事業コンサルティング/リサーチ会社・Cobe Associeの田中志です。このニュースレターはいま367名の方が登録してくださっています。梅雨の明けた神戸からお届けします。
今日からまた東京出張です。前回6月の東京出張で訪れた「ガウディとサグラダ・ファミリア展」@国立近代美術館が最高だったので、会議の合間を見つけてもう1回いこうかなと画策しています。9月10日までやっているので東京・竹橋にみなさんぜひ。
ガウディ本人が学生時代に学んだ書籍やつくった模型、ラフスケッチなんかも素敵だったんですが、言葉好きの私としては、要所要所に展示されている発言録に惹かれました。偉人はもれなく素敵な言葉を残していますね。現世では面構え、鬼籍に入ってからは発言録と箴言集で勝負です。
芸術におけるすべての回答は偉大なる自然の中にすべて出ています。
ただ私たちは、その偉大な教科書を紐解いていくだけなのです。
「世の中に新しい創造などない」という有名な言葉を残したガウディは、物理法則や植物・動物の姿にうつくしさを見出し、それを建築に活かしてきました。展示の中にも、紐に錘を下げてできる曲線をモデル化して設計された柱や塔がありました。フニクラ/Funikuraというそうです。"ねじれ"を積極的に取り入れたり、地元・長野の善光寺でねじれ柱をおもう時間にもなりました。
美しい形は構造的に安定している。構造は自然から学ばなければならない。
建築研究者・丹下敏明さんは、ガウディの建築に2ヶ月通い、毎日新しい発見があったと語っていました。ガウディの建築を通じて、人は自然を学び直すのかもしれません。『失われた時を求めて』の作者マルセル・プルーストの言葉で「発見の真の旅路は、新たな土地を探すことではなく、新たな目でものを見ることだ」というものがあります。目をどんどん新しくしていきたい。
個人的に一番好きなガウディの言葉は、
物事を上手くやるために必要なこと。
第一に愛、第二に技術。
です。ガウディは自然への愛が溢れていたんだろうなと。本屋さんに行くと「技法」「コツ」を紹介する書籍が溢れていますが、結局は愛(と執着とこだわり)が勝負を分けるんだよなと、多くの新規事業チームをみていて思います。「市場規模が大きいから」「流行っているから」を理由にして選ばれる事業など誰のためにもなりません。偉大なる自然という教科書は、そんな行動理由を許さないでしょう。
今週「あかねさす柘榴の都」の最終巻も読んで、スペイン旅行欲がぐっと高まっています。来年グラナダに行こう。
✏️読んだ/読んでいる
📃記事
30年目の大学同窓会で学んだこと:ハーバードで4年過ごした筆者が30年の時を経て感じた30の真実がまとまっています。「死ぬ間際の〜」記事・レッスンはたくさんありますが、私のいまのタイミングにフィットした内容でした。 (The Atlantic, link)
どんなに熱心な計画家でも、予想通りになった人生などない。
同窓会直前の同級生を対象としたオンライン調査では、お金を持っている人の方が持っていない人よりも幸福度が高いと自己申告した。
私たちが最も強く望んでいたのは、お金やその他の衝動的欲求よりも、より多くの睡眠を得ることだった。
長続きしている結婚生活を送っているクラスメートの多くは、結婚早々から突然成熟した関係へと変化するターニングポイントを経験した。
ほぼすべての卒業生が、若い頃の自分を恥ずかしく思う。特に昔の自分がいかに判断力に欠けていたかを恥ずかしく思うと答えた。
旧友の家に泊まるのは、ホテルで一夜を過ごすよりも望ましい。
酒を飲み過ぎた生活は、30年後に顔に現れる。
愛がすべてではないが、間違いなく助けになる。
米国成人の1/5以上がメンタルクリニック通い:2022年の1年間に精神衛生専門家の元を訪れた大人は23%で2004年の13%から大幅増加、米国は「セラピーブーム」にある、と専門家はいいます。SNS浸透による鬱病や不安障害の増加、5年で4倍にまで増えたフェンタニル過剰摂取に代表される薬物危機、、、セラピスト需要は留まるところを知りません。 (Axios, link)
成績評価のインフレと「エリート大量生産」:ハーバード大の学生、1950年には2.5だった平均GPAが1960年には3.0に、いまでは3.8にまでインフレ(GPAの上限は4)。最近のデータでは、成績が3.85前後に圧縮されつつあり、学生間の成績のばらつきが少なくなっているとも。有名企業の限られた椅子を争うために、「見かけエリート」が大量につくられてしまっているのだと。 (The Crimson, link)
シリコンバレー起業家に蔓延するドラッグカルチャー:幻覚系・LSDやマジックマッシュルームの服用で「クリエイティビティが増す」という信仰があると。イーロン・マスクはマジックマッシュルームを服用し、有力VCのFounders Fundは幻覚剤を利用するパーティを主催していた。スタートアップを巡る悲惨さはもっと直視されるべきです。 (Chika Watanabe, link)
米軍、入隊時の大麻検査をやめるかも:自衛隊と同様、リクルーティングに苦戦する米軍。「ほら、大麻ってアルコールと同じだから」と理由付けして、採用目標達成に向けてなりふり構わない姿勢を示しています。 (Defence One, link)
ワシントンD.C.の空きオフィスが屋内農場に:米国ではオフィススペースの20%が未入居で、リモートワークの普及もあってどんどん秋が広がるはずだと。垂直農法で、葉物だけではく、ジャガイモやにんじん等の根菜類も作れるんですって。すごい。 (Good News Network, link)
