仕事でも趣味でも熱中できるものができると、1日24時間じゃ足りない!と言いたくなります。いまの私です。1日48時間、仕事時間そのままで運動と読書と睡眠の時間を増やしたい。
残念ながら1日の全体時間を増やすことはできませんが、実際のところ、1日48時間にすることはできます。1時間の定義をいまの30分に変更すればいい。セシウム原子の共鳴周波数によって定められている1秒の定義はそのままに、その3,600倍とされている1時間を1,800倍にするだけ、簡単です。明日にもできる。
「ただ定義をいじっただけで実際の長さは変わってへんやんけ。影響ないやろ」そんなことはありません。なぜなら"なんとなくXX時間"と設定されているイベントがたくさんありますから。社内外メンバーでの会議の時間、ふわっと依頼された資料作り、ビジネス会食…いずれも特に理由なく「いったんこのくらいの時間で」と乱暴に時間が決められています。○報堂Grの会社にいたとき、「A社提案ブレスト/3時間」の会議招待がきたときは発狂寸前でした。
イギリスの海軍史家、C.N.パーキンソンは「人は利用可能な資源をあるだけ使ってしまう」という人間行動に関する洞察を元に、"仕事は利用可能な時間の限界まで拡大する"という仮説を提唱しました。時間の許す限り残業してダラダラ仕事をしてしまう、納期ギリギリまで先延ばししてしまう、そんな経験がみなさんにもあるのではないでしょうか。1日が48時間になり、1時間が実質いまの半分の長さになったとしても、1時間で達成される物事はそんなに変わらないかもしれません。
最近読んでいる横山禎徳・著『組織―「組織という有機体」のデザイン 28のボキャブラリー』にも、"組織の「体内時計」を早くする"ことが組織を強くする一つの視点だと述べられています。
…組織の「体内時計」というのは、その組織でどのように時間が流れているか、何が時間を区切る最小単位かという意味である。これは、実は日常の会社生活で、みんながなんとなく感じていることである。たとえば「お役所仕事」と言うと普通は、煩瑣な手続き中心の事務処理をしていると誰もが思ってしまう。すなわち、「体内時計」の針がゆっくり回っているのである。しかし、それは現象である。「時は金なり」、すなわち、より短い時間で処理すれば、顧客が喜び、コストが下がるのだが、それが最も大事だという価値観が、営利目的ではないお役所組織にないことが、その裏にある「中核課題」だ。
(中略)戦略の本質は差別化優位の確立であり、「体内時計」を速くする組織デザインは、まさにいま、多くの日本企業に必要な「時間差による差別化」戦略なのである。時間差の意味は、常に他より最低3年先を走っているということだ。(Kindle位置:609-630)
製造業系の会社には、世間の祝日などとは関係ない独自のカレンダーを設定しているところが多くあります(例:トヨタカレンダー)。効率重視の会社は1日48時間、クリエイティブ・アイディア勝負の会社は1日8時間、のように、組織によって固有の時間単位を生み出したなら、どんなことが起きるでしょう。会社間コミュニケーションでは混乱が起きるだろうけど、時差のようにいろんなツールで対応ができるなら、意外と社会厚生の総和が増えるかもしれません。
💼心惹かれたもの
電動リクライニングソファX5:電動スタンディングデスクで有名なFlexiSpot、ソファも出していることを先週知りました。オフィススペースに置きたい。 (link)
アジリティ/フットワークトレーニング:筋トレが習慣化してきたので、これからは機敏性・フットワークを何とかしようとしています。週2回やるぞ。(link)
✏️読んだ/読んでいる
📃記事
漫画制作における生成AI活用の現状:2024春:「創造性が求められる現場で生成AIってどう使えるの?」のリアルかつ具体的な報告レポート。自分と立場や背景が異なるキャラの発想を広げてもらったり、アイディア出しの壁打ち相手をしてもらったり、考える→選ぶに思考を簡素化するためにパターン出しをしてもらったり。クリエイティブの現場でこれだけ使えるんだから、普通の仕事の現場でも、工夫すればめちゃくちゃ活用するツールのはず。わたしも仕事でめちゃくちゃ使っています。 (RIETI, link)
