知りたくないですか?
ランディ・パウシュ『the Last Lecture/最後の授業』がそのテーマで話しています。膵癌で余命幾ばくもない大学教員・研究者であるランディが、最終講義としてかつての教え子や同僚に向けて『子どもの頃の夢の叶え方』をユーモアたっぷりに話す。みなさんの貴重な80分を捧げるに値するコンテンツだと思います。
この動画冒頭の、学部生だったランディが当時の指導教官が語りかけた、
ランディ、君は素晴らしいセールスマンになれるだろう。
それなら、世の中で最も価値のあるものを売るべきではないか?
思うに、それは教育だよ。
にグッときた私は真に受けて大学院に進学したし、「あぁ私にPhDの道は無理だなぁ」と大学院でしっかり挫折し就職活動でもするかというときにも、ランディがアメフト/NFLのプロ選手になる夢を諦めたシーンで出てくる言葉、
"Experience is what you get when you didn’t get what you wanted.”
経験とは、元々望んでいたものが得られなかったときに得られたもののことを言う。
が背中を押してくれました。経済学の博士号、研究者としてのポストは得られなかったけれど、自分が何が好きで(考えること)、自分が何に向いていないのか(数学的厳密性・ロバストネスを突き詰めること)に気づくことが出来たのは貴重な財産です。経験とは、元々望んでいたものが得られなかったときに得られたもの。
その他にも、夢をかなえるための大切な教訓が詰まっています。
難しい課題との向き合い方(それはあなたの本気度を試すために存在している)
不運に直面したときの心の持ち方(どんなに悪い状況でも更に悪い状況になり得る。さてあなたはどうする?)
貴重な時間と精神エネルギーの使い方(通常の人が不平不満に注ぐエネルギーの1/10でも、あなたがそれを問題解決に注ぐことばできるなら、物事がどれほどうまくいくかに驚くはずだ)
あ、あと、ランディが女性たちに対して伝えた「良い男の見極め方」も。バレンタインデーも近いですから。
“When it comes to men who are romantically interested in you, it’s really simple.
Just ignore everything they say and only pay attention to what they do.”"あなたに恋愛感情を抱いている男性に関して注意すべきことは実にシンプル。
相手の言うことはすべて無視して、相手のすることだけに注意を払いましょう"
何を言うかよりも何をするか。更に、何を言うかより何を言わないか、何をするかよりも何をしないかに人の生き様や姿勢を如実に表します。何より、ランディの生き様も、この講演の最初に「癌の話は一切しません」と力強く宣言するところに現れています。「何を言わないか/しないか」を徹底すること。もしかしたらこれが一番大事な夢への道なのかもしれません。
✏️読んだ/読んでいる
📃記事
自分を救うプログラミング:30代になると仕事で実感する、「誰かのため」ばかりで動いていると、自分自身が細って弱っていき、突然プツンと切れてしまうこと。なにか・誰かのためでなく「ただこれは自分のため」と言い切れる何かを握りしめておきたい。 (sizu.me, link)
2024年の予測コンセンサス:S&P500は最高値更新、AI関連の裁判増加、ウクライナ戦争/ガザ紛争は終結しない、海運のボラティリティ増加、減量薬GLP-1がいっそう普及などなど。 (Visual Capitalist, link)
ピザの宅配ドライバーが恋しくないか?:UberEatsやDoorDashが蔓延る世界で。私は、ドアを開けた瞬間に良い薫りのする平たい箱を持った人がすくっと立っているあのわくわく感が恋しい。おしゃれさゼロの呼び鈴・ピンポンも恋しい。 (The Atlantic, link)
