テニス界のレジェンドから、どんな話が聞けるのでしょう。
いま米国の大学は卒業式のシーズンを迎えています。ダートマス大学では、ロジャー・フェデラーが卒業生向けのスピーチの場に立ちました。テニスになじみがある人はもちろん、そうでない人にとっても素晴らしい内容なのでぜひ見てみてください。みなさんの忙しい生活のことを考えても、割くべき価値ある20分です。
才能に溢れたフェデラーですが、まずは努力を怠るなといいます。与えられるものとしての才能だけではなく、忍耐強く努力することで得られる才能を軽んじてはいけない。名門・ダートマス大学の卒業生に向けて、「努力せずに成功できるなんて神話だ」と力強く伝えています。
才能は重要です。しかし、才能には広い定義があります。多くの場合、それは贈り物ではなく、粘り強さの成果なのです。テニスでは素晴らしいフォアハンドが才能と呼ばれるかもしれませんが、テニスはもちろん人生でも、規律も才能の一つです。忍耐も才能です。自分を信じることも才能です。プロセスを愛することも才能です。人生を管理すること、自分を管理することも才能です。
そしてその努力を実際の現場で発揮するとき、目の前のことに全身全霊をかけながらも、その瞬間が過ぎ去ったならくよくよしてはいけないと言います。常に未来を向くことが(5時間に及ぶテニスの試合や数十年の人の一生のような)長期的なゲームに勝利するための秘訣。執着と放下のあいまで矛盾しながらやっていかないと。
私はキャリアで1,526のシングルス試合をプレーし、その80%近くで勝つことができました。さて、質問。これらの試合で何%のポイントを獲得できたのでしょう?答えはたった54%です。トップランクのテニスプレーヤーであってもポイント単位で見れば半分ちょっとしか得られていないのです。…この瞬間に限っていえば、目の前の1ポイントが世界で最も重要なことです。しかし、そのポイントを終えたなら、それは過ぎ去ったことに過ぎないのです。この考え方は非常に重要です。なぜなら、次のポイントに全力で集中できるからです。
どんなゲームをプレーしていても、時にはポイントを失い、試合を失い、シーズンを失い、仕事を失います。それは多くのアップとダウンがあるローラーコースターです。落ち込んでいるときには、自分を疑い、自己憐憫に陥るのが自然です。しかし…否定的なエネルギーは無駄です。
困難な瞬間を克服する達人になること、思うに、それがチャンピオンの証です。世界最高の選手たちでさえ、すべてのポイントを獲得できるわけではありません。彼らは何度も何度も負けに直面し、それにどう対処するかを学んでいるのです。あなたも、受け入れ、必要なら泣き叫び、そして必死に笑顔をつくり、前進しましょう。そして絶え間なく努力をつづけ、成長し、賢く働くのです。大切なことは、賢く働くことです。
Youtubeで“Commencement Address”で検索してみてください。あなたの心に残るスピーチが見つかるかもしれません。スティーブ・ジョブズのものが有名ですが、私は俳優デンゼル・ワシントンのUpenn 2011が好みです。頼るなら信念に。倒れるなら前に。Fall Forwardです。
💼心惹かれたもの
ケンゾーエステート『あさつゆ 2022』:辻本憲三さんが、カリフォルニア州ナパ・ヴァレーに拓いたワイナリーが出している白ワイン。代表作の赤・紫鈴は飲む機会がありそうなので、次は白のこちらを狙っています。 (link)
順天トマト:気になっています。トマト大好き家庭なので、爆買いの機運。 (link)
✏️読んだ/読んでいる
📃記事
経営とコンサルティングの原風景:CDI代表の小川さんと先月会食をご一緒し、ご執筆の文章のとおり、骨太でまっすぐなお人柄に感銘を受けました。わたしも「コンサルティングの原風景を取り戻す」ことに貢献したい。なにより、体現したい。 (note, link)
経営というものは、人が、そして人々が、直観と熱意を持って生み出し、紆余曲折・三歩進んで二歩下がる、を繰り返しながら、何とか獲得した成功を分かち合う、という営みであったはずです。ところがいつの間にか、経営は経営管理となり、組織的な予算計画を事業計画(分厚い書類!?)と呼んで作り、ステークホルダーに説明(論理的なプレゼンテーション!?)し、そこでの約束(財務指標でのコミットメント!?)を(時には手段さえも選ばず)守ることに奔走する、という一連の機能や業務となってはいないでしょうか。
次の大きなウェルネストレンドは「孤独」:いつでも誰とでも、をデジタルツールが推し進めてきた反動。誰かが参加してくれるのを待つのをやめて、とにかく自分のしたいことをしよう、自分の望むことをするためには他人が必要だという考えを捨てようとこの記事はいう。私は孤独を存分に楽しんでいる。 (GLAMOUR, link)
誰もがステロイドに頼る時代:スポーツがどんどんクリーンになる一方、スタイル重視の傾向が強まる一般社会でむしろステロイド依存が進行している。減量しかり、これまで努力と忍耐で勝負していた人が薬に頼るようになった。嘘偽りの時代。 (GQ, link)
EU諸国の主要輸出品:東欧はみんな自動車か。イタリアは意外に医薬品。マルタはIC/集積回路。キプロスは船。 (Visual Capitalist, link)
