神戸からおはようございます。このニュースレターはいま365名の方が登録してくださっています。いつもありがとうございます。
関空も伊丹もある中で、神戸空港は絶妙に地味な存在としてひっそり生き続けています。コードも謎にUKB。運営は関西エアポート神戸(株)で、親会社はオリックスとVINCI Airportsのコンソーシアム。朝はなかなかに充実のフライトポートフォリオで、入り口入ってから50m先には搭乗口があったり、けっこういいんじゃないかと思うんですよね、神戸。中心地〜空港までのアクセスも優れているし。二拠点生活先の2つめとしてどうでしょう?
今回は東京出張で、これから搭乗・東上します。たくさん人に会って、美術館や展示会にも脚を運んで、途中で南麻布のイランイスラム共和国大使館にビザ申請に行ったりもします。10月から戸越銀座あたりに東京の生活拠点が出来る予定なので、その現地調査も出来ると良いんだけど。
最近仕事でもプライベートでも、これまでの延長線上から少し外れたことに取り組む機会が増えています。単純なリサーチやコンサルワークではなくなんと名付けて良いかわからないようなプロジェクトをリードしたり、「なぜ転居をお考えですか?」質問の選択肢にない理由で中古マンションを買おうとしていたり。思うに、私の中には、人より少しだけ多く「やってみよう」精神があり、やり始めたことについては人よりだいぶ強めに「なんとかしよう」とする精神があります。前者だけが強ければ根無し草に(あるいは謎資格マイスターに)、後者だけが強ければ沈殿する集団の過労死マンになっていたことでしょう。両立できていて良かった。
芸人・プチ鹿島さんの「ヤラセと情熱 水曜スペシャル『川口浩探検隊』の真実」に、
ノストラダムスが"成立していた"頃は日常にグレーゾーンが許容されていたとも言える。しかし大予言が外れて以降、そんな"無駄なもの"は世界から駆逐されたのだ。非合理は許されなくなった。
(pp.045-046)
と書かれていたのに触れ、なるほど漠と漂う息苦しさにはこういう背景があるのかもしれないなと感じました。
なぜ二拠点生活?なぜコンサルに外注?なぜ家を買う?それって無駄では?理由を説明できなければムダとされ、ムダを省くことが善の追求とされる。ムダがなくなったからといって、だからなんだと言うんだろう。やってみたかったから、で始め、ムダになりそうだったら、全力なんとかする。そんな営みの連続でこれまでやってきたし、これからもやっていきたい。理由がある・わかるものばっかりやっていたら空っぽになっちゃうので。
そんなことを考えていたら、週刊金曜日に掲載された「神戸空港建設で問われる「便利」と「ムダ」の境目」なる記事に当たりました。今日私が飛び立つ滑走路は、どっちの領域にあるんだろう。いろんな雑念をジェット燃料代わりにして、「うるせーばかやろう」と大声で叫びながら飛び立って欲しいです。安全にお願いします。
✏️読んだ/読んでいる
📃記事
なぜ空港だと朝でもアルコールが飲みたくなるのか:あらゆる場所・時間帯から来た人が交錯する空港という場所は、フランスの人類学者、マークオジェが"non-place/非場所"、時空間の中に一瞬生まれる"出来事"なのではとこの記事は指摘します。日常の決定要因や文脈から切り離され、ただ"乗客”という役割を演じるんだと。非場所、面白いな。そしてこの記事の締め方も素敵。 > “アルコールは世界を鈍らせ、同時に高めることができる。空港では、その両方が必要なのです” (The Atlantic, link)
ネット上/リアルの言語分布比較:面白い。「英語、ドイツ語、日本語は、母国語話者の間で使われているよりも、インターネット上で使われている割合がはるかに大きい」とな。最近言語について考える時間が増えています。 (Rest of World, link)
「根性論」は悪だけど「継続力」は単なるスキルだから、さっさと身に着けたほうがいい。:ド正論。継続なしに成果を産める領域はほんとうにほんっとうに一部で、そして根性は限られた人にしか配分されていない特殊精神性なので、技法で解決するのが吉。> “継続力とは、ひとつのスキルである。時間を決めて習慣化する、小さな目標を着実にクリアしてモチベを上げる、自分のためのご褒美を用意する、など、継続スキルを身に着ける方法はいろいろある。” (Books&Apps, link)
いっそのこと「くじ引き民主主義」なんて、どうなんだ?:資本主義=金儲け、と同じくらい、民主主義=多数決、という概念紐付けは個人と社会を不幸にする。神戸の法律事務所がWebに掲載している「多数決について考える。」って論考が骨太で良かったです。骨太で頑固な人/組織、すきです。 (Books&Apps, link)
人は、自分のことを自由に決定できる。その個人が複数になり、「わたしたち」という集団になった場合、集団の意思はどのようにして決定されるべきなのだろうか。その場合、個人の意見が集団の意思決定において採用されないことが生じるが、そのことがなぜ正当化されるのだろうか。(link)
2030年代、北極圏は「氷のない夏」を経験する:最良のシナリオでも、2050年代には、夏の北極圏では氷がみられなくなると。 (bloomberg, link)
ブラジルが開発した熱帯小麦の可能性:40年にわたる研究で開発した熱帯気候に適応したこの品種は既にブラジル中西部で栽培が開始され、面積あたりの収穫量が全国平均の3倍。タンパク質含有量も平均的な小麦の2倍近く。一気に輸出国になるで!と鼻息あらめです。 (gigazine, link)