!/?など感嘆符からみるジェンダー規範:「メールを書き終えたら、感嘆符をすべてピリオドに置き換えなさい。プロらしく見えないから」との助言の背景に、どんな規範があるのか。米国でもそういうのがあるのね。日本語でも文末の締め方に組織文化やその人のキャリア背景が色濃く出るなと感じます。同じ著者が書いたエッセイ「正しい忙しさ」素敵です。忙しさには中毒性がある。 (Anne Helen, link)
"Plant-based"は意味を失った:日本語でいう"オーガニック"のように、かつては肉の代用品として機能していたラベルが、今ではシャンプーや酒、他ありとあらゆる製品に使われている現状。私がマーケティング/マーケターと言われる領域が生理的に苦手な背景に、こういう言葉冒涜を意図して実行することを善とする文化がある。 (The Atlantic, link)
ウクライナで傷ついた兵士たちを癒やす麻薬療法:PTSD治療などだけではなく、戦場に赴く兵士の恐怖感低減にまで使われている可能性があると。SFやんけ。The Economistらしく、画像も風刺が効いていてよい(よくない) (The Economist, link)
健康的な睡眠のために最適な食事とは?避けるべき食習慣は?:遵守しましょう。 (gigazine, link)
果物や野菜、豆類、全粒穀物をしっかりとること(脂肪分の多い魚、乳製品、キウイフルーツ、ベリー類などおすすめ)
コーヒー/カフェインは午前中までに済ませること
アルコールは控えめに済ませること。
人生を考える20のパラドックス:捜し物のパラドックス、知性のパラドックス、努力のパラドックスあたりが好みです。 (Sahil Bloom, link)
探しているものを見つけるために、探すのをやめなくてはいけない。
知性は愚かさにつながる。
楽そうでしかしエレガントな振る舞いは、単に大量の努力と厳しい練習の結果。
📙本
POP URBANISM: 屋台・マーケットがつくる都市:欧州や東アジア圏の屋台・フードコート文化を紹介しています。オスロやロッテルダムのフードコートがたいへん美しかった。日本でフードトラックやコンテナ活用型店舗をやることの法規制課題も指摘されていて勉強になった。地震耐性考えると難しいが、古いコンテナの利活用にはビジネス面だけではなく文化復興活用の可能性が眠っていそうだ。 (Amazon, link)
満足の文化:現代の民主主義は「満足した中間層以上の選挙」によって成り立っており、社会運用に不可欠な下層市民の声は無視され、長期投資は過小になる運命にあるのだと指摘した30年前の書籍。ファンダムベースの政治・選挙は一層進み、著者である経済学者・ガルブレイスが指摘した問題はいま、もっと深刻になっていそうだ。現代日本の選挙、ステークホルダーみな(含む 有権者)は全員大なり小なり既得権益を持っていて、それを失わないための(しょぼい)闘いをしています。悲しいね。それでも、出来ることをやろう。 (Amazon, link)
意思決定と合理性:1978年ノーベル経済学賞の受傷者ハーバード・サイモンは「人間に備わった認識能力や推論能力には限界がある。そうした個人や組織において最良の決定を下すことは果たして可能なのか」この問いと向き合います。私は終盤の、組織としての意志決定部分が好きでした。ちくま学芸文庫は素敵な古典作品で溢れているので、図書館でよい本を探すとき「ちくま学芸文庫」縛りで検索をするのおすすめです。 (Amazon, link)
📻観た/聴いた
笑いのカイブツ:主演の岡山天音が天才。迫力と狂気がすごい。モデルとなっている人がどうこう、はあるんですが、それを脇に置いて、岡山さんと菅田将暉をじっくりみつづけると最高の気持ちになれます。一流を目指すなら、全部無視して、すべて捧げて、狂気と献身の中を生きていかないとあかんねん、と改めて。一流のプロフェッショナル・クリエイターを目指す人に刺さる部分が必ずある。「しょーもな」と思ってからが人生。
