神戸からおはようございます。このニュースレターはいま344名の方が登録してくださっています。いつもありがとうございます。
年々、「こういうのを書きたかった」を思う文章に出会うことが増えています。CDI・石井光太郎さんの『会社という迷宮―経営者の眠れぬ夜のために』は内容の密度もさることながら言葉の使い方というか論理展開が魅力的で、自社では候補者の方にこの本を送って「どうだった?」から始まる読書採用をしようとまで思っています。そのほかにも、サンキュータツオさんの随筆集『これやこの』やphaさんの旅エッセイ『どこでもいいからどこかへ行きたい』は、過去でも未来でもなくいま触れることが出来て良かったなと思える本で、こんな言葉を紡ぎ出したいなと憧れの源泉にもなっています。
最近ポッドキャストの課題本として読んだポール・オースターの『ガラスの街』も、言葉のすすみがあまりに滑らかで、翻訳本ということを忘れて没頭してしまいました。書き出しから、
そもそものはじまりは間違い電話だった。真夜中にベルが三度鳴り、向こう側の声が、彼ではない誰かを求めてきたのだ。ずっとあとになって、自分の身に起きたさまざまなことを考えられるようになったとき、彼は結局、偶然以外何ひとつリアルなものはないのだ、と結論を下すことになる。だがそれはずっと先のことだ。はじめはただ単に出来事があり、その帰結があった、それだけだ。違った展開になっていた可能性はあるのか、それともその知らない人間の口から発せられた最初の一言ですべては決まったのか、それは問題ではない。問題は物語それ自体であり、物語に何か意味があるかどうかは、物語の語るべきところではない。
(ポール・オースター著、柴田元幸訳『ガラスの街(新潮文庫)』)
なんだこの吸引力は。著者ポール・オースターの魅力はもちろん、翻訳者・柴田元幸先生の力に圧倒されました。アメリカ文学の専門家で東京大学名誉教授、村上春樹とも親交があり共著で『本当の翻訳の話をしよう』も出されています。(この本もとても良い書籍です)
『ガラスの街』では、"言語と世界の対応"が一つのテーマなのですが(自分の子どもに無垢な/神の言葉を話させることで世界を再創造しようとするおっさんが登場します)、私は「つかう/捉える言葉の射程の広さ」と「世界認識の広さ/深さ」は緩やかに比例すると考えています。新卒の時にBCGを就職先に選んだのも、会った社員さんが使う言葉の多様さと練度、そこで描かれる世界認識が自分にフィットしたからです。自分の身の丈に合わない言葉を使い、自らを大きく見せたがる大人がいかに多いことか。それこそ、先週書いたステータスゲームの一環ですね。
改めて、自分の中に素敵な辞書を持ちたいものです。言葉は、この複雑な世界を渡っていく船なので。三浦しをんさんの『舟を編む』も再読しなきゃ。
✏️読んだ/読んでいる
📃記事
人間の平均寿命はわずか4,000週:私はこれまで1,775週を生きてきました。①週間単位で生産性高く生きることを考えるのはなんとも無味乾燥で、もっと大きな視点で時間の使い方を考えなきゃ。時間的主権を取り戻そう。孤独になろう。戦略的未達成を愛そう。 (leebyron, link)
しっかりした睡眠は学業成功の秘訣:米カーネギーメロン大学の研究。睡眠時間が6時間を切ると学習成績にマイナスの影響が蓄積されていくと。仕事も一緒じゃ。徹夜勉強よりもじっくり寝ることの方が大事よ。 (CMU.edu, link)
肥満=疾患そのものと考えられつつある:既存の糖尿病治療薬が体重減少に効くのでは?となったことで、保険適用や子ども・若年層への影響について議論が盛り上がっています。ボディポジティブ??社会の捉え方は逆の方向へ動き出したようです。 (Axios, link)
英国大規模実験→もう週休3日でええやんけ:22年6月から半年間行われた大規模研究で、導入企業の従業員はより幸福に、生産性も高く、離職・病欠も少なく、そして企業は収益が増加したと。参加した企業の9割以上の会社が週休3日制を高級化することを発表。集中して働き、楽しく休もう。 (Positive News, link)
