「実力通りとはいえ、残念です」
まっすぐに敗北を見つめる人間でありたい。
"伊藤園お〜いお茶杯王位戦"の第5局@神戸は藤井王位が勝ち、4勝1敗で防衛を決めた。22歳にして既に王位戦を5連覇、早くも永世王位である。挑戦者・渡辺明先生は局後に「4局目、5局目は序盤研究も含めて、いいところがなかったのは実力通りとはいえ、残念です」とSNSにポストされていた。勝負の世界は厳しい。
働き始めてびっくりしたことの一つに、『勝ち負けがはっきりするシーンは存外少ない』がある。学生の時に思い描いていた職場では、壁には営業マンごとの契約金額グラフが掲げられ、競合他社とはコンペでバチバチにやりあい、損失が出たときには会社全体に「なんだってぇぇぇ?!?」がこだましていた。しかし現実の職場はもっと淡々としたもので、ふんわりした拍手(=勝利)か、もう勘弁してくれよ・・・というため息(=敗北)があるくらいである。半沢直樹で描かれる出来事を現実の強度で表現し直したらとんでもなく地味な仕上りになるはずだ。
就職活動で体育会出身者が好まれる風潮の是非がよく議論になる。私は賛成で、それは彼らが「負けることとどう向き合うか」を知っているからだ。言い訳せずに負けたことを認め、次勝つために振り返りをする。「当たり前では?」という所作だが、いろんなものが曖昧になったこの社会にはいくらでも逃げ道が用意されている。某知事選で2位/3位になった政治家が開票後メディアに語った内容を見てもらえれば、曖昧さの行き着く先が見えると思う。
「私は決して負けない。勝つか学ぶかだ/“I never lose. Either I win or learn”」と言ったネルソン・マンデラの想いも空しく、多くの人は勝てもしなければ学べもしない。何なら負けたことに気づいていない人もいる。負けを認めるのは辛い。
昨日9/1から自社・Cobe Associeの6期目が始まった。この5年で経験した勝ち負けを思い出そうとしたがぱっと出てこない。学んだことといえば「誠実に良い仕事をするのが最大の営業活動」「『いざとなったら私がやります』と言えないことは提案すべきでない」「どんなに辛いときも真剣さとユーモアを忘れない」の3つくらいだ。私は敗北から目をそらしているのかもしれない。
この1年、「実力通りとはいえ、残念です」と心からいえるような失敗をしたい。その数日後、渡辺先生のように、広島・宮島を旅して充実した笑顔と余裕を見せられる大人でありたいと思う。
💼心惹かれたもの
矢沢農園 フルーツ会員:昨年「一坪オーナー」でお世話になった長野県松川町の矢沢農園さん、今年は梨の定期便をお願いしました。さっそく幸水が届いたのですが最高です。 (link)
✏️読んだ/読んでいる
📃記事
最下位という勲章~将棋で負け続けること~:勝ち負けのことを考える度、伊藤匠叡王のお父さんが弁護士会誌に投稿された文章を何度も読みなおしています。歴代1位・1,180敗している加藤一二三先生は歴代4位・1,324勝している棋士でもある。くじけなかったからこそ勝ち取れるのが最下位であり、負けは勝負の場に立ち続けたことの証でもある。 (LIBRA, link)
老化は44歳/60歳でやってくる:Nature Agingに掲載されたスタンフォード大の研究。あくまで観察研究で、かつ幸福度との相関は確認されていないとのこと。身体が元気なあと10年で色々やりきらなきゃな。 (MIT Technology Review, link)
高齢TikTokersが大活躍:「グランフルエンサー」というらしい。"介護付き有料老人ホームへの入居や家族で最後の一人になることの困難さなど、年を重ねることの華やかでない部分についてオープンに語る一方で、老生期の喜びについても丁寧に語る" お葬式から90歳代の恋愛まで赤裸々に発信しているみたい。 (The WALRUS, link)
規模縮小が続くニューヨーク:過去3年間でNYの人口は50万人以上減少、絶対数で全米1位、率にしても第2位(1位はサンフランシスコ)の縮小都市になっています。家賃の高さや税金等が原因として指摘されているが一番の仕事は単純に『仕事起因の転居』とのこと。フェニックスやオースティンなどテキサス州都市の人口が伸びていることをみても、どこで仕事が生まれているかは明らか。 (Financial Times, link)

記事出所元になっているニュースレター・Home Economicsを購読し始めました。住宅関連データは景気を考えるのに良い示唆をくれる。 巨大3Dプリンターがテキサスで『街』をつくっている:ICON Technology社提供の1台5トンもある巨大3Dプリンター。これで100戸の住宅を建て街を造るんだと。3Dプリンター、下火かと思いきやまた盛り上がってきてますね。 (Quartz, link)
米国のアボカド需要がメキシコの大量森林伐採を促進:少なくとも4万エーカーが伐採されたと現地NGOが報告。メキシコのアボカド産業は年間輸出額が30億ドルに上る巨大なもの。レポート内にある写真比較でも伐採が急速に進んでいることが示唆されています。 (bloomberg, link)
