Cobe Associe代表の田中志です。このニュースレターはいま372名の方が登録してくださっています、いつもありがとうございます。今回第138回は日曜夕方に書き上げていて、配信予約でお届けします。
先週前半はおやすみ、後半からじっくり働き出し、という方も多かったのでは。私はお盆期間中もきっちり働きまして、代わりに昨日20日夜から旅に出ています。予定通りに行けば、配信時間にはドバイ→テヘランの機中にいるはず。上空からこんにちは。
社会人になってから「まとまった休みが取れたら行きたい旅行先リスト」を作り始めました。キューバ、バルバドス、バルト三国、スペイン、ポルトガル、ケニア、タンザニア、インドネシア、イラン、、、、独立してから、休みが"取れるもの"から"油断していると一生とれないもの"に変わってしまったことを実感し、強制的に海外旅をスケジュールに入れるようにしています。
世界中どこに行っても、都市が似たような顔をしている時代です。ぱっと写真を見せられたときに、看板に書かれている言葉に注意を払わなければ、ニューヨークと上海を区別することさえ難しい。(『夕暮れに夜明けの歌を』で奈倉有里さんが「現代の首都というのはある意味似たり寄ったりで、すっかり商業化した2000年代のモスクワは東京と大差なく感じられ」と書いているくらい)あらゆる場所やものごとが複雑かつ高度に繋がった現代では、歴史的建造物と美術館・博物館を巡らなければ旅の実感さえ得ることが難しいのかもしれません。
翻ってイラン。この国のパスポート所持者がビザなしで渡航できる国はわずか44カ国(日本のは189カ国)で、ミャンマーや南スーダンより少なく、北朝鮮よりわずかに多い程度。1980年4月に米国との国交を断絶して以来、独自の文化・経済圏を維持し続けています。走っている車のほぼ全てが現地生産、2大メーカーはKhodroとSaipa。ペルシャ人は全体の半分程度で、24%程度がアゼリ人(トルコ系、アゼルバイジャンの多数派民族)、さらにギラキ・マザンダラニ人、クルド人、アラブ人と続く多民族国家。公定レートは1米ドル=4万リアルだけど流通レートだと520万リアルになる。知らないことばっかりだ。
自分がいかにものを知らないかを痛感して、それを楽しむのが旅の醍醐味であるなら、イランは旅先として最高の場所の一つ。旅は自分探しではなく、自分忘れ、垢落としのためにある。
シラーズ→イスファハーン→テヘラン、と巡る予定です。途中に控える「5時間車移動」に私の体は耐えられるのだろうか。来週のニュースレターを無事に出せますように、祈っておいて頂けると幸いです。
✏️読んだ/読んでいる
📃記事
A Few Questions/いくつかの質問:ちょっと仕事の合間時間ができて頭を巡らせたいとき、Collaborative Fundのブログを何本か読むことにしています。Morgan Houselが6月末に書いたこの記事、素敵でした。 (Collab Fund, link)
真実であるという証拠が最も限られているもののうちで、自分自身が強く信じているものはなにか?
自身が心配していることのうち、実際に問題となるものはどれか?(心配していることのほとんどは実際「わざわざ探して心配しにいっている」こと)
既に知っていることに固執し、新しいことを学ぶことを避けている分野はないか?
もしInstagramが、人々の生活を正直に反映したものだったとしたらどんなものになるか?
Smart Things Smart People Said/賢人の賢言:↑と同じMorgan Houselのエントリー。 (Collab Fund, link)
"自分を理解するための素晴らしい方法は、他人の癇に障るところをすべて真剣に反省すること" - ケビン・ケリー
"ほとんどの人の幸福は、大災害や致命的な過ちによって破滅するのではなく、ゆっくりと破壊的な小さなことの繰り返しによって破滅する" - アーネスト・ディムネ
"適切な種類のジョークを適切に話すことは、政治、哲学、文学の問題を啓蒙するのに、どんな退屈な議論よりも効果がある" - アイザック・アシモフ
"人生に「失望させたくない人」がいるというのは素晴らしいこと" - ウォーレン・バフェット
"成功の尺度は、銀行口座よりもカレンダーにある" - ジェームズ・クリア
"何かを笑うことができなければ、それについて合理的に考えることはできない" - クレイ・ジョンソン
ESPNはスポーツベッティングに賭ける:今月Pen Entertainmentと10年20億ドルの契約を結び、独自のスポーツギャンブルサ建言ービス"ESPN Bet"を立ち上げると発表。2018年に米国最高裁が出した判決によりスポーツ賭博対応が各州に委ねられて以降37州+DCが合法化。この欲望模倣が蔓延る時代、メディアは強いな。 (The Atlantic, link)
LEGO社はいかに世界的企業になったか:いろんな企業の成長軌跡を取り上げているニュースレター"How They Grow"、事業家界隈の方におすすめです。物流最適化のために空港をつくっちゃったり、展示室の代わりに遊園地毎つくっちゃったり、大胆な意志決定を重ねて来ているLEGO社。事業をつくるために必要なのは知性よりも肚決め。 (How They Grow, link)
"男らしさ"の危機:教育、労働市場、中毒患者や自殺未遂率などの指標でみると、労働者〜中流階級の男性にとって現代社会はやたらと生きづらくなっているのだと。直近のPew Researchでも「男女間の賃金格差は若年労働者ほど小さく、全米250都市のうち22では30歳未満の女性は同世代の男性と同等以上に稼いでいる」と報告されています。男女平等、公正が謳われる中で、健全な男らしさとは何か、を考えさせられる素敵記事。 (Vox, link)
