おはようございます。今日も神戸からお届けしています。
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そこかしこで聞きます自己肯定感。周りでも口にする人が増えてきた概念です。今日はざっくりいうと、「自己肯定というより自己受容でどうですか?」というテーマで書きたいと思います。
そもそもこの自己肯定感とは、
自らの在り方を積極的に評価できる感情、自らの価値や存在意義を肯定できる感情などを意味する言葉(Wikipedia)
らしいのですが、評価する対象が「在り方」だということは一つ大事なポイントだと思います。在り方は、そんなに簡単に変化しない。「推しに会えたから自己肯定感上がった」「仕事が上手くいかない、自己肯定感下がるわ」そんな簡単に上下するものを、自己肯定感とは言わないのではないか、というのが私の違和感です。幼児期ならまだしも、一定の自己スキーマが形成された後には、褒められたから高まる、怒られたから下がる、みたいな高感応度のものではないはずで。みなが自己肯定感と呼ぶもの、それはただの情動であり、気分では?
「自己肯定感を高めよう!」と声高に叫ぶ多くの人は、それに反応する情動ベース行動層and/or日常満足度が低い層を自らの利のためにスクリーニングしているだけ、というのが私の理解で、もっとも忌み嫌うべき活動だと勝手に判断しています。
自己肯定感にまつわる問題、対象とする事象とネーミングの間のギャップにその根源にあり、個人的には"自己受容感"の方が収まりがいいと感じています。肯定しようと否定しようと離れられないこの自分という存在をまるごと受け入れること。これこそが自分の存在を肯定することそのものだと。
ここまで書いてきて、ほんまにそうか?言葉というのはいかにも難しいな、と思っています。私自身も迷走中です。
そもそも、自己肯定感が対象とする"自己"とは何かについて最後に。京大人社未来形発信ユニットの出口康夫教授「⾃⼰とは何か:「われわれとしての⾃⼰」とアフターコロナ」で紹介されていた"We-as-self"が私の自己感に近いです。身体の境界で区切った自己に閉じるならば、肯定も否定もないだろうと。しかしWeとして拡大するならば、われわれ性、対話としての自己へと自分を拓くなら、もっと柔らかくも強い自己が立ち上がってくるんじゃないかと感じています。2021年のシーズン2も大好きです。自己に捕らわれている人、拡張しようとしている人、ぜひ見てみてね。
満足する自分も、不満な自分も全部飲み込んで、今週もじっくりやっていきましょう。全体を受容してから人生が始まるのです。エール・篠田さんのこちらのTweetも素敵でした。自己肯定感はダメな自分を許容できること、と。
私の倫理観では、自分という存在は、ディベートみたいに肯定・否定を選択する対象ではない。受け入れて、当然肯定するという前提から始めて、日々を生きていくべきなのです。そのときの自分とは、Weとしての自己なのです。
✏️読んだ/読んでいる
📃記事
仕様、特徴、ソリューション:「時代はソリューションだ!」という人に限って、特徴にもなっていない特徴や仕様を語りたがる傾向を感じます。区別しようね。『設計とは、「はたらき」(=機能・性能)を実現するために、「つくり」(=形状・構造)を決める仕事』という表現のシンプルさと美しさを感じます。 (タイム・コンサルタントの日誌から, link)
"Populist Science"への警鐘:ストーリー作りに頼るあまり歴史的事実や科学を歪曲することに警鐘を鳴らす記事。ユヴァル・ノア・ハラリを「科学ポピュラリスト」と糾弾します。最近だと『予想通りに不合理』のダン・アリエリーがデータねつ造で糾弾されていたり、こういう指摘がしっかり出てくるのは人類の強さだと思う。 (currentaffairs, link)
宇宙深淵のカラー写真が届いた:NASAのジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡からフルカラー画像が届き、銀河団SMACS 0723に含まれる何千もの銀河が撮影されました。他5枚の写真も公開されているんですが、個人的には南のリング星雲が美しくて好きです。ステファンの五つ子銀河も圧巻。(NASA, link)
パイプカット界のインフルエンサーたち:米国での中絶違法化関連の動きの中で、男性のパイプカットを推進する医師たちに脚光が当たっています。30代以下女性のパートナーでパイプカット実施率は3%、中高年女性でも18%に留まると言います。まだ社会的抵抗の大きいテーマ、変革の光は当たるか。 (Atlantic, link)
アフリカ若年層の5割以上が国を脱出したい:アフリカの18歳~24歳の半数以上が、政府が自分たちの生活の質を改善する行動を取らないなら今後3年以内に移住を検討する可能性があると。ナイジェリアやザンビアでは国が誤った方向に向かっていると考える人が9割。仕事も十分ではない。不信感は根深い。 (quartz, link)
マインドフルネスで痛みが30%和らぐ:UCサンディエゴの研究。マインドフルネスを実践すると、脳部位の中で"痛み感覚"と"自己感”の間のやりとりが阻害される(ある意味での客観化/客体化)ため、痛み感覚や苦痛が減るよと。びっくり。 (ucsdnews, link)
一方で、虫だって痛いんだぞ:英国王立協会紀要Bに掲載された論文で、「中枢神経系が発達していない」「雄カマキリは抵抗せずに雌に食べられているじゃないか」と言った従来説に対して、神経ペプチドが痛みの抑制に効いているだけで、それが産出されるほどには痛みが発生しているのかも知れないと主張しています。実験などでの動物倫理配慮のハードルは今後更に高くなりそう。 (gigazine, link)