意識も理想も高いけど実現には至れない人:"エンジニアリングでもデザインでもビジネスでも賢く効率的な仕組みを考えることよりも、それをメンバーに説明し、納得してもらい、実現することのほうが何倍も難しい" これが真実。その手間を惜しむ人は偉くもなれないし、リーダーにもなれないし、世の中に変革をもたらすこともできない。 (sizu.me/fromatom, link)
米国の雇用の大半は1940年以降に生まれた職業に就いている:1940年-2018年の労働者データを分析したところ、現在の仕事の約6割は1940年には存在しなかったとのこと。そして、この40年で生まれた仕事の多くが高賃金の専門職or低賃金のサービス作業のいずれか。これからの80年にも心配はいらない。仕事を選ばなければ、ずっと食い扶持はある。 (MIT, link)
NFTの10年がデジタルアートをどう変えたか:今年5/3が初のNFT誕生から10年の記念日。2021年には130億ドルにも達したNFT市場も23年までにほぼ崩壊したが、それでもニューヨークやベルリンのデジタルアート界隈では小規模ながら熱量ある企画が出てきているんだと。 (The Art Newspaper, link)
大文字の使い方にみる世代間ギャップ:スマホチャットなどの普及により、米国若年世代は文頭でも大文字を使わないのが一般的になりつつある(曲名や歌詞もそれを受け継いでいる)んだと。日本語だと書き言葉にどんな変化があるんだろう。句読点やカギ括弧などかしら。 (Future Party, link)
インターネットはいつも「ダメな場所」だった:SNSなどによりネットはどんどん荒れている/悪くなっているという人がいるが、過去30年分・5億件以上のコメントデータを分析したイタリアの研究チームによると特に"有毒性"の変化はみられなかったよと。場所が悪いんじゃない。人間っちゅー存在がそんなもんなんや。このニュースレター、タイトルがいいですね/"私たちが友人だったらチャット共有しているだろうリンク集" (Links I Would Gchat You If We Were Friends, link)
「〜があれば幸せになれる」思考の危険さ:人はどんな瞬間にでも幸せ/ありがたさを感じられるはずで、"If, then~"思考に縛られるとかならず不幸の瞬間が訪れます。記事中、↓の名言が出てくる映画『クールランニング』、めちゃくちゃおもろいのでおすすめです。 (Sahil Bloom, link)
金メダルは素晴らしいものだ。
しかし、金メダルがなくても充実した人生を生きられる人でなければ、
金メダルがあっても同じことだ。好奇心旺盛な人がもつ9つの習慣:紹介されているものの一つが「思いやりをもって耳を傾ける」。確かに好奇心旺盛な人ほどじっくり聞くのが得意で、挑戦心が薄い人ほど自分勝手にしゃべる (Ness Labs, link)
スケジュールの立て方について:とてもいい記事。エンジニア想定で書かれているが、コンサルタント1年生の人もぜひ「スケジュールってどういうアプローチで考えるのか?」に触れる第一歩にしてほしい。だいたいプロセス理解が粗い+見積時間がない(甘いならまだまし)人ばかりです。正しくスケジュールのことを考えられるだけで社会人トップ10%には入れるはず。 (qiita, link)
インフルエンサーになれなかった人生を見つめる:こういう失敗を冷静に振り返るコンテンツ、日本語でもたくさんほしい。若いときに取り組みたくなる何か、例えばスポーツ選手でも引退してからの生活の方が長い。絶望して諦めてから人生が始まる。倒れないことよりも立ち上がろうとすることのほうが大事。 (embedded, link)
📙本
センス・オブ・ワンダー(森田真生 新訳):次のポッドキャスト課題図書です。日々仕事で疲弊している人は、ぜひレイチェル・カーソンの自然観をいっしょに堪能しましょう。 (Amazon, link)
