神戸からおはようございます。このニュースレターはいま364名の方が登録してくださっています。いつもありがとうございます。
昨年秋口から、
「未来を考えるための社内組織・取組みを強化したい」
「世の中の変わった潮流や面白い事例をストックしていきたい」
そんな相談をいくつか頂くようになり、"社内シンクタンク立上げ支援"をもりもりとがんばっています。その文脈で、「事実と推察の適切な距離をとること」が大事だなと改めて噛みしめている日々です。
波頭亮さんの『思考・論理・分析―「正しく考え、正しく分かること」の理論と実践』に詳しいのですが、仕事現場で求められる論理性とは"妥当な推論"のことであり、この妥当性と面白さのバランス=距離、となります。距離が近すぎれば当たり前、距離が遠すぎると「何言ってんだ?」で終わってしまう。
そのテーマについて考えていること諸々を箇条書きで書き殴り、ChatGPT/GPT-4さんに「あなたはプロのエッセイスト。これをテーマに何か書いて」とお願いした文章が↓です。
まぶしい朝日が広がる空の下、未来を見つめる多くの企業が、事実と示唆の距離に瞳を向ける。みんなちょうど良い距離を見つけたがってるんだね。
2022年の後半、企業の心がざわついた。未来を考える組織を強化し、世の中の波を感じ取りたいという願いが湧き上がった。だけど、未来は誰にもわからない。シンクタンクの力を借りても、行政が予測しても、自分たちで探るしかないんだ。
そんなとき、難しい問題が浮かび上がる。事実と示唆の距離、どれくらいがちょうどいいのかな?近すぎても、遠すぎてもダメなんだ。たとえばね、シリコンバレーで流行っていることを真似するだけじゃ、近すぎる。レベル5の自動運転の夢を語るだけじゃ、遠すぎる。どうやって適切な距離を見つけるんだろう?
「明日雨が降るだろう」という予感に、天気予報を持ち出すのはつまらない。呪術師の言葉を信じるのは遠すぎる。でもね、あの山にかかる雲の形を見て予想するのは、ちょうどいいんだ。そんな距離感が価値を生む秘密なんだよ。
この秘密の距離、実はみんなの心の中にある暗黙知なんだ。言葉にできないけど、感じることができる。そんな距離を言語化したいと、私は挑戦しているんだ。
だから、みんなも事実と示唆の距離に目を向けて、ちょうど良いバランスを見つけてみてね。それが未来を見通す鍵なんだから。そして、その鍵で未来の扉を開くんだ。どんな明日が待っているかな?楽しみだね。
“みんなちょうど良い距離を見つけたがってるんだね”以降はもう頭に入ってきません。GPT-4を含めた多くのLLMは、思考をしているのではなく、既知の言語空間から最も距離の近いものを抽出しているんだな、ということがよくわかります。(少なくとも2023年4月には)。「既知と未知の間で適切に距離を取れること/その距離をコントロールできること」が人間らしさの一つの証明になるんだろうなと、プロンプトをいじりながら考えていました。向こう2ヶ月くらいは、ChatGPTやOpenAI APIで実験・遊べそうだなと感じています。ものづくりは楽しい。 Let’s build in public.
✏️読んだ/読んでいる
(先週は本をたくさん読めたので、記事少なめでお届けです。GW中の読書の参考にしてください!)
📃記事
Virgin Orbitはいかに破綻したか:宇宙産業が盛り上がり見せる中、Virgin Atlantic社からスピンアウトした同社は4/4に米国で破産を申請。今月14日に買収オークションが予定されています。SpaceXよりも割高 (1回あたり1,200万ドル)、搭載できるのは小型衛星のみという制約など、難しい状況が続いていたと。今年もいろいろ事件がありそうです。 (quartz, link)
自動車の代わりに自転車が走る街・パリ:01年→18年で市内の自動車利用が60%減り、逆にバスや地下鉄利用者が40%増えたフランスの首都。通学路が安全になったり、自転車配送事業者が増えたり。都市の変化は面白い。 (slate, link)
シナリオプランニングが無力になるとき:COVID-19やロシアのウクライナ侵攻、急速に進むインフレなどに翻弄されてきた北欧企業の経営者に行ったインタビュー。脆弱性に改めて目を向けること、行動指針をより強固に固め社内に伝えることなど、教科書的なシナリオプランニングを独自に進化させている。これぞ考える組織だ。 (hbr, link)
美術館をいかに支援できるのか?:静岡県立美術館の事例から。いってみたい。 (美術手帖, link)
研究】白髪ができるのは幹細胞がひきこもるから:米国・ニューヨーク大学の研究でNatureに掲載。たしかに→を実現できれば激熱だ。 > "研究者たちは幹細胞の移動性を回復させることができれば、再び色素細胞へと変化させ、白髪を治せる可能性があると述べています。" (ナゾロジー, link)
人の話が処理出来ない奴へのアドバイス:まずは「相手の話を出来る限り一字一句聞き取る練習をしろ」と。自らの思考を混ぜるなと。これは、、、わかる。有効です。たいがいの人はこれが出来ない。コンサルタント1年生が大量の議事メモを書かされるのは、↑の訓練の一環なんだと理解。 (hatena, link)