ひっそり破産した最高級電動バイクメーカ・VanMoof:何度かこのニュースレターで取り上げてきたVanMoofは財務的には大失敗でオランダにて破産。いやはや、全部内製化するのはしんどい。 (The Verge, link)
記録的な移民の多さ→先進国の多くは大反発:移民政策の議論をみると、人間大衆がいかに感情の奴隷かを思い知らされます。 (Axios, link)
カリフォルニアを悩ませる子どもの数学能力(と学習プログラム欺瞞):シリコンバレーやサンフランシスコなど世界有数のテクノロジー都市をいくつも抱えながら、4年生の数学能力でみると全米最低水準に沈むカリフォルニア。代数学を教える年齢を遅らせるなど様々施策を行い「改善している!」と当局発表、しかしこの結果はデータの捏造だと筆者はいいます。↓の主張には全くの同意です。 (Noahpinion, link)
…女子が男子に比べて数学の成績が劣る主な理由は 、社会が「数学は女子のためのものではない」と教えるからだ。それは、 実際の数学を水増しされた「データサイエンス」コースに置き換えることで解決できるものではない。
なぜ人は辛い食べ物が好きなのか?:そうなのか。> "ペンシルベニア州立大学の食品科学の教授を務めているジョン・ヘイズ氏は、「人間はこの燃えるような感覚を実際に楽しんでいる唯一の動物です」と述べ、人間以外のほとんどの動物は辛い食べ物を好んで食べたがることはないと指摘しています。" (gigazine, link)
📙本
臨機応答・変問自在 ―森助教授vs理系大学生―:森博嗣ファンなので。 (Amazon, link)
…結局のところ、教育とは、受け手に「学んでやろう」「吸収してやろう」といった積極性が存在しないかぎり、ほとんど無駄だと断言して良い。教育そのものが成立しない、といっても過言ではない。すなわち、「教える」という行為は単独では成り立たない。学習する側の「求める姿勢」「意気込み」こそが不可欠であり、それが教育の必要最小限の成立条件といえる。もし、教師にできることがあるとしたら、実に 細やかな範囲ではあるが、学生にその「やる気」を出させることだけだ。「その気にさせる」という 騙し 騙しの行為しかない。できることは、僅かにそれだけなのだ。
スピノザ 読む人の肖像:デカルトを単年に読むところから始め、真理とは、目的とは、人間を探求し続けた哲学者・スピノザ。定義の仕方として、事物の内的本質を描くためのその発生から定義する、という考え方。新鮮でした。 (Amazon, link)
漫画】あかねさす柘榴の都:3巻で無事完結。スペインの美しい街並みと文化を感じながら、主人公・ナツの戸惑いと成長を実感できる最高マンガでした。アルバみたいな大人、好きです。このほかにも、アンナ・コムネナやプリニウスも最近のおすすめマンガ。 (Amazon, link)
グラナダは素敵な街です。
人がどこに住むか、どこに生きるかは それぞれの都合で決まるものだと思いますが、どこに居ようとも この世のものはみな美しい。そういう気持ちで描きました。
📻観た/聴いた
冨樫義博展 -PUZZLE-:大阪でみてきました。そういえばHUNTER×HUNTERしか読んでいないなと思い幽遊白書とレベルEを全巻買いまとめ読みしたんですが、レベルEが一番のびのびと好きなこと描いている感じがして好みでした。幽遊白書でいうと桑原のお姉ちゃん推しです。 (link)
Atlantic/ Phots of the Week:毎週楽しみにしているThe Atlanticの写真シリーズ。ツール・ド・フランス、無事に完結。フランスの街並みがとにかく美しかったですね。同時に、コース脇観客のマナーの悪さにドン引きしています。 (link)
🧩感じた/感じている
夏。桃がうまい。
熱量のある追悼文を送り、送られる人間でありたい。 (link)
永井荷風の下の感じ、たいへんわかる。
"先生は人嫌いではないのだ。だが、先生にとって、人というものはほんのほっちりしか要らないのだ。人くささが嫌いなのだ" (幸田文/雀の手帖)よく言われるように、知性とは、相反する2つの考えを同時に抱えながらも活動し続けること。/Intelligence, it has been said, is the ability to hold two opposing ideas at the same time and still function.
🍵今の関心事
疲労骨折した肋骨をスピーディに直す方法。日にち薬を超える何かを生み出してみせる。
MAZDA Zoom-Zoomスタジアム現地観戦、いつ乗り込むか(広島なら車でサクッと行けることに気づいた。なんなら日帰りできる)
🥑活動報告
今日からまた東京出張です。新卒同期会(1人はドイツからオンライン参加)と、この春から就職した元インターン生と会うのが楽しみです。
9月の世界一周予定、お仕事都合もあり2週間にスリム化しました。フランスでのラグビーW杯を中心に据えたもののみにして、あとは東南アジアからワーケーション。来年か再来年、渋い都市巡りの世界一周に再チャレンジします。
自宅作業環境をアップデートしました。これは消費ではなく投資(念じています)
マウス:Trackpad→logicool MX Ergo
Webカメラ:Logicool C920n → Opal C1(再導入)
OCアダプタ:純正→Anker 733 Power Bank
今週も、Happy Weekを:-)