がりサワーは私の道徳律。
今年があと10日ですって。本当?
下戸の人にはわからない話しだと思うのだけれど、ばっちり当たりの居酒屋お酒メニューというのがある。有名銘柄や評判の銘柄が揃っていればいいというものでもない。焼酎の割物に梅干しがあったり、ぬる燗の日本酒が頼めたり、ビールは大瓶・中瓶両方を置いていたり(さらにキリンとサッポロを選べたり)、そういう小さなことの積み重ねで当たりランプが光る。成功は一日にして成らず。店主のこだわりと客からの要求が交差するところがメニューであり、共同作業でつくられるのが当たりメニュー表である。(外れメニューは店主・客のいずれか或いは両方の責による)
当たり確率をぐっと上げるお酒がある。『がりサワー』だ。炭酸割りの焼酎に生姜甘酢漬けが沈む最高の逸品である。唐揚げや天ぷらのようなやんちゃな揚げ物にも合うし、もちろんお造りやお茶漬けとは抜群の相性を誇る。濃さが合わない?マドラーでぎゅっぎゅと中身をつぶせば味を濃くすればいい。梅干しやレモンを加えてもおいしい。最初の一杯としてもいいし、最後さっぱりと締めるのにもいい。無敵である。
下町のナポレオン・いいちこ公式ページでは”焼酎のオツな飲み方”と紹介されている。わたしはオツな人間になりたい。そしてがりサワーが体現するすべてを受け入れたい。飲みもの占いがあるなら「あなたはがりサワーですね」と言って欲しい。(やってみたらカフェオレだった)私が魅力的な人間性の内に求めるもののすべてをがりサワーが持っているのだ。遊び心、適応力、包容力。
この2週間、客観主義/オブジェクティビズムの旗手アイン・ランド『肩をすくめるアトラス』を読んでいる。無自覚冷笑他責パーソンが大量登場するだるい小説なのだが、だからこそ主人公のかっこよさが際立つ。「人間は謙虚であることが第一の美徳」「何もしようとしないことこそが啓蒙された証」のような欺瞞が蔓延る世界にあって、責任をまるっと引き受け、ただものごとを為すために邁進する2人の経営者(鉄道会社・鉄鋼会社、どちらも責任の産業である)。ある種の軽薄さが尊ばれる現代でも、尊敬されるべき存在が描かれている。
機械をみるといつも心が踊り、自信が湧いてくるのはなぜだろう?ーー彼女はおもった。この巨大な物体のなかには、非人間的なものに属する二つの側面、理不尽さと無目的さがすがすがしいほど皆無だ。モーターのあらゆる部分は「なぜ?」「何のために?」という問いに対する答えを具現化したものだーー彼女が崇拝する精神が選ぶ生涯の歩みのように。モーターは鋼鉄で鋳造された道徳律なのだ。 (p398)
あらゆる理不尽さと無目的性を排し、意味と機能が見事に結合したモーターこそ彼女の道徳律(面白いことに、京都のモーター屋創業者は無道徳のために放逐された)。同じ論理でいうなら、”がりサワー”の文字を見る度に心が踊る私にとって、遊び心と適応力、包容力を体現するがりサワーは自身の道徳律である。2026年もこのままやっていこうと思う。
<お便りをお待ちしています!!>
💼心惹かれたもの
AIリング・Pebble Index 01 :スマートウォッチの始祖として2012年に登場するも時代の先を行きすぎて2016年に事業を終了したPebble。その創業者が改めて投下するのは音声記録用のリング。運転中にボイスメモを取りたくなることがたくさんあるので注文してみた。予定では来年3月の発送。楽しみ。 (link)
電子黒板・MAXHUB:知人が「最高の使い心地!」と言うので調べてみたら300万円もする。でも大変良さそうだ。次の大きな仕事が完了したらご褒美として買おう。謎の時計を買うのに比べたらよっぽど良い趣味支出だ。 (link)
次世代エルゴキーボード・Moonlander Mark I:現在Apple純正キーボードを使っているんだけど、両手ポジションが近く、たまに肩甲骨の貼りを感じることがある。執筆系仕事でWord/Note系アプリを扱うことが増えてきているので、キーボードをより身体負荷が少ないものに変えていこうかと思案中。知人が良いよ〜と薦めてくれたMoonlanderが気になっている。 (link)
✏️読んだ/読んでいる
📃記事
クリエイティブな仕事にこそ構造・規律が必要:創造的アウトプットはカオスや徹夜から生まれてくるわけではなく、土台としての構造や規律が不可欠である。明確な期限やフィードバックルール、会議の最小化やまとまった集中時間の確保、明確なブリーフィング、データ管理等など、プロジェクトマネージャーがしっかりロジを固めているからこそ創造思考に時間を割くことができる。クリエイターが嫌うのは構造そのものではなく、無意味なルールや不可思議な会議である。創造的カオスの神話を打破せよ。 (Design Work Life, link)