練習は単なる反復よりも多様なものがよい:生産性改善のための大好きなニュースレターの一つ。単一のフォームを延々と練習するよりも他の動き方に混ぜてそのフォームを練習する方がいいんだと。私のテニス練習習慣が変わりそうです。元記事のビジュアルもいいですね。 (Effective habits, link)
AI搭載のF-16戦闘機が自律制御飛行テストに成功:米DARPAが13日に発表。2019年から続いているプロジェクトで、従来の空中戦を一新する技術になるとのこと。 (gigazine, link)
生成AIの未来:米VC・セコイアの記事。2030年にはプロより良い文章が生まれると。楽しみだ。Axiosの “人間とAIの分業”記事も良かったです。 (sequoia, link)
常識を打ち破る「オルタナティブ義肢」ムーブメント:従来の身体に馴染ませるだけが義肢の役割ではないんだと。第三の親指、いいやんけ。ダイエットや筋トレ、なんなら髪型を変えるのだってある種の身体改造なんだよな。 >"ピッツ・テイラー教授によると、社会の誰もが、たとえばある種の髪型をしたり特定の衣服を着たりするように、何らかの身体改造をしたいと思っているという。" (MITテクノロジーレビュー, link)
『考える技法』を学ぶ上で大切なこと:全く本質だ。>"データ収集とは体感的な行為である。そしてデータに基づく分析もモデル化も思考も、身体的行為だ。知能だけの抽象的な行為ではない" (タイム・コンサルタントの日誌から, link)
舵をときおり一度切る:内容も素敵なんですが、このタイトルをみながら、「たまに家事を左右に振って正しく船が動作すること、自身がコントロール能力を失っていないことを確認する仕草って大事だよな」と考えていました。 (脳だけが旅をする, link)
📙本
ステータス・ゲームの心理学: なぜ人は他者より優位に立ちたいのか:まだまだ読み進めています。驚きのファクトがたくさんあって、特にガンジーが人種差別意識もりもりの発言をしていたことにびっくりです。偉人・賢人を崇めるのもある種のステータスゲームであって、そこに普遍性はない。すべての時代・場所における『素晴らしいもの』など存在しない。 (Amazon, link)
三体0 球状閃電:探り探り読んでいます。この本が出たのが約20年前。まだまだ読むべきものがたくさんあるなぁ。 (Amazon, link)
📻観た/聴いた
自社ロゴに個人を組み込む取組:好きです。法人、は幻想だと思っている派なので。 (link)
Pets in the Garden/Finalists:かわいい。> “When I'm out with my camera, my dog Nahia is always with me.” (link)
🧩感じた/感じている
先週のANN55周年記念番組で秋元康さんが言っていた『人生は一筆書き』って良い表現。
『われわれは建物を形作り、その後、建物がわれわれを形づくる』の言葉を残したウィンストン・チャーチルは真実を捉えていた。この記事に出てくる建物の鑑賞方法が素敵でした。
成功に運が必要ならばとにかく打席に立つべきであり、たった数度の失敗や拒絶で足取りを緩めるべきではない。役者がその役柄に起用される理由のうち才能が占める割合でさえたった7%なので。 (link)
なんでもやるなら真剣にやったほうが楽しい。
初手で「こいつあかんわ。」と思った相手があかんくなかったことがない。つまり、あかんものはあかん。あかんくないと思ったけどあかんものはたくさんある。例えば〆鯖。あんなにおいしいのに。
年齢が行く度に、茨木のり子さんの詩が心に突き刺さってくる。
🍵今の関心事
運転の練習をどこでするか(大型SUV×立体駐車場でぐるぐる上っていくのだいぶ怖い→案の定…)
減量の数値目標をどこに置くか。
自社Webページにお客さんの声を出したいのだが、何をどんな手順で準備し、お声掛けをしていくか。
🥑活動報告
今週から新しいプロジェクトが始まります。気を引き締めてがんばります。
30周遅れでGhost of Tsushimaを遊びはじめました。PS2で止まっている私からすると認知がバグるグラフィックです(最高です
今週も、Happy Weekを:-)