Perfect days:役所広司がとにかくかっこいい。ドイツ監督が描く日本・東京が詰まっていて、あれ?と思う会話・コミュニケーションもあるけど、最後振り返って「何が描かれなかったか・語られなかったか」を感じると最高の気持ちになれます。そして、いろんな悲しみや不条理が詰まっているこの作品のタイトルが"Perfect days"ってのがまたいいですね。 (link)
ニューヨーク・オールド・アパートメント:幸せを求めて母子3人でペルーを飛び出してニューヨークで不法移民として生活を始めた一家が主人公、彼らの悲哀を描きます。虫や出血シーンが苦手な人にはお勧めできない(私は虫と出血シーンが苦手)のですが、刑務所にはいっている男が、娼婦としてお金を稼いでいる彼女にお金の無心をするシーンのやりとりが最高でした。このやりとりを観られただけで価値があった。 (link)
男「裁判に金がかかるんだ。もっと送ってくれないか?」
女「…夜が足りないの」
男「借りたりできないのか?」
女「夜を?」
ミツバチと私:男優賞・女優賞が廃止され、性的区別のない「俳優賞」が新設された2021年のベルリン国際映画祭で、当時9歳・史上最年少で最優秀主演俳優賞を受賞した作品。トランスジェンダーをテーマに据えつつも、家族や自然など印象に残る主題がたくさん盛り込まれています。バスク地方の水辺が美しい。撮影は自然光のみで行われたとのこと。行ってみたくない?私は行きたい。 (link)
🧩感じた/感じている
テニス・全豪オープンが素晴らしかった。Netflixの「ブレイクポイント」で大けがからの復帰でフィーチャーされていたA.ズベレフがC.アルカラスに勝ったのが最高のグッときたポイント。男子ダブルスでは43歳のR. ボパンナが優勝して世界ランキング1位に。私も年齢・経験を言い訳にせず全力でやるぞ。
賀茂とうふ近喜の京揚げ、お取り寄せが届くのが楽しみ。
どんなときも「いま、ここで、わたしは、何をするか」から始めること。
「むかし、あそこで、あいつは、こんなことをした」を考えていても何にもならない。が、メディアで報じられることのほとんどは、その性質上、それそのものである。
同時に、「いま、ここで、わたしは、何をするか」は、自分で考え抜き、決めきらなくてはいけない。誰も、それを真剣には考えてくれないし、当然決めてもくれない。森博嗣がいう『客観的な視点に必要な要素は「位置」ではなく「高さ」である』は正しい。別のイデオロギーに移動したとしても客観性は高まらない。
「勝つか負けるかではなく、勝つか学ぶかだよ」と自分に言い聞かせられないなら、そう言ってくれる人の近くにいるのが良い。
🍵今の関心事
私が「いいなと思うもの」を書き出すとすると、何を書くか。
温度が読めないからそろーっと足を入れたら"ちょうど"のあったかさだった温泉・お風呂。
謎のキャラクターが宣伝する昭和のお薬広告ポスター。(家電広告ポスターもよい)
真剣に研ぎ澄まされた包丁。
久しぶりに開いた紙の辞書から立ち上がるかおり。
お豆腐屋さんで買ったあぶらあげとうまい味噌で仕上げた味噌汁。
自然発生する拍手の渦。
マフラーがかけられている冬の街銅像。
映画館で余韻の長い作品を楽しんだあとの帰り道。
遠い目をしながらフガフガゆってるゴールデンレトリバー、その横でせわしなく鼻を動かしている柴犬。
運転中のラジオから突然流れてくるウルフルズとドリカム。
予定時間よりも巻きで終わる会議。あるいは、巻きで終わらせられる人が多い組織・会社。
短くはっきりとした書き出しからはじまる小説。
このニュースレターように"Buy Me a Coffee"をそろそろ整備したい。
🥑活動報告
このあとの飛行機で東京に向かいます。木曜2/1まで滞在予定。
今週末が通っている通信制大学の後期試験です。これで単位が取れれば無事に卒業、心理学士になります。次はスポーツ心理学に絞って勉強予定。
順調に売れている2冊目書籍、エージェントさん経由で予想外展開があるよと知らされました。4刷まで重版進んだだけでも望外なんですが、さらに。
21年末からやっているコンサルタント/事業開発系のコミュニティ・コンまなをDiscordに移行して無料化しました。挑戦と失敗、前進の人生です。勝つか学ぶか、ですね。
今週も、Happy Weekを:-)