核家族は”失敗した実験コンセプト”:人類史の99.9%で、子育ては親族や隣人を含む”拡張家族”で行われてきました。親だけで子育てを完結させる必要のある核家族という考え方はここ数世代の特異な現象に過ぎず、親、特に母親に過度な負担を強いている。核家族という理想は、経済的余裕や健康といった社会特権を持つ人々しか維持できず、貧困層、障害者、性的マイノリティなどを排除するシステムになりうる。共同体による子育てへの回帰を真剣に考えなくてはいけないときがきたのかもしれない。(The Auntie Bulletin, link)
おい、努力しろ:、思考停止の根性論(ただ頑張ること)と「戦略的な自己変革(努力すること)」は全く別なものであり、成長のために必要な痛みを避けていては結局何も出来なくなってしまう。初心者が最初から効率や戦略を求めると、何もできなくなる。初期はとにかく量、泥臭く手を動かし、失敗や非効率を許容しつつ経験を積み重ねなくてはいけない。後期は質重視・戦略重視で、効率的にやっていけばいいのだ。まずは苦しみを引き受けること。社会よりも自分を変えろ。努力しろ。 (じゃあ、おうちで学べる, link)
「頑張らなくていい」は、時に正しい。でも、多くの場合、それは逃げだ。そして、私たちが本当に必要としているのは、「頑張らないこと」ではない。「正しく頑張ること」——つまり、努力することだ
“信仰の危機”を前にしたとき:愛する人の遺言ともいえるメッセージが、ある日突然、デジタルの海から消えてしまった。その喪失感を”巨大企業の罪”として、ボードリヤールやマクルーハンを引用しつつ、「これはテック企業の搾取構造のせいだ」「現代社会の病理だ」と分析する著者。しかしふと、この知的にみえる分析は、単に「愛する人が二度と戻らない」という圧倒的な絶望を直視しないための自己防衛ではないのかと戸惑う著者。知性と感情の狭間で揺れる、普遍的な悲しみと向き合う人間の葛藤がみえる素晴らしいエッセイだった。 (internet princess, link)
高度なLLM「僕たち人間より合理的なんですよ…」:AIは自己認識を持つようになるのか?ゲーム理論を用いた新しい指標・AI自己認識指数(AISAI)を導入し、OpenAIやAnthropic、Googleなどの28の最新LLMを対象に「平均の2/3を当てるゲーム」で検証。75%・21モデル の高度なモデル(GPT-4, Claude 3 Opusなど)は対戦相手が人間かAIかによって明確に戦略を変更。相手がAIだとナッシュ均衡に近い数値を、人間だとより大きな数値を提示。これはAIが「自分たちは人間よりも合理的であり、自分と同じ種類のAIこそが最も賢い」と認識していることを示唆。高度なAIモデルは、すでに機能的な自己認識を持っており、自分たちを人間よりも優れた意思決定者としてモデル化していると考えられる。 (arxiv, link)
リバースエンジニアリングできない”魂”を中心に据える:“パーパス”が、本来の「組織の存在意義を示す北極星」から逸脱し、単なるマーケティングスローガンや、実態の伴わない道徳的なポーズとして使われている。ただの美辞麗句で飾られたスライドのためでなく、どうすればブランドに血を通わせ、本当の意味で付き合いたいと思わせる”人格”に育てられるのか。そのためには、ブランドの性格、振る舞い、物語、そして矛盾まで含んだ、より多面的で人間味のある魂・ソウルの観点から感g萎え始めなくてはいけない。信念と実際の行動が一貫して初めて、そのブランドに魂が宿るのだ。(Unorthodox Blend, link)
正義を消費したい人たちが自警団動画を観ている:真実は溢れているのに罰は下されない、そんな壊れた現実・日常がずっと続いている。その欠落を埋めるため人々はSNSを開き、自警団による私刑動画、女性主人公が不当な権力構造を破壊し復讐する”ロマンタジー小説”などに正義の代償行為を求めているのかもしれない。当然、コメント欄はどこも大荒れである。コンテンツとして消費される正義は、法制度への信頼崩壊と報いを求める人々の渇望を映し出す危険な鏡かもしれない。 (CONCEPT BUREAU, link)
