美術館の収蔵作品:全所蔵品約50万点をオンライン無料公開することを発表したルーブル美術館。既に相当の作品の画像がLink先に掲載されています。 (Link)
アスリートが「書く」意味:為末大さんのYoutubeチャンネルから。身体を上手く扱うためにも正しい言葉と思考が必要で、そのためには書き、残し、見てみることが有効だよと。自分自身、このニュースレターも、自分の思考を整理するよい場になっているなと感じています。 (Link)
(先週あたりから、NHKのドキュメンタリーばかり取り上げています。NHKオンデマンドでドキュメンタリーを毎日1本見るようにしていて、これは万人におすすめできる習慣です)
奇跡のレッスン「スピードスケート 清水宏保」:コーチたちが、どんな態度、どんな言葉で学生と向き合うのか。「1つのことに真剣に取り組むことはその後にも役立つ」は本当にその通りだと思っていて、奇跡のレッスンは、それを教えてくれる本当にいい番組。サーシャ・バインさんの回と、ボビー・バレンタインの回は何度も見ています。 (Link)
ヒューマニエンス 40億年のたくらみ「“ダンス” ヒトはなぜ踊るのか」:どんな時代も、どんな民族も、人類はみな踊る。リズムという多義的な言葉。踊る動物。言葉偏重で、人は大事な何かを失った気もします。自分の生活が言語に依りすぎている気もしており、身体活動・表現の根源性に目を向けてみようと思いました。踊ろう (Link)
BS世界のドキュメンタリー「キューバ 野球の島の物語」:メジャーリーグで人種差別があったことが、キューバ野球のレベルが上がった一つの要因だったんですね。どんなに悪いことにも、良い側面がある。何かを得られなくても、少なくともその機会費用は得られている、を感じるドキュメンタリーでした。 (Link)
100分de名著 アルベール・カミュ “ペスト”:こんな時代だからこそ。ペストは人の心の中にある。不条理は人の心の中にある。この全4回シリーズを見るためだけにでもNHKオンデマンド加入して欲しいです。2018年の作品で、今年の5月には消されちゃうらしいので。 (Link)
📻聴いた/聴いている
Noisli:集中して作業をするなら自然音。一定時間は無料だし、好きな音にカスタマイズできるのが素敵です。 (Link)
🧩感じた/感じている
環世界の世界観に共感しつつあります。種単位ではなく、個人単位でも生きている世界は違うのかもしれない。物理的に同じ空間にはいつつも、感知しているものがあまりに異なる。
テニスや将棋などの勝負事において、「目の前の勝負に拘ること」と「個として更に成長すること」のバランスをどう取るかには世界観が強く染み出る。
Who am I being? の問いと向き合える人でありたい。
運転があまり上手くないテスラを見かけると残念な気持ちになる。バイクで言えばドゥカティも同様。
食べて寝て、水をしっかり飲んでストレッチ。健康の基本。
覚えていて悲しんでいるより、忘れて微笑んでいる方がいい。
🍵今の関心事
ミャンマーや豪州、アイスランド、イエメン、モザンビーク、ブラジル、それぞれ別の何かと戦っているなかで、物事はどこに向かうのか
中国語とスペイン語、40歳の時に一定理解し話せるようになるには、これから1年間どんな時間の使い方をするのが良いのか
体の軸を安定させるためのアンテナをどんなところに設置するのが良いのか
GoPro Hero9の素敵な使いどころはどこか
人は神や仏を想定することなく聖者になれるのか
次の半年、1年、3年、10年のために何を仕込むのか、何を諦めるのか
🥑活動報告
3月納品の大きめ高負荷お仕事をなんとかやりきりました。今日から3日間は勝手にプチ休暇気分で、頭の疲れと体の疲れのバランスをとるためにも、たっぷり体を動かそうと思っています。連絡が遅れてしまったら、ごめんなさい。
Adobe Premier Proの使い方勉強を1から始めました。公式チュートリアルやUdemyなんかをちょこちょこみていて、GoProで撮った動画の編集で練習してみようかなと思っています。楽しいです。
テニスの初心者大会に出てきたんですが、とても楽しかったです。友達もたくさん出来ました。嬉しいです。
何度かここに記載してきた書籍の発売、たぶん4/23です。情報収集やリサーチをテーマにしたもので、オフィスワーカーの人はもちろん、就職活動や研究にいそしむ学生さんのためにもなるんじゃないか、なるといいな、と思っています。公開できるものが何かしら出てきたらご案内するので、予約してね。
みなさんの、読んで面白かったものや考えていることなんかも、ぜひコメントやメール、SNSなんかで教えてください。