コンサルティング会社・Cobe Associe代表の田中志です。このニュースレターはいま367名の方が登録してくださっています。
突然ですが、ジャンプ+に載っている「続く道 花の跡」が素晴らしい作品でした
コンピュータが生まれる前、「計算をする仕事」は人の手によって行われていた。そんな今はもうなくなった職業、計算手をめぐる歴史の隙間のお話。
独ナチスの暗号機・エニグマを解読するためにコンピュータの原型を生み出したアラン・チューリングの映画「イミテーション・ゲーム」と地続きの作品だと感じました。作中で出てくる“時に、誰も思いもしなかった人物が、誰も思いもしなかったことを成し遂げるんだ。/ Sometimes it's the very people who no one imagines anything of who do the things no one can imagine.”は、初鑑賞から何年も経ったいまでも心に残る名言です。ベネディクト・カンバーバッチ演じるアラン・チューリングはもちろん、最後の最後にアランに↑の言葉をかけるキーラ・ナイトレイ演じるジョーン・クラークの魅力よ。netflixにあるはずなのでまだ見ていない人はぜひ。
先週後半が暇だったので、コンピュータに限らず日々お世話になっているものについて成り立ちでも調べてみるかと思いたち、毎晩夜のお伴と化している氷枕/アイスノンについてぐぐってみると、開発元の白元アース/当時白元によれば、開発のきっかけはくず湯にあったと語られています。
ある日、鎌田さんは風邪をひいて寝込んでしまいました。目が覚めると、枕元には何時間も前に置かれた『くず湯』があって、飲んでみたところ、時間が経っているのに温かかったそうです。
くず湯はジェル状ですが、それによって温度が保たれていることを知った鎌田さんは、合成樹脂で凍らせた水をジェル状にすることを考えました。その結果、1965年(昭和40年)に誕生したのが“氷の要らない氷枕”『アイスノン』です。
(ニッポン放送 News Online, link)
すべてのものに背景があって、すべてのものに歴史がある。あそこにもここにも。あなたにもわたしにも。絵画や音楽のような、明確な作者がいるような芸術作品だけではなく、ネジやじょうろ、灯台からフォークに至るまで(『灯台の光はなぜ遠くまで届くのか』『フォークの歯はなぜ四本になったか』いずれも名作です)、そこには人を魅了する営みの連なりがあるはずです。
これからも、いろんな文脈を背負いこんで年齢を重ねていくのが最高に楽しみ。せっかくCXシリーズに乗っているので、まずはマツダのエンジンへのこだわりを感じるところから始めたいと思います。
✏️読んだ/読んでいる
📃記事
世界地図の見方を変えると少し変わった世界が見えてくる:メルカトル図法で描かれた地図は北極/南極に近づくほどに過大に表示される。アフリカのでかさを舐めるなよ。ロシアがすっぽり入るんだぞ? (gigazine, link)
フィンランドのマクドナルドが制服を一新:若い世代がより働きたくなるように!とのこと。おしゃれ。制服ってそもそもなんなんだろうね、と考えさせられる記事でした。 (NORD DDB, link)
小型ドローンにミツバチの仕事をさせる:面白い取組み。ミツバチは気候変動の影響を大きく受ける生物で、既に相当量の減少が報告されています。同時に、ミツバチが行う意志決定がいかに複雑で高度なものかを示す研究もどんどん増えていて、世の中、、、、という気持ちです。 (The Ken, link)
セラピー用語の限界:トラウマやナルシズムといった、本来は心理学/セラピーで用いられてきた単語が日常に侵食する中で何が起きていったのか。古田徹也さんの「いつもの言葉を哲学する」でも感じた、言葉という不確かな実態が人間に及ぼす影響の大きさよ。 (Vox, link)
体は言葉よりも物を言う 美学者・伊藤亜紗さんが聞き取りたいもの:幸田文さんの「台所のおと」を最近読んでいるんですが、そこでも「体は言葉よりも物を言う」と感じました。インタビューとの向き合い方にも学びがあります。 (asahi, link)
――インタビューする際、気を使っていることはありますか。
答えを求めないことです。
相手の話を一方的に聞くのではなく、相手が考えたことがないことを一緒に考えたい。私と話をすることで、体について新しい見方を獲得し、体との付き合い方にいい影響が出ればいいなと思っています。
10人に1人が自己免疫疾患にかかる可能性をもつ:過去20年でセリアック病やバセドウ病の患者は顕著に増加しています。さて、円形脱毛症も自己免疫との関係性が指摘されている疾患の一つ。「何らかの自己免疫疾患を発症した人は、発症していない人に比べて2番目の自己免疫疾患を発症する可能性が高い」とのことで、睡眠第一、健康第一で平和に生活していくぞと改めて決めました。 (gigazine, link)
千葉・木更津に生まれた「地中図書館」:30ヘクタールの農場を中心とした複合施設・クルックフィールズ内に、"言葉を介して思考する場をつくりたい"との思いから企画・設計。来訪者に「さまよう」ようにたどり着いてもらうんだと。行ってみたい場所がまた一つ増えました。 (Nikkei XTech, link)
