Cobe Associe代表の田中志です。このニュースレターはいま382名の方が登録してくださっています、いつもありがとうございます。
先週は月曜から東京拠点で働き、朝〜夕方の仕事を終えてから有明にテニスを観にいく生活をしていました。東京で開催される大会としては最高ランク(ATP500、賞金総額180万ドル)のジャパンオープンシリーズ・Kinoshita Openです。
昨年も参加したのですが、今年のほうが大会のレベルが高かったと思います。直前に北京や上海で中国シリーズが開かれていたこともあり、「よっしゃ日本の大会もまとめて参加して稼いでおくか」と考えたトップ選手がたくさんいたのかもしれません。極東に人を呼びたかったら、日中韓、ひいてはASEAN各国と仲良くしていかなあきませんわ。私たちが「せっかくヨーロッパ行くならいろんな国に行きたいな」と思うのと同じ原理ですね。
どの国の選手であっても、拍手で応援の気持ちを伝えることが出来るのがテニス観戦の素敵なところです。ポイントをとったら拍手、大事な局面を迎えたら会場みんなで拍手、負けた選手が退場するときも拍手で送り出す。クラシックや落語、私が好きなものはだいたい拍手がある場だなと最近気づきました。声出し前提の野球観戦や動きが求められるライブとかは苦手。何でだろう。
「拍手の同期」について書かれた東京大学・相談支援研究開発センターのコラムで、物理学者ゾルダン・ネーダの研究チームが行った「大人数が行う拍手がどんなプロセスで同期していくか」を調べた研究が紹介されています。彼らは、①最初バラバラ→②自然に遅いテンポで同期→③また不ぞろいに、を繰り返すこと、この拍手同期は聴衆が真に熱中していない場合は見られないことを指摘しています。
….人間は、他人から強制された時ではなく、自ら熱中し感動する対象と出会った時に自然と誰かとつながろうとする、そんな生き物なのかもしれませんね。最近は社会全体でやたらめったらコミュニケーション重視の風潮が見られますが、他者と関わるためにもまずは自分の感性や心が動くような体験を大事にしてみる、というのはいかがでしょうか。
ふつうに生活していると、拍手に出会うのは、職場・学校での儀礼イベントや選挙演説くらいですが、私たちはあらゆる政治的拍手を拒否・忌避しなくてはいけません。自ら熱中し、感動する対象に出会ったときに生まれる拍手こそ、むしろそれのみが本物であって、本物と偽物を混同させようとする政治的意図を全力で拒否しなくてはいけないからです。沈黙の艦隊最終刊を読み、社会心理学の授業を受けた先週、改めてそれを感じました。
拍手をしに、街に出ましょう。スポーツの秋、音楽の秋です。
✏️読んだ/読んでいる
📃記事
Z世代は「不便さ」に美意識を持つ:あえての現金支払い、あえての有線イヤホン、あえてのださシャツ重ね着、、、不便で日常に摩擦を生むアイテムのひとつひとつがストーリーを語り、個性を極める旅の筋書きをより濃くするんだと。 (D1A Perspective, link)
アメリカという抑止力の衰退/ We’are not ready for the big one:ウクライナやパレスチナだけでなく、アルメニアはアゼルバイジャンに、コソボはセルビアによって脅かされている。そして東アジアには、ずっと係争地として残る台湾が。先週から読んでいる『沈黙の艦隊』のことも頭をよぎり、思考と主語が大きくなっています。 (noahpinion, link)
次にクーデターが起きるアフリカ国家はどこか:格付企業・フィッチ傘下の調査会社bmiが、治安、制度、経済発展、社会的結束力などの指標を元に、次にクーデターが起こりそうなアフリカ国家を提示。中東、欧州、なんならアジアも不安定ないま、現状を変えたい革命家にとってのチャンスが溢れている。 (The Economist, link)
AIの反応はあなたが持つバイアスを反映している:Nature Machine Learningに掲載されたMITメディアラボ等の研究で示唆された事実。AIに肯定的な姿勢を持つ人にはポジティブな反応が、否定的な姿勢を持つ人にはネガティブな反応が返ってくることから、AIのプラシーボ効果があるのだと。さもありなん。人間らしいやんけ、AIさん。 (bgr, link)
Bleisure/ビジネスとレジャーの融合:ヒルトンが発表した2024年のトレンドレポートで、パンデミック後の旅行者は「質の高い睡眠」「健康的なアメニティ」「テクノロジーを駆使したスマート客室」を重視し、ビジネスとレジャーを両立させていると報告。レポート本編が素敵な仕上り。よいリサーチチームがいるんだろうな。 (Axios, link)
米国辞書に加えられた新語690:passkeyやGenerative AIのようなテック語以外にも、「simp:誰かや何かに過度の献身を示したり憧れること」「bingo card:あり得るシナリオリスト」「mid:可もなく不可もなく」のような言葉も。言葉で言えば、rebuild最新回でNさんが話していた単語・kekekek、驚きだった。 (Meriam Webster, link)