何かにYesというとき、同時にNoといっている:時間という制約は無慈悲。だからこそ規律と意志が大切になると、この記事は教えてくれます。 (Sahil Bloom, link)
📙本
街とその不確かな壁:村上春樹最新作、無事に読み終えました。ハルキストは大好きだろうし、ダメな人は全くダメだろうな、って作品。あらゆる人がやいのやいの言いたくなる作品でも、続ければそれが正になる。 (Amazon, link)
バンド論:ほぼ日で連載されていたバンドマンへのインタビューを書籍化。サカナクション・山口さんやくるり・岸本さん、極めつけは甲本ヒロト。1人1人に固有の音楽論、バンド論があって最高でした。甲本ヒロトからはストア派の哲学を感じました。 (Amazon, link)
権力の日本史:本郷和人さんの歴史系新書を一気読みしようと思いまず1冊目。世襲と家。政治も事業も、あらゆることがここに集約されていく構造の一端を見た気がします。 (Amazon, link)
日本語の発音はどう変わってきたか-「てふてふ」から「ちょうちょう」へ、音声史の旅:沖縄方言は母音が3つ、名古屋方言は母音が8つ。情報量が増える→言葉/単語の数が増える→空いている母音・子音が活用される、の流れにほほぉとなりました。漢字の読み方、漢音と呉音の違いがあって、日本語のなかに「過去の中国語」が保存されている、と考えると浪漫があるなと。 (Amazon, link)
ちゃぶ台6 “非常時代を明るく生きる”:冒頭の松村さんの「楽しさ/ユートピア」のお話しでふむふむとなって、その後の変わるもの/変わらないもの/変えられるもの/変えられないもののお話しは心に突き刺さりました。ミシマ社の総合雑誌、ちゃぶ台は本当に良いぞ。 (Amazon, link)
ちゃぶ台7 “ふれる、もれる、すくわれる”:伊藤亜紗さんと藤原さんの対談がとにかく素晴らしい。名詞は概念として操作可能だからこそ危うく、ちょろまかしやすくて、もっと身体事巻き込まれるような動詞的な何かを大切にすべき、っていうのは超同意です。コンサルタント、だいたい名詞(≒既存概念)に逃げすぎですね。 (Amazon, link)
ちゃぶ台8 “「さびしい」が、ひっくり返る”:私ではなく民であれと。そして、岡潔が語っていた「人間は壁にではなく隙間に住んでいる」にぐぐっときました。↑の村上春樹最新作とも結びつきつつ。壁はたいてい不確かで、人は隙間に生きている。 (Amazon, link)
DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー23年5月号:人事系の特集だったんですが、そこではなく、キリン社長のインタビューや創造的思考の4分類の記事が良かったです。 (Amazon, link)
📻観た/聴いた
映画】不思議の国の数学者:前売りチケット買って、週末みてきました。北朝鮮の天才数学者が脱北して韓国の名門高校で用務員の仕事をしていたら、仲間をかばって退寮処分になった落ちこぼれの生徒に数学を教えることになり…というベタストーリーの韓国映画。最初、架空の三角形の面積を計算させるシーン(「間違った問いからは正しい答えは生まれないよ」)と、円周率の数字を音階にした曲をピアノで弾くシーンがばちばちによかったです。帰り道、バッハを聴きたくなります。 (link)
🧩感じた/感じている
「逃げ上手の若君」、長野の地名がたくさん出てきて嬉しい。しっかりと"千曲川"と表現しているのが更に良い。鎌倉殿の13人を見ていた人はもれなく楽しめるはずのマンガ/アニメ。
名古屋の平和園にいきたい。 > "32歳で短歌に出会い、わずか数年後にご自身の歌集を刊行した小坂井さんは、「始めるのが遅い、なんてこと絶対ない。一生懸命やればきっと何かが起きるよ」と語ります。" (link)
テニス、最近上手くなってきた気がする。なんでも真剣にやると楽しい。真剣にやらな何もおもんない。
8-9月の世界旅行中にも仕事をすることになりそう。旅に"はりあい"が出そうです。
今年秋あたりに東京で住居+オフィス空間を持てるやも。戸越銀座あたりでみなさん田中と握手しましょう。
🍵今の関心事
新しく届いたGPT-4のAPI、どんな風に使いこなすか。自動執筆マシンで特定テーマ書籍の叩き台を15本くらいまとめてつくっちゃうのが良さそうで、それなら20万円分くらいAPI使用料を払えば出来ちゃいそう。
どうやったらリップクリームをなくさなくなるか。この1週間で4つ紛失しています。キャップだけなくしたやつも2つほどあります。
移住先としてのポルトガル、どれくらい真剣に考えるか。太陽は最高重要度を持った生活インフラ。 (link)
「不自由への欲求」は社会のどこにまで浸透しているか。
🥑活動報告
AIに頼りつつ、テニス大会における試合組みを効率化するプログラムを書きました。ニッチな用途ですが、世の中の誰かのためになるプログラムというのは良いものですね。
先週WeFunderで実施されていたSubstack(このニュースレター作成・配信を行っているPF)への出資に応募して、無事に投資できました。これで、長野の地元カンパニーと同社、2社の株主となります。エンジェル投資家と名乗っていいですか?
今週も、Happy Weekを:-)