OpenAIはFacebookにすぎない:Appleはかつて「人類を進歩させる」ことを目標とし、Googleの非公式モットーは(明らかに茶番とされるまでは)「邪悪になるな」であり、Facebookの使命は「世界をひとつにする」ことだったはずだが、どれもその目標を達成したとは言えない。OpenAIは「全人類に利益をもたらす」としているが、それを信じていいのかとMatteo Wong氏は警鐘を鳴らしています。安全性に関わるメンバーの大量退職が続く同社において、"全人類"はステークホルダーになり得ないと。 (The Atlantic, link)
詐欺師がよくなりすます米7ブランド:Amazon、DocuSign、AOL、DHL、Microsoft、Google、Adobeの7社。日本でも楽天やドコモ、ヤマトあたりは多そう。Facebookが選ばれていないのは、本物の方が詐欺師っぽすぎるからかもしれない。 (Quartz, link)
男性用避妊ジェルは安全で効果的:まだ研究段階ですが上市は近いかも。12週間毎日塗布したところ、試験参加者の86%が精子抑制を達成。避妊に有効な時期は平均8週間とのことでした。変な啓発活動にお金を使うより、現実的な手段の平等、公正性を高めることが大事なので、大応援。 (CNBC News, link)
年の差恋愛を表す新語 "hagmaxxer":新語の世界は面白い。 (Daily Dot, link)
EURO2024に臨むベルギー代表ユニはタンタンモチーフ:めちゃくちゃかわいくないですか?? (Creative Bloq, link)
片手バックハンドの価値は強さよりもその創造性にある:テニスのお話。フェデラーのテニスはただ美しい。現役選手だと、私はディミトロフ推しです。シャポバロフもかっこいいけど。芝のシーズンに最高のスライスを見せてくれることに期待。 (The Atlantic, link)
📙本
愚者の街:出張先に向かう機内を豊かにしてくれた最高のクライムミステリー。 (Amazon, link)
「あんまり期待はしてないさ、ダイ。おまえはどこかの誰かのルールどおりに動いて、いつも負けて、何でだろうと首をかしげているやつだ」
「あんたは誰のルールで動いてるんだ?」
「俺のだよ。他の誰のでもない、俺自身のルールだ」
「それで負けたことはないのか?」
ネセサリーは酒を飲み干した。「そりゃもちろん負ける。だが負けても、少なくとも何で負けたかはわかってる」
(ロス・トーマス著、松本剛史訳『愚者の街(下)』新潮文庫、p142)
ナンセンスの絵本:『知の技法』のなかで柴田元幸先生が激賞していた翻訳家が柳瀬尚紀さんで、特に推していた翻訳書がこちらでした。少しでも英語がわかる人は、この本の中で行われている英語→日本語への変換活動がどれだけ高度かわかるはず。Google翻訳とDeepLがあれば英語の勉強いらんやん!という人にほど手に取って頂きたい書籍です。言葉の世界の奥行きはとんでもないな。 (Amazon, link)
身銭を切れ――「リスクを生きる」人だけが知っている人生の本質:「反脆弱性」が心に強く残っているので続作の本著もじっくり読んでいます。「身銭を切るという行為が、人間の傲慢さを抑制する」(Kindle位置:414)まさにその通りで、リスクとリターンの非対称性を許してはいけない。 (Amazon, link)
お金の減らし方:森博嗣さんのエッセイ。遊ぶ金を先に確保して、残った金を切り詰めつつ必需品に使う、って考え方が新鮮だった。そして、↓にある「お金and/or時間がないからやりたいことができない」と言う人に対する所感、ほぼ同じ感想を持っています。 (Amazon, link)
本当にやりたい、どうしてもやりたいと考える人は、「時間」も「お金」もなんとか工面してしまう。自分の好きなことをしている人は、まるで自由人のように傍から見えるけれど、時間とお金が潤沢にあるから、好きなことができるのではない。それは全然違う。かなり苦労して、時間やお金を生み出している。
(Kindle位置:564)
📻観た/聴いた
悪は存在しない:移動の飛行機の中で見ました。私が見たあれは、なんだったんだ…?? その他『The Martian/オデッセイ』『Barbie/バービー』もつまみ食いして、宇宙飛行士マーク・ワトニーがじゃがいもを栽培しながらカメラに「火星を植民地化しました!」と宣言するシーンでしっかり笑いました。アンディ・ウィア作品はもれなく最高だ。 (link)
🧩感じた/感じている
ラウンジで楽しむべきはトマトジュース。飲んだらあかんのが清酒。
冒頭のお話しからもう一度。Effortless success is myth. Fall Forward。
良い仕事をすることが最も効果的な営業活動。良い発言をすることが最も効果的な学習活動。
影響を受けるつもりで聞かなければ、「意見を聞く」ことはできない。
何があろうと前に進もう。ごちゃごちゃ言わずにやればいい。
🍵今の関心事
睡眠時間を半分にしてでも達成したいことが自分にあるか。森博嗣は1週間睡眠時間の半分を費やして小説の第1作を書き上げたらしいが、私はそこまで出来るか?いまはできない。
増え続ける研修系のお仕事、どう対応し、どう断るべきか。
🥑活動報告
今週水曜まで出張、木曜1日かけて日本に戻ります。金曜〜月曜までの4日間で3つもある飲み会に負けずにやりきりたい。
Cobe Associeの第6期も残り2ヶ月半、予定がほぼ埋まり、あとは真剣に仕事をする(+忘れずに請求書を出す)ことだけ残されました。昨年9月に立てた目標「売上も利益も最高にする」をばっちり達成できそうで嬉しいです。
次の9月からの1年間は、改めて人の採用と事業作りに挑戦したいと思います。神戸で一緒に働ける良い方を、ぜひ皆さんご紹介ください。