テスラは若者にとってもう "クール "ではない:モルガンスタンレーが自社夏季インターンに参加した学生575人に対して行っている調査の中で判明。EVそのものに対する興味が2022年対比で半減しており、完全自動運転タクシーに対すして魅力を感じる人も徐々に減っている。メルセデスやBMWに対する評価は底堅いとのこと。 (Investing.com, link)
資本主義があなたを孤独にしているのか?:世界中で問題となっている「孤独」は資本主義の進展と関係しているのかを133カ国のデータを使って検証。複数指標の導入や系列データの取扱などがめちゃ丁寧でいい記事だなぁと思っていたら、著者は配送系スタートアップ・Vinted Goのデータサイエンスリードで、経済学PhDでした。さすがの仕上り。 (Inexact Science, link)
「1年後もこのことが気になるだろうか?」で判断しよう:コラボファンドのブログ、好きな記事がたくさんある。恒久的な知識から触れていこう。期限切れの知識に振り回されないように。 (Collab Fund, link)
知識には2種類ある: 期限切れのものと恒久的なものだ。
期限切れの知識とは、四半期ごとの決算、選挙の世論調査、市場情報、政治などである。 それは2つの理由から、必要以上に注目を集めている。 ひとつは、私たちの短い注意力を引きつけようとするものがたくさんあること。 二つ目は、関連性が失われる前に見識を絞り出そうと躍起になり、情報を追いかけることである。
永続的な知識とは、期限切れの情報を理解するための原則や枠組みであることが多い。
怠け者のための生産性向上術:怠惰は美徳。紹介されている11個のうち↓5つをやってみるつもりです。 (The Guardian, link)
いったん全てを書き出す
Todoリストではなく「最初にやること」リストをつくる
自分なりの「集中力強化タイムテーブル」に従う
お湯を沸かしたりお風呂を入れたりする小さな時間にやることを決める
スマホにゴムバンドを巻く。
ログオフ論:「自分の注意が向かう先」は「自分の影響力でなんとかできる先」よりもかなり大きく広がっている。この2つの差はインフルエンスギャップとなり、怒りやストレスの対象になってしまう。ならばできることは、注意が向かう対象を減らす・強度を弱める(ログオフする)か、影響力を付けるかだと。記事先の図示がわかりやすい。 (Aaron Francis, link)
📙本
マンガ/清原なつの『千利休』:彼の生涯をマンガで学びました。描かれているタッチもシンプルでかわいい。千利休、生まれた家の苗字は田中なんですって。友だちだ。 (Amazon, link)
マンガ/正直不動産:持ち家購入前に読んでおくべきやつ。1-20巻まで読み通した感想としては、不動産業界で働き続けるの私には無理。。ニュース『不動産仲介業者の物件「囲い込み」を処分対象に(日経)』などをみて感じることが増えました。 (Amazon, link)
📻観た/聴いた
UTS Tour@New York:全米オープンが始まったいま、従来のテニスとは別フォーマットで行われているUTSの試合を観ています。(シングルスのみ/時間・クォーター制)スポンサーに、NA事業でベンチマークしているLiquid Deathが入っており、私がやっていることは間違っていなさそうだと自信を深めています。 (link)
Big Bang Theory ファイナルシーズン:途中まで観てとまっていた米ドラマシリーズの最終シリーズがPrimeビデオにありました。米コメディはいいぞ。真剣にくだらないことをやろう。 (link)
Mitch Epstein/Old Growth:古い大木を取り上げる写真シリーズ。自然の偉大さにひれ伏そう。 (link)
🧩感じた/感じている
いろいろ食べてきたけど、ほっともっとの海苔弁は常に至高の存在。
収穫逓減の法則、覚えておくだけで判断ミスが減る貴重な原則。人間の脳は何でも線形に変換してしまう癖があり「これは非線形か?どんな関数系?」と疑いから入るのが吉。特に他人が勝手においしい話を持ち込んできたとき。
世界的にバックギャモンが盛り上がっている。一層やりたくなった。(link)
狂気は力。You Kosekiさん自選集を改めて通読する。
🍵今の関心事
Cobe Associeの第7期、新しい事業年度が始まった。どんな1年にするか。向こう10年のためにこの1年で何を仕込むか。
会社として、個人として、どんな時間軸でどんな良い変化を起こしていくか。
🥑活動報告
今月下旬のオフィスオープンに向けて備品の調達を始めました。オフィスバスターズさん、お世話になっています。心惹かれたソファがあったので、高かったのですが腹を括って買うことにしました。見合う人間になろう。
NAビール事業、助成金獲得のために申請書を1本書きました。書くことで磨かれる思考がある。ゆっくりじっくりがんばります。