世界の不平等は過去150年で最低水準:ジニ係数は2000年頃から低下の一途。ファクトフルネスだ。 (Axios, link)
壁のためのAIと卵のためのAI:まっすぐな問題提起でした。村上春樹オマージュのタイトルはよしとして、壁とは何か、卵とは何か、それを突き詰めて考えたいです。多様性や心理的安全性、マジョリティや押しつけ、みたいな「ふわっと概念」対象の議論で何が進展するというのだろうか。人間の愚かしさや内包する矛盾を前提に考えるべきだと思うんですよね、常々。 (speakerdeck, link)
世界には何隻の難破船があるのか?:ユネスコによると世界の海には300万隻以上の難破船が発見されずに眠っており、難破船検索サイトのWreckにはうち21万隻ほどの難破船カタログがあります。 (BBC Future, link)
空想・妄想の意義:1日の1/3を空想・妄想に費やしているのが我々です。 楽しい旅に出よう。>"思考の放浪が最も面白くなるのは、自由に連鎖して動く思考の領域に入ったときです。" (gigazine, link)
ロサンゼルス→ボストンへの米国横断車旅:1人きりで、会話をしない10日間。こういう孤独が私たちには必要かもしれません。最後、美しい表現だ。 > "Day to day. Place to place. Your gorgeous, heartbreaking cities, your openhanded people. Winter sunlight glancing off a metal barn roof, glimpsed from a moving car. And all of us going through it, going through you, never more together than when we feel ourselves alone, because if we’re all feeling it, loneliness is over." (The Atlantic, link)
マラリア撲滅の鍵はワクチン配送ネットワークにある:経済的損失だけでも120億ドルにも上るマラリア。ワクチンがあっても、医療者不足や物流の問題は根深い。 (Vox, link)
📙本
ヤラセと情熱 水曜スペシャル「川口浩探検隊」の真実:番組自体をみたことはないんですが、それでもこの本を存分に楽しめました。情熱をかけたやらせと、手を抜いた手なり放送。表現に関わる人にはあまねく読んで頂きたい内容でした。長野県民として、東京ポッド許可局でプチ鹿島さん推しの私より。 (Amazon, link)
幸田文 生きかた指南:きっぱりとした言葉を話せるようになりたい・書けるようになりたいと思ったときに、幸田文さんはひとつの理想型だと感じました。幸田露伴の次女なんですね。Wikipediaによると「繊細な感性と観察眼、江戸前の歯切れの良い文体が特徴」とのこと。なるほど、歯切れか。 (Amazon, link)
現代の皮膚感覚をさぐる――言葉、表象、身体:春風社の新著。かゆみにフォーカスを当てた論考が面白かったです。 (Amazon, link)
ゲーム理論の〈裏口〉入門 ボードゲームで学ぶ戦略的思考法:ゲーム理論を勉強しようと思うとしっかり数学をやらなくてはいけないんですが、そもそも原理というか、考え方というか、ボードゲームはそれを教えてくれます。将棋はいいぞ(強い表情で) (Amazon, link)
📻観た/聴いた
続く道 花の跡:計算手、元々の意味でのコンピュータさんをテーマにした読み切りマンガ。世の中のあらゆるものにつくり手の歴史があり、そこには必ず闘争と葛藤がある。 (link)
Top 10 Pickleball Points of the Month - May 2023:ピッケルボール、楽しそう。全年齢で楽しめ、スペースも狭くて良く、試合のフォーマットも映像向き。米国のマーケットもどんどん大きくなっているようで(プロリーグ/MLP)、パデルよりも可能性感じる。 (link)
🧩感じた/感じている
自分がどうあるべきか、他人がどうあるべきか、そして自分がどうであったかを考えることにエネルギーを費やすことなく、今いる場所からどう良い決断をするか、その決断をいかに続けていくかにエネルギーを使いたい。AsIs-ToBeを置き去りにしたい。
最適でないからといって、有益でないとは限らない。↓のような誤りを犯してはいけない。
ジムに行く時間が1時間もないなら、全く行かない方がいい。
集中する時間をまとまって取れないので、まったく仕事をしないほうがいい。
1時間もないくらいなら、家族やパートナーと過ごす時間はない方がいい。
会議をすれば仕事が進む、と思っている/誤解している人がけっこうな割合で存在する。
Mens sana in corpore sano./健全な精神は健全な肉体に宿る。
🍵今の関心事
犬と一緒の生活、どのようなものか。
どう胸椎操作の感覚を取り戻すか。「小手先」と表現した先人の偉大さよ。
よりよいリサーチャーはどんな教育プログラムの下で育つか。
羽生先生のような語りに至る道程はいかに。感性の浸食、って豊かなイメージを持つ表現ですね。新しい祈り、新しい踊りはどのようなかたちか。
🥑活動報告
今週は木曜まで東京を堪能します。宿泊は川崎だけど。マチス展@東京都美術館が楽しみ。
自宅に新しく明石タコのぬいぐるみが来ました。最高にかわいいです。
今週も、Happy Weekを:-)