Uberから12万件を超える社内資料がリーク:同社のロビー活動の実態が明るみに出るにつけ、飛び火したフランス・マクロン大統領にも非難の声が高まっています。 (guardian, link)
Inner Accountabilityを考える:多分にふんわりしたエッセイ。”We must transform ourselves to transform the world."に強く同意です。私たちがもっとしなやかに、強くならなくては。自分を変えるのは簡単ではないけど。 (yesmagazine, link)
eバイクが起こす個人の移動革命:2020年の研究。電動自転車を買った人は自転車での移動距離が1日平均2.1km→9.2kmへと増加し、全交通機関に占める自転車の割合が17%→49%に増加したと。運動しようや。 (Transportation Research Part D: Transport and Environment, link)
ドーパミン駆動型社会を健康に生き抜くために:オンライン・オフライン問わず、衣食住を含むあらゆる製品・サービスが私たちのFOMO(Fear of Missing Out)を刺激しようとしてきます。対抗して、グループでソーシャルメディア利用を制限したりハイキングに行ったり、そんな取組どうですか?と推奨する記事。好きなトーンでした。深く、意義ある活動をしよう。 (outsideonline, link)
📙本
〈賄賂〉のある暮らし :市場経済化後のカザフスタン:ウィンブルドンの女子シングルスで優勝したリヴァキナ選手はカザフスタン国旗の下で戦っていましたが、生まれも育ちも基本はロシア。そういう関係性の国だと思うといろいろ繋がるところがある不思議。 (Amazon, link)
なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない:ジョッキーと馬の例えは秀逸だなと。よくある4つの処方箋、どれかに頼り切ってはいないか?心を亡くした方が上手く生きていける、亡くさないと生きていけない場があるとしたら、それは何かが間違っているはずだ、と改めて思います。取り戻そう。生きよう。 (Amazon, link)
🎥観た/観ている
ジョコビッチ、ウィンブルドン優勝後のオンコートインタビュー:キリオスと公式に仲直り、楽しいウィンブルドンの思い出、結婚記念日を思い出させてくれるインタビュワー。素敵な6分間でした。 (youtube, link)
メコン川の命脈:上流のラオスで建設中のサヤブリダム、そこで行われる発電試験の度に水位が変化し魚が捕れなくなったタイ北部の街・チェンカーンを舞台に。網を放った後に船の上で煙草を吸う姿に人生をみる。「新しい国境 新しい地政学」でも語られていましたが、複数国に跨がる河川の水利問題は深刻。上記ダムは中国資本、米国調査会社も中国がメコン川上流で水をせき止めていた事実を指摘しています。 (asiandocs, link)
いのちの闘争―故郷コバニを守るために―:トルコのシリア国境近くにあるクルド人難民キャンプでISISに抵抗する人々を描く。「ISIS支配からの解放は、女性が自由になるための戦いでもある」切実さが溢れている。戦闘後の街から立ち上る煙、不発弾まで案内してくれる子供たち。後半の、高らかに声を上げるレジスタンス運動に心打たれました。「自由は思考の中にあり、女性の真の美しさは自由の中にある」その通りだ。ちょうどトルコ国籍クルド人の難民認定のお話しもあり。 (asiandocs, link)
🧩感じた/感じている
スリランカでも、中国でも、モザンビークでも、民衆が拳を振り上げている。
善悪は別にして、"社会" "政治" "国"に対する期待値がほぼ0付近で推移しており何が起きても「ま、そういうもんでしょ」と思うようになっている。
substackのemail length limitがすぐ来る。よって感じたことを書くスペースが少ない。
「人間、なんて不具合の多い生物なんだ」と感じる瞬間・事象が大好きだ。ままならない自分・他人・集団、全てが面白い。
"水曜日の湯葉"先週号の火星居住に関する考察と選挙制度への所感コメントが素晴らしかった。
🍵今の関心事
Cobe Associe4期目をどう締めて5期目に踏み出すか。
自分たちが社会に提示すべき価値観はどのようなものか。
そのときの社会とは果たして何を意味するか。
🥑活動報告
7/11月:自社Webをリニューアルしてもらったのに合わせて色々コンテンツ登録。年末くらいからが繁忙期なのでそのタイミングで見つけてもらいやすいように色々仕込んでおくのが大事。
7/12火:社会変化兆候調査の第10回を公開。新聞・テレビで大きく報道されるもの以外にも大事で面白い変化兆候は起きているんだぞと声を大にして伝えていきたい。1年ぶりに枕の中身を入れ替えたらふかふかで気持ち良い。
7/13水:久しぶりの講演系お仕事に出たところ日焼けの黒さにびっくりされる。週末はだいたい外にいるので日焼け止めもほぼ無力、順調に肌を痛めつけているんだなと実感。夜テニススクールに行ったところ部活メニューでふくらはぎがつる。歳だ。
7/14木:神戸は強い雨。王位戦の棋譜を見て藤井先生の強さに改めて驚く。
7/15金:久しぶりの単発メンタリングお仕事。私に何を期待してもらっているのかわからないが、確かにバラバラの物事を整理・構造化し、リサーチで残りのピースを埋めるとだいたいのことは意思決定できる。決断を含めて、だが。
7/16土:たまりに貯まった積ん読に手をつけて、思いもよらず目の前の仕事に繋がる。読書はこういう出会いがあるから楽しい。大学講座の小テストを3つ受ける。設問文の言葉遣いにいちいち突っかかって誤答。悲しい。
7/17日:1週間の疲れを全てテニス大会にぶつける。めちゃ暑の中で優勝できた。気持ちよくご一緒できる相手とやるとスポーツは楽しい。