ピーター・ティールの卒業式スピーチ〜「新しいことをしろ」:「創始者たち」を読んだ流れで、7年前に行われたピーター・ティール卒業式辞に触れました。100年以上前の詩人の言葉、"Make it new"を引いて、何かを創ること、挑戦することの意義を説きます。 Developedなど幻想だと。前に進めと。締め方もすてき。 (note, link)
振り返ってみると弁護士になりたかったという野心は、将来の為の計画というよりも、現在の為の口実のように思えてきます。それは、私の両親や、仲間、そして何より自分自身に対して、次のように説明する一つの方法にしか過ぎませんでした。「何も心配する必要はない、私は完璧に正しい道に進んでいる」と。しかし、今振り返ってみると私の最大の過ちは、どこへ向かっているのかを深く考えずにただ道に沿って走ってきてしまったということです。
新しい市場カテゴリーはどのように誕生するか:低糖質市場の形成史:「カテゴリーの境界や意味の曖昧さが、多様な企業や製品の参入を促し新規カテゴリーの形成を促進する」としたカテゴリー論が低糖質市場の形成においても適用されるのではと提示。元々は社会学の理論なんですね、序盤の概説も興味深いです。緩さ、つまり基準や制度を固めすぎないことがむしろ市場の立ち上がりを促進するんだと。自分の中に取り込みたい視点がたくさんあった。 (一橋大学イノベーション研究センター, link)
2025年に再生可能エネルギーが石炭発電を追い越す:想像より早く未来が来ただろ?と。米国では今年電力の23%が再生可能エネルギーでまかなわれる試算。クリーンエネルギーへの新規投資の約3分の2は共和党が支配する州で行われていて、タルサやヒューストンなど従来型エネルギーの主要地域でも着実に風力や太陽光への投資が続いています。大統領選で共和党が勝たなければ、この流れは続くでしょう。 (NewYorkTimes, link)
📙本
ブルー ハワイ:燃え殻さんのエッセイを読むためだけにdマガジン購読して週刊新潮を読んでいる人間なので、今回も最高に楽しく読みました。 (Amazon, link)
“個人”の行方―ルネ・ジラールと現代社会:最近はまっているルネ・ジラールの解説書。模倣(ミメーシス)的欲望論、その説明が簡潔にまとまっています。20年前の本ですが問題意識は現在にも通じている。集団が持つ暴力(「姥捨山」の再解釈)、平等/不平等の射程とその中での個人主義、たくさんのテーマがありました。 (Amazon, link)
人間の欲望は三角形的、換言すれば「模倣的」である。すなわち、欲望を持つ主体とその欲望の対象となるもののあいだには、いつも媒介者が存在する。私たちがあるものを欲するのは、それがそれ自体として望ましいものであるためではなく、他者がそれを欲しているからであり、他者がそれを望ましいものとして示すからである
夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く:「どんなに国や社会が荒れようと、そこには文学や歌がある」そんなことを思い起こさせてくれる本。読み終えてからタイトルに戻ると、何倍も味わいがある。さらっとお気に入りの詩を暗唱できるような人間でありたいなと思いました(私は茨木のり子が好きです)。読後感にひたりながらした探検でみつけた『テヘランでロリータを読む』にも手を伸ばしてみます。 (Amazon, link)
📻観た/聴いた
宮本慎也と上原浩治 クラブハウス2023:19日大阪で行ってきました。一緒にテニスをする方が大和ハウスご所属で、たまたまこのイベントの話になったら「あー、あの吉本の場所でやるやつね」と言われ何かと思ったら会場のCool Japan Park Osaka運営に吉本が入ってました。14社のべたんに並んでいるけど、吉本がフロントなのか。Webだけではわからん世界があるねぇ。 (link)
Workspace/Brad Cerasani:楽しみにしているワークデスク紹介のニュースレター。"the best looking newsletter on the internet (no bias here)"ですって。先週取り上げられていたBrad Cerasaniさんのデスクが最高でした。 (link)
🧩感じた/感じている
どこまでも「差異」に拘る職業人でありたい。
それはつまり"分析"を極めることであって、視座を高低左右に動かせることであって、安易な平等主義・全体主義に抗うことである。複利効果はお金・投資だけではなく、あらゆる人間関係や経験に対して効く。
そのために、あらゆる事に対する再投資を続けなくてはいけない。消費にかまけているくらいなら、アセットにするか、思い切って浪費しよう。3冊目書籍の企画書を書かなきゃ。
「三角形」をテーマにしたいと思っています。(7月末発売の2冊目、思いのほか売れているらしい。よかった)↓本当にその通りで、30代・40代、なんなら上級管理職になってもヒラメで仕事をする人がいる。悲しい事実。(X, link)
「上司・先輩が正解と考えていることを探し当てる」みたいな仕事のしかたは、いつか卒業しないといけないです。
🍵今の関心事
現段階でのマネジメントメモ、どれくらいの力を入れて書くか。
(イラン旅中にver.1を書く予定です)新居周りのすてき呑み屋、どこをどんな順番で回るか。徒歩90秒の焼き肉屋は最高でした。
🥑活動報告
イランの日々を写真・動画におさめてきます。Instagramポストをお楽しみに(FBはあかんけどInstagramは現地SIMでも繋がるらしい。なぜ)
新居引っ越しを機にジム通いを再開しました。テニスのパフォーマンス向上と11月の神戸マラソン完走のためにがんばります。