子どもたちの生を祝福する心優しい妖精に、なにか願いごとができるとするなら、私は世界中のすべての子どもたちに、一生消えないほどたしかな「センス・オブ・ワンダー(驚きと不思議に開かれた感受性)」を授けてほしいと思います。それは、やがて人生に退屈し、幻滅していくこと、人工物ばかりに不毛に執着していくこと、あるいは、自分の力が本当に湧き出してくる場所から、人を遠ざけてしまうすべての物事に対して、強力な解毒剤となるはずです。 (Kindle位置:130)
組織―「組織という有機体」のデザイン 28のボキャブラリー:面白くてずっと読んでいます。組織図は組織デザインの一構成要素でしかなく、そして組織のパターンはほぼほぼ既に歴史の中に登場し(ティール型組織も数百年前から存在していた)、成功も失敗も経験しているんだと。圧倒的な知のパワー/暴力を感じています。 (Amazon, link)
📻観た/聴いた
Pub Choir:先週届いたニュースレター"Dense Diversity"でPub Choirを知り、さっそくYoutubeで検索するとめちゃくちゃ出てきます。人種も性別も政治思想も関係なく、ただ歌う時間。めちゃくちゃ楽しいだろうな。これはめちゃくちゃ楽しいだろうな!
Pub Choirは、パブなどに集まって指揮者の指導のもと、みんなで歌う楽しくて社交的なイベント。見知らぬ人同士が集まり、ハーモニーをつくりながら歌を学び、それを生バンドや伴奏付きで一緒に演奏するというもの。歌唱力に関係なく誰でも参加できることを重視し、包括的であるようにデザインされています。
Pub Choirの理念は、歌を身近で楽しいものにし、従来の合唱団への参加を阻む障壁を取り払うことにある。歌や演奏の質よりも、集団で歌うという共同作業や高揚感に重点を置いています。リラックスしたフレンドリーな雰囲気の中で、新しい出会いや音楽作りを楽しむことができます。
British Airways - Kingdom Choir On Board Performance:↑を調べていたら出てきた、ブリティッシュ航空のシドニー行き・上空35,000フィートで歌われた"Stand by me"。英国王室の結婚式でも歌ったプロチームの力は圧倒的。こういう場に居合わせたら、スマホを掲げずに笑顔で聴き入る人でありたい。 (youtube, link)
🧩感じた/感じている
“第一に必要なのは大胆さ。第二に必要なのも大胆さ。第三に必要なのも大胆さだ” by キケロ。忙しくなってきたとき、守りに入りそうになる自分を奮い立たせてくれるこの言葉。
いつかこの企画に呼ばれたい。身近な探検をするなら本屋さんがおすすめ。> 【本ツイ!ー本屋ついてって1万円あげたら何買うの?ー】
どんなにストレスがたまっても、エンターキーにはやさしくしなきゃ。
他人に期待するところの少ない私ですが、人に望むものがあるとすればこれ。ヨシタケシンスケさんの作品好き。 (link)
🍵今の関心事
ケイトリン・クラークがWNBAでどんなプレイを見せるのか。初年度年棒が8万ドルと聴いて驚いています。安過ぎんか。 (link)
世界中で重要な選挙が相次ぐ今年、AIがどんな風に活用/悪用されるか。Rest of Worldの"Elections AI Tracker"を定期的にみています。
来月2冊目単著の印税が入るらしい。いくらくらいになるんだろう。紙の方は4刷/1.4万部なので掛け算ができるが、Kindle版がどれくらい売れているかがわからない。わくわくしながらお小遣い待ちです。
🥑活動報告
予定納税でバチバチに税金を納めました。また社会貢献をしてしまった…
GW前、今日から車で東海地域に出張です。先週いくつか頂いた新規のお仕事相談にどうお答えしたものか、悩みながら名神高速を疾走してきます。
今週末・金曜日にICL/眼内コンタクトレンズ手術です。麻酔の力を信じています。
今週も、Happy Weekを:-)