おはようございます。今日も神戸からお届けしています。
登録してくださっている249名の方、いつもありがとうございます。各種URLからこちらに行き着いた方、↓から登録頂くと月曜朝に無料でお届けします。
たいがいのことは思い通りにいかない。それを最初に実感したのは中学生の時で、自分の身体の不条理さにずいぶんと悩まされた。
一つ目は眼のこと。勉強そっちのけで野球をしていた私は両目とも視力1.5、春になると宙を舞う花粉のひとつひとつをくっきりと捉えることが出来た。しかし中学2年生の冬、突然遠くが見えなくなり、測ってみると視力が0.3まで落ちていた。y=tanθを90度傾けたような視力推移となっており、眼鏡がないとこの文章を紡ぐことも出来ない。
もう一つは髪の毛。中学3年生の数学授業中にうんうんと考えながら頭をかいていたら、ノートにパラパラ髪が落ちてきたことをはっきりと覚えている。なんじゃこらと手で払い続け、授業が終わる頃には机の周りが抜けた髪の毛だらけになっていた。そんな感じの日が1週間も続くと硬貨大の脱毛箇所が目立つようになってきて、2週間後にはむしろ髪の毛がある場所のほうが少なくなってしまった。「脱毛している箇所が円形でなくても円形脱毛症と診断される」人生で初めて触れた呼称の標準化例だ。(いま調べると、多発型あるいは全頭型というのがあるようだ)
薬もいくつか飲んだがそれほど効かなかった。目が悪くなったときには「ゲームの時間を減らしなさい」「眼鏡を買わなきゃね」などと気軽に言っていた親も、髪の毛がなくなるといよいよ心配になるらしい(そらそうだ)。思い切って全部剃ってしまう、カツラをかぶるみたいな案も出たが、結局そのままにした。それをしたところで何かが解決するわけでもないねと話した気がする。(そもそもこの場合の解決とはなんだろうか)自分の身体でさえ、思い通りにはならない。
面白かったのは、そのときの私は概ね体調が良かったことだ。もちろん痛みはないし、食欲もあったし、夜も快適に寝られていた。特にストレスを自覚していたわけでもない。自身が自覚する健康状態と、傍目から見る私の健康状態にはずいぶん大きなギャップがあった。大丈夫だよと周りに伝えたとしても、「そうはいってもストレスがあるんでしょう」「何かあったら何でも言ってね」など不要な優しさを助長してしまった。周りの反応も、思い通りにならない。
健康で特にやめる理由はなかったので、野球はずっと続けていた。投手だったので、試合であたる打者からすると「ほとんど髪の毛がない眼鏡」といういかにも弱者の球を打つことになる。さぞやりにくかったことだろう。県大会で上位にいくような強豪校の生徒たちでさえ、無意識のうちに病人を気遣う気持ちが動きからにじみ出ていた気がする(実際ずいぶんと勝率がよかった)。
思い通りにならないとき、人はたいがいイライラする。しかもその対象が比較的扱いやすそうな身近なもの(物理的なら身体、関係性なら家族など)だったりすると、いっそうその気持ちが募る。学校や職場での新しい役割や関係性、平日・休日それぞれの波、天気・気圧の変動も相まって、この季節は思い通りにならないことが増える気がする。街全体に、負の靄がかかっているのを感じる。
視力が弱くなっていったとき、一つの解決策は眼鏡を使うことだった。先人の知恵、技術の恩恵を受けた。しかし別の解決策として、そもそも目を閉じてゆっくり休むことだってできる。さらには、知人や友人に声で聴くこともできた。なんなら過去の経験・感覚に頼って思いっきり体を動かすこともできる(実際、試合中に眼鏡が壊れ、ほぼ1試合を視力0.1の裸眼で投げきったこともある)
思い通りにならないとき、社会や技術が救ってくれることもある。でも、誰かに助けてもらうことのみを解決策にして、手綱を手放す必要はない。結局のところ、自分を救えるのは自分だけだと思う。
最後に一つだけ加えることがあるとすると、これがどれだけ生存者バイアスだと言われようと、私の中学生時代は自由で充実した時間だった。思い通りになったことはほとんどなかったけれど。
✏️読んだ/読んでいる
📃記事
「考える」とは自分の意見を持つことではなく、自分の意見をいったん「捨てる」こと。:考え事をすると毎度「自分はなんて阿呆なんだろう」と思う。しかしそれが考えるために必要な姿勢なんだと痛感しました。自らを捨て続けよう。 (Books&Apps, link)
オーストラリアを第二の「トランプ国家」にしないために:シドニー大学の政治フェローで“When America Stopped Being Great: A History of the Present”の著者でもあるNick Bryant氏の論考。記事原題は"Don’t America My Australia" (The Atlantic, link)
スタートアップ投資に寒冷期到来か:テックブーム終焉か?と問いかけるQuartzの特集。昨年上場のVC投資先トップ10社の株価はいずれも苦戦中。ロボティクスは一定活況なようですがどうなることやら。 (quartz, link)
藻がPC電源に?:シアノバクテリアが生み出す電流だけで、6カ月以上マイクロプロセッサを動かし続けたと。 (Gigazine, link)
カレーで悪い記憶を洗い流す:The City University of New Yorkの研究チームがマウスを対象に実施した研究で、ウコン/ターメリックに含まれるクルクミンが恐怖感情が脳に定着するのを防ぐ効果があるのではないかと。カレーは飲み物であるだけでなく、無敵食でもありました。 (dailymail, link)
火星で見つかった扉型の穴、隠れ家に繋がっているわけではなさそう:NASAの火星探査機・キュリオシティが撮影した写真の中に↓のような"扉型の穴"が見つかったことでUMA界隈がざわつきましたが、専門家によると「残念ながら自然現象」とのこと。 (gigazine, link)
