Cobe Associe代表の田中志です。このニュースレターはいま385名の方が登録してくださっています、いつもありがとうございます。
11/19に神戸マラソンを走ってきました。人生初42.195km。事前練習はテニス練習場の横を5kmほど走ったのを2回だけ。それでもなんとか完走して無事にタオルと完走メダルを頂きました。タイムは無視。ゴールラインを自分の二本の脚で超えられただけで大満足です。
三宮ど真ん中から西に向かい明石海峡大橋を超えて折り返し、最後は人工島・ポートアイランドの国際展示場でゴールです。道中、ランナーでも沿道でもいろんな人を見かけました。着ぐるみや阪神・オリックス・ヴィッセルユニフォームを来て走るランナーはもちろん、鍼灸院の宣伝Tシャツを着ながら走る経営者(賢い)や、おっきく「つらいゆーても申しこんだんは自分やで」と書かれたボードを持って応援している人(おもろい)まで。残り3km地点で「もうあかん!お風呂入りたい!」と泣きながら走っている女性ランナーも見かけました。みんなそれぞれの神戸マラソンがある。
マラソンは冷静に考えると不思議なもので、ただ走って疲労と痛みを溜めるだけの競技です。由来のイベントは戦争の勝利報告にあったわけですが、神戸マラソンに至っては直線でいけば3kmくらいところ、ぐるーっと回って42km稼いでいます。走り終えたら膝は痛いし足の裏はマメだらけになり、翌日からの生活にも支障を来たすことになるでしょう(私のことです)。それでも抽選に申し込み、安くない参加費を払ってスタートラインに並ぶ。
沿道で応援されている方々は、見知らぬ人にも応援の声を送り、給食やコーラ、エアーサロンパスなんかを提供しています。実際に自分が走るまで、こういう方々がいることを全く知りませんでした。脚が動かなくなったときに飲むコーラ、本当に美味しかった。。
思えばどのスポーツも、自己満足の世界です。結果的に誰かを喜ばせたり、喜ばせてもらったりがありますが、プレイヤーも応援者も、基本姿勢は自由・勝手気ままにやっている。なぜ?どうして?を考えてはいけない領域なんでしょう。昨年書いた第93回は、結局はそういうことを言いたかったのかもしれない。
先週から読んでいる森博嗣のエッセイに、自己満足の話がありました。マラソンこそ、ランナーも沿道の人も、正しく自由な個人的楽しみを追求している場なのかもしれません。
自己満足という言葉が、 忌み嫌われているのは、実に不思議な現象といえる。満足はそもそも自分でするものであって、自己満足こそが正統な満足なのである。日本の社会は、村というか集団の中における一員として、個人というものを縛っている。そういう古来の文化がある。集団のために個を抑える自己犠牲こそが尊いものであり、周囲から認められることで初めて本当の満足が得られる、という道徳が成立していた。そういった立場から、「そんなものは、単なる自己満足だ」と個人主義を否定してきた。
だが、現代はもうそんな考えは、はっきりいって古い。生活は豊かになり、都会的になった。村社会を嫌って、人々は都会へ集まったのだ。平均的に見て、かつてない豊かさも手に入れることができた。誰もが、自由に生きることができる。その権利が認められている。このような社会において、個人の楽しみは、自己満足へかぎりなく近づくだろう。
森博嗣『夢の叶え方を知っていますか?』朝日新書
11ヶ月間、他人を満足させるためにがんばってきた方も多いでしょう。最後の1ヶ月くらい、自己満足を追求して生活するのはいかがでしょう。
✏️読んだ/読んでいる
📃記事
「夢」のライフサイクル:冒頭の話からそのまま、"叶える"方の夢のお話しです。過去自分が思った夢に縛られる必要はない。この記事から更にもう一歩踏み込みたい人は『クランボルツに学ぶ夢のあきらめ方』がおすすめです。そして記事冒頭に出てくる↓、いい言葉ですわ。 (The Middle Path, link)
“If the path before you is clear, you’re probably on someone else’s.”
