神戸からおはようございます。このニュースレターはいま340名の方が登録してくださっています。いつもありがとうございます。
私、20年来の円形脱毛症もちでして、特に忙しいときは顕著に髪の毛が抜けていきます。つまり今です。(なお、私はとても元気です)
死に至るものでもないし、痛みや痒みもないんですがこちら一応疾患とのことで、日本皮膚科学会から診療ガイドラインも出ており、曰く、"医療機関の皮膚科を受診する脱毛疾患の中では最も頻度が高く,治療に難渋する"とのこと。難渋するのか。お薬でいうと、リリーから出ているオルミエント(一般名 バリシチニブ)が昨年適用に。あとファイザーも昨年8月に新薬・リトレシチニブの製造販売承認申請を出しています。ちょっとでも治療の幅が広がるのであれば、良いことですね。
先日お仕事相手の仲良しさんと雑談がてら『いや〜髪の毛って気軽に抜けますね!』と↑の話をしていたら、「すいません、、、責任を感じています、、、」と返されてしまい、"責任…??"というものについて考える機会になりました。ウィッグなどを扱うスヴェンソン社のまとめによると、円形脱毛との関連が指摘されている要素として、自己免疫・アトピー素因・ストレス・遺伝などが指摘されていて、その方は私に全くストレスを与えていないので、私の自己免疫を隠れて攻撃していたのだろうか。(なお、私はとても元気です)
そもそも責任とはなんでしょう。考える度によくわからない気持ちになります。「感がある」と評価され、減給や辞職で「取る」ことを表現し、「果たす」となんかやりきった感がでる。みんな大好きSDGsの12番目に「つくる責任、つかう責任」がねじ込まれ、反社会性パーソナリティ障害の特徴として「無責任性:しばしば社会的、金銭的に無責任で、結果、"機会があっても職を求めない"、"請求書の支払いをしなかったりローン返済を怠ったりする"、"子どもの養育費を支払わない"などを行うことがある」と書かれたり。無責任なのも病なのか。
私は「ご冗談でしょう,ファインマンさん」のなかで、物理学の巨人、リチャード・ファインマンが"積極的無責任”の姿勢を取り始めるシーンが好きです。マンハッタン計画に貢献した若き天才物理学者としてもてはやされ、様々な会議やイベントに招待されるようになると途端に思考・仕事のパフォーマンスが下がってきたと。そんな中、自身にも「結局、物事の責任を個人で取りきるのは不可能だ」と認識して、他人からの依頼に対して「私はそのテーマについて責任を取れないよ」と積極的に伝え続けていたら、自然にパフォーマンスが回復していったよ、という話だった記憶。
これだけ科学が発展しても円形脱毛症の原因も特定できないし、責任を厳密に定義したり測定することもできないし(だからこそ、柞刈湯葉さんのSF短編「東京都交通安全責任課」はおもしろい)、どうにも出来ないことはそのままにするに限る。心配してくれる人に笑顔を返しつつ、ユーモアを蓄えておくことに力を割きたいなと思っています。
ちなみに、過去の働きヒストリーを鑑みると、仕事による疲れや体調の悪さを象徴する身体状況・振る舞いを軽い方から並べると、
レベル1:ぬいぐるみと遊ぶ時間が増える
レベル2:髪の毛が抜ける
レベル3:寝付きが悪くなる
レベル4:まぶたがぴくつく(片目→両目)
レベル5:1日1つ忘れ物をする/無くす
です。レベル5から実害が生まれるので、レベル2のここで食い止めてみせます。
✏️読んだ/読んでいる
📃記事
米大学が公開した大学生必読書籍たち:古典をじっくり読む教育法・Great Books curriculumを実践するセント・ジョンズ・カレッジが大学生におすすめの本リストを公開。ほとんど読んだことがない本でして、手を伸ばしたいなと思う一方、糸井重里さんの"よそ行きの読書をやめました"を読んで、自分らしく楽しそうな本からまずはいくか、と心を落ち着けています。 (gigazine, link)
最初は全然しっくりこなくて、んんん? と思いながら読んでいたとしても、あるときふと自分にとっての接点が分かれば、読書はもっと自由になるってこと。そう思うと、なんだか、気がラクになりませんか? (link)
科学会におけるリーダーシップを考える:「間違うことは悪いことではない/There is nothing wrong with being wrong」って素敵な表明。オーナーシップを持つことからすべてが始まる。 (nature, link)
戦略的であるとはどういうことか:元Googleでチームを率いたDimitri Glazkov氏は、戦略的であるを「自分の行動によってもたらされる結果が、自分の意図と食い違っていないこと」と定義します。そのための実践として、まずは自身の意志を確かめなければいけないと語っていて、市場だ競合だを分析すれば戦略がぽんっと出てくると勘違いしている多くの人に読ませたい記事だと思いました。 (every, link)
生物医学分野特化AI・BioGPTをMicrosoft Researchが発表:PubMedの1,500万件のコンテンツで訓練させた結果、人間の専門家のパフォーマンスを上回る成果を出したと。しかもここで使ったモデルのパラメーター数は他モデルよりも2桁ほど小さく、特化型にすることで大規模な一般的言語モデルとも闘いうることを示したと。面白いな。 (arxiv, link)
