毒を持つ。
10/21-10/27、考えたこと雑記。
新しいことをはじめるには、おもろいやつと腹を括ったやつが必須である。これまでの通説やそれらが依拠する基盤そのものを揺るがす「おもろさ」と、誰がなんて言おうと揺るがない信念・図太さで表現される「腹括り」。賢さや知識は二の次三の次、結局ものごとを前に進めるのは頭ではなく肚と手脚である。
平時において、おもろいやつと腹を括ったやつはノイズである。平和な日々、まっすぐにやるべきことをやる時期において、いちいち組織の前提を揺るがされていたらたまらない。平時の組織で評価されるのは有能かつ従順なスタッフである。異端は排除され、ムリ・ムラ・ムダが減り、滑らかな組織が実現する。素晴らしいことだ。が、平時に最適化された組織は脆い。論理のみを突き詰めた先に遊びはなく、遊びがないところに人間らしい活動は生まれないからである。
鷲田清一が『京都の平熱 哲学者の都市案内』の中で語る”京都らしさ”は、歴史の深みや日本文化の応答ではなく、多様性に拓かれた懐の深さだった。
奇人のいる街は住みやすい。これ以上行ったらほんとうに終わり、という人生のリミットが眼に見えるかたちで示されているからだ。人生の里程標が明確に刻印されている街とでも言おうか。逆の言い方をすれば、そのリミットのうちなら何をしでかしてもどうにかなるという保証とも言えぬ保証があるからだ。こういう意味で、奇人のいる街は自由である。
それはまた成熟のしるしでもある。異物を異物として遠ざけながらも、その存在を許す懐の深さがあるからだ。それを危ぶむより、ひょっとしていつの日か街が行きづまってにっちもさっちもいかなくなったときにその存在が世直しのきっかけとなるかもしれないという、あんまり当てにならない予感をそれでももちつづける余裕があるからだ。…
見て見ぬふりをする。遠ざけながらもその存在を許容する。これこそ成熟した都市がはぐくんだ寛容の精神である。そんなモダンな都市でこそ奇人伝説は生きながらえる。ノイズこそ活力の源だと、そんな無意識の計算ができることが、モダンな都市住民の条件なのかもれない。 (pp.60-61)
この1週間、どうにもエネルギーが出ない。最大値は変わらないのだけど、日々の平均を取ると普段の7割くらいに落ち込んでいるように感じる。喉の調子が悪く気分が優れないのもあるのだけれど、なんとなく億劫な気分が続いている。
日々の生活におもろさ、気合いが必要なことが足りていないのかもしれない。大きな組織だと人の幅で分散を担保できるのだけど、私の場合頼れるのは自身のみだ。エネルギーにも巡りがあるとは思うのだけれど、自分の中に毒を持たなくてはいけない。毒こそ面白さ、ブレない肚の源である。
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💼心惹かれたもの
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✏️読んだ/読んでいる
📃記事
“接続が生む過度集中“&“複利が生む地殻変動“が時代を動かす:『ブラックスワン』や『身銭を切れ』でおなじみのナシム・タレブが接続性が極大化した世界で何が起きているかを7つの要素に凝縮して伝えている。①”勝者総取り”の加速②総量より成長率③S字成長カーブと債務増大の罠④移民の必要性vs感情対立のギャップ拡大⑤情報市場混乱と大規模検閲の破綻⑥巨大化する政府⑦スケールこそ戦略。 (Nassim Nicholas Taleb, link)
人生はポーカーでありチェスではない:マッキンゼーやVCを経て起業家になった著者が、キャリア・人生のあるべき捉え方を説く。完全情報ゲームで最善手が常に存在するチェスと比べ、不完全情報・複数プレイヤー・動く原則、そして運が圧倒的な支配力を持つポーカーのプレイスタイルこそ良い人生を歩む参考になる。「多くの人がポーカーの世界でチェスをしている」と嘆く彼が語る7原則とは。 (The Bird’s Nest, link)
1回1回の結果よりも、プロセス・意思決定の質を評価する
自分にとって有利なテーブル(=環境)を選ぶ
時間・信用・心身健康・お金など人生資本とリスクをバランスさせる
とにかく生き残ることで非対称分散の成果を目指す
対人評価を「良い/悪い」のように単純化せず確率分布・グラデーションで捉える
知らないこと、わからないことで溢れる”不完全情報”状態に堪える
負けた後にこそ自身の感情をコントロールする(Never tilt!!)