スリランカ初のデフォルト:40%を超えるインフレ、食料・燃料・医薬品の不足、政治の混乱。次はエジプトか、チュニジアか、パキスタンか。 (the guardian, link)
Bionic Readingで加速する:ほんまやすげぇな。
いま、ウクライナで、笑いについて考える:『私たちのユーモアセンスは格別ですよ、なんていったって、コメディアンを大統領にするんですから』>"I think there are two types of people in the world. There are those who cry after falling, and those who pick themselves up and laugh. We Ukrainians are the second type. Our sense of humor is special. We elected a comedian to be our president, after all." (The Atlantic, link)
📙本
良い戦略 悪い戦略:うんうん頷きながら読める戦略本の名著。戦略は目標ではないんだぞと口酸っぱくいわないと。 (Amazon, link)
迷路の外には何がある?:『チーズはどこへ消えた?』その後を描いた物語。 (Amazon, link)
Play well with Others:副題は"The Surprising Science Behind Why Everything You Know About Relationships Is (Mostly) Wrong"。英語の勉強がてら原著で。ゆっくり読み進めます。 (Amazon, link)
🎥観た/観ている
ザ・シンフォニー・オブ・イラン:作曲家がイラン国内8つの地域を回り、現地の音楽家と交流する。口承文化と共に発展した楽器、ドタールの音が美しい。音と生はともにある。 (Asiandocs, link)
美容室:イスラエル北部ハイファにあるアラブ地区の小さな美容室で、髪を洗いながら、女性同士、政治や生活、信仰、差別などについて話をするドキュメンタリー。すごく良い。NHKの『72時間』のように、生活の中にこそドラマがある。「政治や指導者と関係なく、人同士は繋がることができる」と。40分と短め、おすすめです。 (Asiandocs, link)
光計画:台湾に追いやられた中華民国政府が、旧日本軍の人材を招き入れつつ大陸への反攻をしようとしていた、それが光計画。『光源を変えれば、物事の見え方をコントロールできる』冒頭の言葉にやられる。いまも壁に刻まれる "Freedome is not free"の文字。米国から中国白書が出た1949年8月5日、蒋介石は何を思い、"雪恥"から始まる日記を書いたのか。米中日の狭間で翻弄された台湾という地域。向こう5年で何が起きるのかを考え続けた105分でした。 (Asiandocs, link)
Web Design History Timeline:Adobe Photoshop、すんごいやんけ。 (link)
📻聴いた/聴いている
『云/鬼 呼 生 - たま〽よび〽いく - 』DJ KRUSH feat.志人:Creepy Nutsのオールナイトニッポン、日本語ラップ紹介のコーナーで出てきた曲。すんげえな。 (youtube, link)
🧩感じた/感じている
カバーストーリーは非丁寧語で書いた方がすらすら言葉が出てくる。
結果が出ないときに作業に逃げてはいけない。作業をしていることを言い訳にしてはいけない。どんなときも創造的に、結果を、アウトカムを追求しなくてはいけない。
Acknowledge/認識とRecognition/承認、は明確に異なる概念であり、「気づいていたのに何も言わなかったんだから同意していたはずだ」とするのは権力の濫用。
燃え殻さんのエッセイがすばらしい。
お節介に、相手のジョブは何かを考え続けることが価値になる。
去り際にこそ人間性、会社としての価値観が出る。
🍵今の関心事
今日から水曜までの東京出張、誰と会うか?/何をするか?
🥑活動報告
5/16月:久しぶりに近所の美味しいパン屋さんにいく。レジ周りがボトルネックでスタッフさんも客もぴりついているのでいつか改善提案をしてなめらかな場にしたい。短歌集を仕事の合間に読み心を落ち着ける。
5/17火:向こう3ヶ月しっかりご一緒する予定の企業さん向けに提案書を書く。頭を使う時間は楽しい。妻に「最近姿勢が良くなったね」と言われる。確かに腰痛がほとんどなくなった。
5/18水:先週出した提案書が予想外に顧客受けが良かったようで、来週・再来週が忙しくなることが決定。息を止めて走るぞ。久しぶりに中規模くらいの会食。対面で会うのは楽しい。
5/19木:お客さん都合で3ヶ月遅れになっていたリサーチ案件に手をつけ始める。一度火を落としてしまったので、やる気・元気の再加熱に時間がかかりそう。過去関わっていた業界関連で、外資コンサルのチームからインタビューを受ける。どうにも要領を受けない人たちだった。
5/20金:国際コーチング資格の申請が始まるので書類を準備しつつ出願を考える。何ヶ月か前に登録しておいたTodoist項目が私を助けてくれる。
5/21土:自身の思考整理がてら、少し先の講演資料を作り始める。考え事をするときには、信頼する誰かに向けた語りかけるようにロジック・ストーリーを組んでいくことにしている。たいがい上手くいくが、今回はどうか。
5/22日:早起きして朝仕事、昼テニス、夕方から東京へ移動。
よろしければ、Likeやコメントをお願いします。Twitterのフォローもぜひ。
今週もHappy Weekを✨✨