世界で最も政治が腐敗した国・ソマリア:干ばつに苦しむだけではなく、司法制度から公共サービス、市民社会まで広く汚職が浸透してしまっています。『〈賄賂〉のある暮らし :市場経済化後のカザフスタン』のような本のソマリア版、何年後かに読みたいな。最も汚職が少ないアフリカ国家はセーシェルとボツワナ。あんまり印象がなかったな。 (quartz, link)
超加工食品、高齢者の認知障害に繋がる可能性:炭酸飲料や各種冷凍食品、ファストフードなどの超加工食品の摂取量が異なるグループを8年間フォローしたところ、それらをよく摂取する高齢者は、認知機能の低下が早かったり,認知症発症のリスクが高かったりしたよと。便利なものは、適切な量で。 (Neuroscience News, link)
人生を支える「7つの休息」:↓に書いたすべてが必要で、どれが欠けてもあかん。物理的休息が足りていても、創造的休息や社会的休息が足りていないと人間は疲弊するぞ。 (Sahil Bloom, link)
物理的休息:睡眠などの受動的なものも、ヨガやストレッチなど能動的なものでも。
精神的休息:仕事や会議の合間にとる短い休憩や瞑想。
感覚的休息:SNSをオフにする、画面や明るい照明から離れるなど。
創造的休息:日の出・日の入や森の散策などで自然に触れたり、美術作品や音楽にふれるなど人工的なものでも。(週3~4回緑地や水辺を訪れるだけで処方薬利用が減るかも、という研究がフィンランドから出ていたり)
心の休息:一人になったり信頼できる人と一緒に、ありのままを追求する。
社会的休息:エネルギーを消耗する人と過ごす時間を減らし、エネルギーを与えてくれる人と過ごす時間を増やす。
魂の休息:ボランティア活動や信仰・信念と繋がる活動に参加したり、自分を超えた大きな存在を感じる。
生産性負債に追われる人生で良いのか:「Todo(これをやらなきゃ)」をこなすばかりの生活、確かに目先では楽かもしれないけど、過酷さ・不愉快さと一生をともにすることになるぞと。むしろ、達成したことリストとともに1日を終えることを提案するこの記事。先週月曜配信のLobsterrのカバーストーリーでも「生産性を上げた最適化された人生」というコンセプト自体がむしろ人間を苦しめていると語られていました。自分の人生を生きよう。 (Oliver Burkeman, link)
他人の声を気にする脳を飼い慣らす:記事原題が"Taming the Mammoth: Why You Should Stop Caring What Other People Think"。↑の記事と同じ文脈で、うんうん言いながら読みました。 (Wait but Why, link)
麻雀=人生の縮図:1年くらい前からオンラインで麻雀を始めたんですが、リーチをかけた捨牌で親に放銃する度に「これぞ人生…」と口ずさんでいます。確率・期待値を考える麻雀も人生。運要素ゼロで自分・相手の人間存在と徹底して向き合う将棋も人生。 (Books&Apps, link)
📙本
ガラスの街:次のPodcast課題本。「現代アメリカ文学の旗手、ポール・オースターの記念すべき小説第一作!」とのことなんですが、無知な私はまっさらな状態で作品と向き合いました。言葉と世界が一つのテーマ、自分の探求課題とばっちりハマっていて、大好きな作品でした。 (Amazon, link)
どこでもいいからどこかへ行きたい:phaさんが書いた旅エッセイ。Amazonの書籍紹介にある「場所が変われば、考え方が変わる。気持ちが変わる。大事なの
は、日常から距離をとること」を読み、改めて「よっしゃ世界旅行行くぞ」と決意した次第です。 (Amazon, link)
三体0 球状閃電:三体すべて読んでいる、さらにRebuildでhakさんがお勧めしていたので、読まないわけにはいかない課題図書です。 (Amazon, link)
📻観た/聴いた
データアーディスト/デザイナー・Nicholas Rougeux:すてきやん。↓の数式や鉱物系、植物なんかのデータをアートに昇華している。すごい。 (link)
🧩感じた/感じている
三菱重工/MSJまわりのごたごたをみるにつけ、自身は損切りが出来る人間でありたい。(nikkei, link)
「明日やろうは馬鹿野郎」と「明日出来ることは今日やらない」の両方を実践して生きていく。
自分を肯定するために誰かを否定する必要はない。誰かを否定することで自分が肯定されるわけではない。
やなせたかしさんが言ったように、逆転しない正義は愛と献身。
🍵今の関心事
何をつくる人になるか。米一粒でも、釘一本でも、結局つくる人が偉い。
🥑活動報告
明日で34歳になります。キリストや土方歳三が死没したのが34歳。宮本茂がゼルダの伝説をリリースしたのも、久石譲が風の谷のナウシカの音楽を担当したのも34歳ということで、よっしゃ一発やるぞ、という気持ちになっています。
今週も、Happy Weekを:-)