遊びとしての哲学:「遊びでしかない何か」にぎりぎりまで迫ると仕事とは何かが見えてくる。 (あさひてらす, link)
東京の地下鉄からUXを学ぶ:東京の鉄道システムは「移動」を“体験”として設計している。紐解く鍵は「想起ではなく認知」「意図の可視化」床の矢印から多言語・多モーダルの案内、発車メロディや指差喚呼まで、”迷わせない/誤らせない/不安にさせない”を全方位で積み上げ、混雑都市のフローを成立させている。数百万人の“迷い”と“事故”を未然に防いでいるこの取り組みから学ぶべきコトはあまりに多いと著者。 (Linh Nguyen, link)
GoogleがAIの力で核融合実現を加速させる:Commonwealth Fusion Systemsと提携し、AIを活用して核融合炉・SPARCの設計・制御を最適化しようとしている。人間認知を歪ませる画像・動画生成よりよっぽど魅力的な技術活用の方向性である。 (Deepmind, link)
『植民地時代以前のインドは豊かだった』なる神話:「インドはかつて世界GDPの25%を占める富国だったが英国支配で没落した」なる話を聞いたことがある人も多いだろう。この主張は統計の誤読と概念の混乱に基づいていると丁寧に指摘する記事。1700年時点でのインドの生活水準はイングランドよりはるかに低く、ムガル帝国創始者のバーブルも「下層民は裸で歩き食事も風呂もままならない」と語っていたという。香辛料・金・宝石などの資源の存在と人々の豊かさを混同してはならないという歴史の教訓。 (Patterns in Humanity, link)
朝に踊る”カフェ・レイブ”:中国、都会の若者たちの刺激欲求を満たすには夜のクラブや昼のカフェだけではもの足りない。音楽と活力とコーヒーが交差する空間を、朝にこそ見出そうとしている。夜遊びと飲酒を前提としない、酩酊レスな音楽体験はウェルネス志向を体現する新しい社交様式になるかもしれない。 (Jing Daily, link)
フィラデルフィアの発電所がスポーツ会場に生まれ変わる:Cool !! (Dazeen, link)
悪人の良き友であることは間違っているのか:「悪い人」と友だちでいることは、常にあなたの道徳性を傷つけるわけではない。一般的な直観を支える2つの前提「①友人は互いに同化する(悪さが“移る”)②連座・同席はそれ自体が非難に値する」は常に正しいわけではないのだ。黒人ジャズ奏者 Daryl Davis がKKKメンバーと友情を築き、脱会に導いた事例は心を打つ。”強い友情とは、完全一致ではなく、深い不一致に耐えうる愛である” いい言葉だった。 (Psyche, link)
“良いイライラ”こそが偉大さに続く道:長く続く仕事・運動・善行・愛は、心地よさではなく「適度な気持ち悪さ・イライラ感」に支えられている。楽しさは徐々に減衰していくものの、違和感→それを是正しようとするループは無限に再生産される。だからこそ天職とは、自分を永遠に“適度にムカつかせる領域でかつ主導権を握れる領域”にあるはずだ。 「仕事が好き」とは「一日中“いい感じにムカつく”」の婉曲表現である。(Experimental History link)
📙本
京都の平熱 哲学者の都市案内:京都駅を出発して市バス206のルートを辿ってぐるっと一周、街の歴史や様子を哲学者・鷲田清一が自由に記していく。聖俗混じり合う街の魅力を存分に感じ、紹介される居酒屋や喫茶店を自然にメモしたくなる。京都弁で”地味で控えめながら上品”なことを意味する『こおと』、すてきな言葉だと思いました。ブランド名にしたい。 (link)
亜空間不動産株式会社:倒産間際の不動産会社社長がある日異世界への入り口を発見、その先の土地を何とか登記して売れないものかと頭をひねり。。。というSF小説。「全宅ツイ不動産チンパンジー情報」で紹介されており読んでみるとまぁ面白い。土地と宗教の繋がりの深さよ。 (link)
第三の時効:おもしいなぁとおもった警察小説は初めて。キャラが強い。 (link)
📻観た/聴いた
commune@instagram:海外アーティスト、好きな作品がたくさんあります。
🧩感じた/感じている
盛りと旬は異なる。盛りを過ぎたら下り坂、というような単次元の捉え方はもったいない。巡りの中でいろんな旬がある。野菜も魚も人間も、いろんな旬といろんな楽しみ方がある。
「安易な○○は間違い/やめるべきだ」はよく見るのだけれど「安易な○○は正解/やるべきだ」を見ることはない。実際の主張は「安易にものごとを判断すべきはない」ということでしかないのだけれど、○○に対するネガティブ視点をばらまくこの主張の仕方、認知のズレを狙った小狡い手法で嫌いです。 → 作家・幸田真音氏 アベノミクスの安易な継承は間違い
“迷ったらワイルドな方を選べ””脱皮しない蛇は死ぬ””利益はすべてを癒やす” link
🍵関心事
身近な対立をより良いものに昇華するためにできること。
人間味と商売の統合方法。
🥑活動報告
今週末31日に納税対応予定。創業来最高益なので、創業来最高額納税です。
今週大きな仕事が決まったら、11-12月に大きめ投資の意思決定をします。
<お便りをお待ちしています>