更なる成長のために人生を"剪定"する:木は健康であるために剪定されなくてはいけない。不健康な枝、余分な枝、古くなった枝を定期的に切ることで、残りの木が成長し、実をつける機会が増える。なぜわたしたちは自分の人生でこれをやらないのかと。確かに。剪定っていい考え方で、いい言葉だな。 (Deb Liu/Perspectives, link)
サッカーのゴールキーパーは独特の世界認知をしている:ほえー、面白い。訓練を通じて、統合ではなく分離して処理するようになるのか。「視覚情報と聴覚情報の相互作用があまり見られなかった」「感覚信号を分離する傾向が強かったことを示唆」 (Science Daily, link)
3x5メモカード戦略:なんでも試してみる人材なので、縦長Todo記載カードかって運用始めた。オモテに大事なこと、ウラにしょぼいTodo、これでいこう。記事末尾にある「自己最適化」の話も最高だった。好きなことを全力でやりきろう。 (Sahil Bloom, link)
📙本
沈黙の艦隊:先々週の東京出張でお会いした尊敬する経営者の方からおすすめ頂いたマンガを正座で拝読。イスラエル・ハマス問題に取り組む米国政府の姿勢・行動をみていると、なるほど海江田(本作の主人公の一人)が抱えていた問題意識はこれなんだな、と理解できます。正義はどこに。あなたはどう考えるか。ひとつひとつの正義に対する解像度が高すぎるんだよな。 (Amazon, link)
世界は仕事で満ちている 誰もが知っている、でも誰も覗いたことのない38の仕事案内:こちらも先々週の東京出張の時におすすめ頂いた本。帯にある「シゴトは選ぶな、選ばれろ。」は自身の仕事観と通じるところがたっぷりで、紹介されている焼き芋屋、死に化粧師、田舎の映画館主、缶コーヒーブレンダーなど、いろんな仕事の現場に想いを馳せました。一生懸命な人は漏れなく美しい。 (Amazon, link)
重力と恩寵:長い間、じっくり読み進める予定。言葉が突き刺さってくる。シモーヌ・ヴェイユ、ルネ・ジラール、デカルトの思想は近々じっくり吸収したいので、そろそろ年末年始の「じっくり読書リスト」を作り始めないといけないかもしれない。 (Amazon, link)
ていねいな文章大全:これを読み終え、さらに身体知になったとき、このニュースレターの品質が最高になる予感がしています。美文よりも正文を。 (Amazon, link)
📻観た/聴いた
ジャパンオープン2023:最高でした。練習コートでみかけた、トップ選手がトレーニングに向き合う姿勢から最も多くを学びました。Better than the Bestを目指す姿勢を持つ人はもれなくプロフェッショナル。尊敬します。
Ireland v New Zealand | Rugby World Cup 2023:いやー、すごかった、感動しました。4点差で迎えた後半37分から怒濤の反撃。アイルランドの37フェーズ(!)も続く攻撃も、ニュージーランド/オールブラックスの規律あるディフェンスも一級品。世界トップレベルってこういうやつだ。
🧩感じた/感じている
望月慎太郎がフリッツに勝つとは。「誰がなんと言っても」精神の所持者。
クロ現で渡辺先生が不機嫌になるのは至極当然。「誰がなんと言っても」精神の所持者。
3冊目の書籍は「意志決定を支える骨太な思想」、あるいは媚びについて書きたい。
選択と集中ばかりを繰り返していたら縮小均衡に向かうのが必然。歯を食いしばって拡大・拡張したり、新しいことにトライしないと、しょぼい最適化で終わってしまう。
怒られたくない、を行動原理として仕事をしている人が過半数。是非は脇に置いて、そういうものだと割り切ったときに、どう働くか。
ChatGPTに占いを聞く習慣が楽しい。AIは戯れるべき相手。
🍵今の関心事
「例え話」の抽斗をもっともっと広くしたい。何が出来るか。
沈黙の艦隊を読みながら考えたことを、いつ・どこで言語化するか。連載を終えて、の文章だけでも充分にしがみがいがある。
世界観・宇宙観をどう育てるか。最後の最後、その人の持つ世界観が面構えをつくる。
次の東京出張をいつにするか。戸越の拠点をフルで活用したい。
なぜテニスには個人グッズが少ないのか。野球もサッカーもバスケもバレーも、チームスポーツこそ個人グッズ販売が隆盛。個人競技こそ個人グッズでマネタイズしなきゃいけない/できるはずなのに。これが紐とけると、やりたい事業に発展する予感がしています。
🥑活動報告
先週はテニスのジャパンオープン2023に行ってきました。今週末は落語会に行きます。充実の秋、みなさんも一緒に楽しんでいきましょう。
先週、来年3月末までのプロジェクト見積を2件出しました。Cobe Associe、9月から始まった第6期、順調な航海を続けています。
今週も、Happy Weekを:-)