自己啓発の弊害と社会開発の重要性:過度な自己啓発・“自分磨き”はナルシシズムに陥る罠かもしれない。記事著者は、マズローの欲求階層説の頂点にある自己超越/Self-Transcendence、他者や社会への貢献を目指すことの重要性を語っている。自己修養や身内びいきを推奨した孔子より、万人愛・社会利益を重んじた墨子を尊くべきである。家族の世話、隣人の手助け、地域のコミュニティ作りのようなローカルな貢献とともに、キャリアを通じた社会課題の解決、寄付、政策提言のようなより広範な社会貢献にもエネルギーを使おう。世界にはもっとたくさんの、役立つ人が必要である。 (The Elysian, link)
タトゥーが象徴する東京の静かな文化変革:かつて罪人やヤクザの象徴だった日本におけるタトゥーが、新しい世代の手によって個性の表現やお守りへと意味を変えつつある。ほくろのような極小のドットを彫るアーティストや、ユーモアを交えたスタイルを提案する彫師たちも増えてきた。 同調圧力への静かな抵抗として、タトゥーが独自のポジションを獲得しつつある。(It's Nice That, link)
メキシコサッカーは投資家にとっての次なるフロンティア:欧州や米MLSのクラブが数十億ドル規模となり投資ハードルが高くなる中(とある銀行家はクラブ投資を”地上で最も高価なカジノ”と表現)、メキシコ・リーガMXのクラブは~1.2億ドルと手頃な価格(?)でありながら収益+30〜50%増という爆発的な成長の可能性を秘めている。米国に住む4,500万人のメキシコ系住民は米MLSよりもリーガMXを好んでいるとのデータもあり、今後放映権の一元管理などを通じて更に成長か。 (Front Office Sports, link)
📙本
一人称単数:村上春樹は短編が好きです。 (Amazon, link)
「言葉」があなたの人生を決める:Audibleで。アファーメーション、一時期と比べてブームが落ち着いてきた感じがします。本当に価値あるものは長く残る。では長く残らなかったものは? (Amazon, link)
肩をすくめるアトラス 第一部 矛盾律:読み進めるに従って面白みが増してきました。心に残った部分です。 (Amazon, link)
「製造業やセックスに精神は関係ない。それなのに人間が気にかけていることといえばこの二つだけ。物欲ーー人間が知っていて、気にするのはそれだけだ。我々の偉大なる産業の証ーー文明と呼ばれるものの唯一の業績としてーー意図的に、利益目的で、豚のような道徳意識の野蛮な唯物主義者が造ったもの。流れ作業で十トントラックを生産するのに何の道徳もいりはしない」
「道徳って何かしら?」彼女はたずねた。
「善悪を見分ける判断、真実を見る目、それに基づいて行動する勇気、良いものへの献身、いかなる代償を払ってでも善きものの側に立ち続ける決意。だがそんなものどこにある?」
少年がからかい、嘲るように鼻で笑った。(pp.287-288)
📻観た/聴いた
シューマン・謝肉祭:上述、村上春樹作品にこの曲をモチーフにした短編がある。Youtubeコメントをみると同じたどり着き方をしている人がたくさんいました。好きな作品だ。
🧩感じた/感じている
ワウリンカが来シーズンでの引退を発表。魅力ある片手バックハンド選手がまた一人コートを去る。
考えるのではなく、体現せよ。あるいはライプニッツが言うように『過剰なまでに思考し、過剰なまでに実践せよ』
思考主義:コンサルタントとして最も忌避すべき考え方のひとつ。知性そのものが世界を救うことはない。
🍵関心事
日本国債長期金利上昇、影響をどこまで見積もるか。
米国との関係がこじれまくるベネズエラはどこに向かうのか。世間の注目が中米に向かう中、アフリカやインド周辺で何が起きているか。
トランプ・メディアと核融合スタートアップ・TAE Technologiesの合併にどんな裏があるのか。どこかのPodcastにExメンバーが出演して語ってくれないかな。
2026年、テニスラケットを買い換えるかどうか。いまNordicdotsのModel100(神戸で販売してます)を愛用しているのだけれど、レベルアップのために別ブランドを使おうかと思案しています。
🥑活動報告
先週仕事の大きな山を越え、今週は比較的落ち着いて過ごせそう。停滞気味のテニスお仕事に渇を入れたい。新しく仕入れたニットがかわいくていい感じです。
<お便りをお待ちしています!!>