Substackの『アカデミア×ニュースレター』という挑戦:学術界・研究にとって学会や論文のみが中心となるのは果たして最適解なのか。Substackを実験場とした普及活動は、もしかすると次世代の学術研究の在り方を考えることに繋がるのかもなぁとひっそり期待しています。すごく好みの取組です。 (substack, link)
より良い雑談のためにあなたが出来ること:"Let Yourself Surprise and Be Surprised”の欄がすてき。「いまの話を聞いて、なぜか〜のことが浮かびました」ってやつ、私自身よく言っていることに気がつきました。ただの応答だけでなく、いろんなキーワードや考えに発展させるために出来ることがたくさんあります。 (Sasha's 'Newsletter', link)
なぜ頭のいい人は幸せになれないのか?を問題解決の視点から考える:「よく定義された問題とあまり定義されていない問題では、まったく異なる問題解決能力が必要になる」確かにそういうことだ。頭のいい人とはよく定義された問題によって判定され、一方幸せとは後者との向き合い方で規定される。それぞれの問題解決能力に相関性はなく、鍛え方も異なる。個人的感覚からして、自然の中で仕事をしてきた農林水産業の方々は後者の問題解決能力がずば抜けて高い。 (Experimental History, link)
デジタルノマドが街にやってきた!何がおきたか:パンデミックの中で米国主要都市からデジタルワーカーが中南米の各都市に散っていった。所得格差が如実になる中で、各街のレストランや公園、不動産市場でどんなことが起きていたのか。私もアジア都市にノマドしにいきたい。バンコクが第一候補。いやはや、Rest of Worldの記事はどれも素晴らしい。 (Rest of World, link)
先入観を捨ててみると意外と出来ることはたくさんある:"これは、あなたができないと思っていたこと、あるいはできることさえ知らなかったことを許可するリストです"と。認知限界が行動の制約になっていることがたくさんあります。突破していきましょう。 (writing science about, link)
研究者や専門コンサルタントを雇う
自分自身のインタビュー記事を書き、記者やライターに送る
新聞やラジオなど、レガシー・メディアの広告を購入する
友人を訪ねることだけを目的に旅をする
既製品を自分の手で改造/DIYする
求人ページに書かれていることを無視して、企業の誰かに直接自分を採用するよう売り込む (これは本当に実践すべき。求人票のほとんどは過剰に、あるいは適当に書かれている)
📙本
幸田文 台所のおと:ポッドキャストの次課題本。これぞ江戸文体だ。描写でこんなに情景を描けるなんて、大感動ですよ。 (Amazon, link)
文明交錯:「大航海時代に起きた欧州→中南米への病原菌や鉄・馬などの伝播、それが逆方向だったら?」の仮説SF。柞刈湯葉さんが褒めていた作品は全て読んでいく姿勢なんですが、この本もやっぱり素晴らしい。 (Amazon, link)
目的への抵抗―シリーズ哲学講話―:良い。とにかく良い。「手段の目的化!みたいな表現があるけど、目的の意味合いって手段を正当化すること以外にあるんだっけ?」その通りだ。 (Amazon, link)
悪魔のいる天国:星新一の短編、飛行機移動のお伴として最高。安易に「あー、これ星新一っぽい」と表現するのは憚られるのですが、大量に出ている短編集を全部読めば、日常をメタ視点で捉えるのが得意になるだろうなと思うほどには浸透圧の高いコンテンツでした。 (Amazon, link)
📻観た/聴いた
FF16:これはゲームというより映像作品。FF9ぶりのFFシリーズ、ストーリーの完成度含めて進化がすごい。圧倒されています。 (link)
ザ・バックヤード 知の迷宮の裏側探訪 国立公文書館:160万を超える文書を保存、国会開設や東京オリンピックに関わる諸々が保存されている館。カバーストーリーに書いた、歴史の連なりの中心にある施設や。 (nhk, link)
🧩感じた/感じている
新卒同期がみんな出世しているので困ったら彼らに頭を下げて雇用してもらおう。糸川英夫がいった「人生で最も大切なものは、逆境と良き友である」が心に染みる。
「箔がつく」は結局、"箔/薄片"でしかなく、すぐはがれる。箔が付くから、を理由に意思決定するなら短期特化で成果を目指さなくてはいけない。
やさしさの形は日替わり。かなしさの形は週替わり。浅ましさの形は年替わり。
🍵今の関心事
11月の初マラソンに向けて何を準備するか。
11月19日の神戸マラソン一般枠に当選したので、この夏は長距離走トレーニングと減量に取り組みます。10月のハーフマラソンも申し込んでみました。こちらは4年ぶりだ。
🥑活動報告
いま住んでいる家の解約を申し込み移住爆進中です。住宅ローンも何とか通りました。8月は下旬からイランに行って、帰国即お引っ越しになりそう。駐車場・駐輪場も慌てて探しています。盛夏忙夏。
今週もやっていきましょう。
神戸マラソン応援してます!終盤が鬼なので不屈の精神で行きましょう笑