もし目の前の道がはっきりしているなら、あなたはおそらく他の誰かの道を進んでいる。- Joseph Campbell
Shein、Temu、TikTok Shopのような中国のeコマース・プラットフォームが世界を席巻する:ゲーミフィケーション知見により最適化された顧客体験。多品種大量生産で安価に一気に売りさばける製造・サプライチェーン網。環境負荷や労働環境改善を大事にするぞ!とタテマエ先行させている会社には難しいやり方。中国・インド等の越境EC支援のためにDHLが600億円投じて香港に物流ハブをつくったり、世界の勢力図を変えつつあることを実感する。 (Rest of World, link)
中国のeコマースがナイジェリアの偽造ファッションをいかに助長するか:↑と合わせて読んだ。人気ブランドを模倣した「フェイク・オリジナル」なるジャンルが確立、消費者ももちろん理解して買っていく。中国発のECを介して取引され、価格はオリジナルの数分の一(なんならノーブランド品よりも安い)。従来から活発だった古着取引を代替する新たな商機としていろんな業者が参入している。 (Rest of World, link)
ドミニカ、マッコウクジラのための保護区をつくる:領海内の800平方キロメートルの海域を、世界初のマッコウクジラ保護区に指定。商業船舶や漁業が立ち入ることが禁止される。 (Good News Network, link)
Amazon、Alexa担当の数百人を削減:ずっと注目されてきた音声インターフェース/スマートスピーカーだが、結局音楽再生や天気確認など基本的な利用に留まっているのが現状。Amazonとしては、全社で力を注ぐ生成AI活用などに人員を振り向けていくと社内向けのメモで発表。結果としてAlexaのユーザビリティも良くなるのではないかと。レシピだったり日曜大工だったりで、生成AI×音声UIの可能性はありそうだが果たして。 (bloomberg, link)
再生プラスチックとリサイクルレザーから考える環境負荷:プラスチック再生過程でも、マイクロプラスチックを大量に生み出してしまう現実。さて、皮革もリサイクルできないかと。リサイクル非核開発をしているGen Phoenixって会社が面白い。一度繊維レベルに分けてからもう一度編み込むのか。 (Future vvorld, link)
強すぎるリーダーシップは、その人自身にとって危険である:「ハーバードからの贈り物」にあったお気に入りの話の一つ、まずい食事と真実、を思い出した。私自身は、柔らかくも強いリーダーシップの在り方を追求していこう。 (タイム・コンサルタントの日誌から, link)
自分で思っているほど周りは自分のことを見ていない「スポットライト効果」:覚えておくと心の安寧を得られる心理バイアスランキング第1位(私調べ)がこれ。何か恥ずかしいことしてもそんなに周りの人は見ていないし、何かすごいことを成し遂げたと思っていても周りの人はそんなに評価してくれない。周りに拘らず、淡々とやっていこう。 (Nazology, link)
📙本
アンディ・ウィアー短編「卵/ The Egg」:「火星の人」「プロジェクト・ヘイル・メアリー」ファンとして、Web公開されている作品を知らなかったのは不覚。丁寧な日本語翻訳までありました。ドメイン名まで最高である。 (galactanet, link)
数学と文化:読むべきは骨太な本。この本はまさにそれ。ゼロは発見されたのではなく、数字の記法を発展させていく中で発明されたんだなと腑に落ちました。より良い民主主義・議論のためには数学が必要、というのは蓋しその通りっすね。数学を軽視する人、もれなく議論下手。 (Amazon, link)
📻観た/聴いた
ラトビアの陶器作家・Laima Laurina:カラフル。飛び抜けてきれい。(link)
Great Art Explained:15分で名画やアート都市を紹介しているYoutubeチャンネル。想像・創造について書かれた本でよく引用され、アンディ・ウォーホルが信奉していたことでも知られるルネ・マグリットについて勉強しました。素敵だなと感じるアートワークの背後には必ず不穏さがある。 (link)
🧩感じた/感じている
テニス大会で優勝、マラソンは完走、仕事もいくつか依頼頂けて、よい11月だった。良い習慣と良い取組を毎日、毎週、毎月続けていきたい。
長い距離を走るなど身体にグッと負荷をかけると、心身の調子が良くなる。
いよいよPS5でAC6をはじめなくちゃ。。2ヶ月以上寝かせてしまっている。
🍵今の関心事
灯油バーナー/アウトドアコンロを使って、どんな炊き出しおじさんになるか。
来年の世界1周、いつどこへ行くか。先にばつーんと予定を決めちゃうのが仕事上は好ましいが、世界情勢が不安定すぎて決めきれない。南米に行こうと思っていたが、アルゼンチン大統領選の結果を見ると安易に近づけないかもな。。
🥑活動報告
今週月曜〜木曜は東京に滞在しています。年内最後の出張なので、いろんな人に年の瀬挨拶をするぞ。
来年1-3月のお仕事は100%稼働が決まりました。250%位まで踏ん張って伸ばして、2024年/4月以降ゆっくり出来るだけの余裕をつくるぞ。
3冊目執筆の企画をはじめました。ChatGPTさんが捗る。。
そろそろ、来年から働いてくれる長期・学生インターンさんの募集をはじめます。最近「スタートアップ如水会」に参加したので、一橋大学の学生・院生を採用したいところ。。
今週も、Happy Weekを:-)