イヤホンを外して街を歩こう。
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オフィスの近くに、うまいハンバーガー屋があって、たまに食べに行くんですけど、先週もちょうど行ったんですよね。
ちょっと駅からは遠くて、三宮の駅からぐーっと坂を登っていった、住宅街というか、少し昔ながらのお店も残りつつ、ぽつぽつマンションがあるみたいな、そういうエリアのハンバーガー屋さんです。
結構本格的で、一番安いハンバーガーでも1,500円ぐらいかな。お肉もみちみちな感じで、おいしく焼いてあります、っていう。おいしいハンバーガー屋さんなんですよ。
私が行ったのが、いつぐらいだろうな、12時半ぐらいかな。行ったらもう中はパンパンで、カウンターが何席ぐらいかな、7つ、8つぐらいあるんですけど、ちょうど3つ空いていて、私がそのうちの1つに収まりましたと。
注文を終えて、ワクワクしながら待っていたら、後ろの席から「キャー!」っていう、女性の悲鳴というか、楽しい「キャー!」があるじゃないですか。芸能人に会った人が近くにいた、みたいな「キャー!」という声が聞こえて。
そして、若い男女が入ってきたんですよね。20歳そこそこかな。
その女性が、店員さんに向かって、
「なんでこんなところにいるの?」
「ちょうど○○の話してたの!」
「えー、すごい。なんでこんなところにいるの?」って言うてはるんですよ。
どうやら、その女性と一緒に来た男性は東京からいらっしゃっていたみたいなんですけど、ちょっと関係は不明です。その東京から来た男の子が神戸でその女性と会って、「昼、食べようか」ということになって歩いていた。
その歩いている途中に、とある男性の話をしていたら、その男性が店員さんとして、ハンバーガー屋にいましたと。
確かに、びっくりするシーンですよね。
私の横にちょうどカウンターで座っているので、話がいろいろ漏れ聞こえてくるんですけど、その男性同士は、結構、共通の知り合いも多い感じなんですよ。
まあ、いろいろ話すと個人情報なのであれですけど、
「同じイベントに出ていましたよね」
「○○さん、知り合いですか?」
「僕もです」みたいな、そういう話をしている。
男性2人の話は、なんかいろいろ発展しそうなんですよ。
「○○さん知ってます?」
「あ、ちょうど○○でお世話になって」
「へえ、僕も」みたいな感じで、次々と話が広がっていきそうになる。
その合間、合間に、女の子が、
「えー、すごいな。なんでこんなところにいるの?」
「ここに来る間、ずっとあなたの話してたの」
「えー、いつぶりだろう?」という、問いというか、感想というか、その3つをランダムに繰り返すだけなんですよ。
男性2人も、すごくまともな感じの人なので、その都度ちゃんと対応してあげる。
「ほんまやなあ」
「久しぶりやなあ」
「おー、おー、おー」みたいな感じで答えて、また男性2人の話に戻る。
しばらくすると、また、
「えー、だって来るとき、ずっとあなたの話してて」
と入ってくる。
それに対応して、また男性2人の話に戻る。
ということが起きていて、私は横で座りながら、「不思議な会話やなあ」と思って聞いていたんですよ。
3人とも年齢は近いし、たぶんバックグラウンドも近いんだと思うんですけど、会話の方向がこんなに違うことがあるんやな、と。
しかも、3人ともすごく仲がよさそうなんです。
何でしょうね。3人のタイプが違うというか、モードの話なのかな。
今回は男性2、女性1なので、発展していく系の会話が2人で、女性が浮いて見える、あるいは浮いて聞こえるんですけど、たぶん女性2、男性1になったら、また違った話の展開になると思うんですよ。
噛み合っていなさそうなのに、仲がよさそう。
そういう会話って、いいなあ、という話なんですけど。
ちょうどこのシーンがすごく頭に残っているのも、同じぐらいのタイミングで聴いていたポッドキャストの影響なんですよね。
「勉強人」というポッドキャストを最近聴き始めまして、小説家の小川哲さんと、テレ東の大森時生さんかな、のお2人でやっている番組です。
その「勉強人」の中で、恋愛リアリティーショーの『今日、好きになりました。』、いわゆる「今日好き」の話をしていたんですよ。
その「今日好き」の中に出てくる男女の会話は、マジで中身がない、と。
それは別に悪い意味だけではなくて、中身がない会話でも、2人がいい感じにやれている。
小川さんたちは、
「今の若い人はこうなんですかね」
「そういうものなのかもしれない」
「なんなら高校生のときは、みんなそうだったかもね」みたいな話をしているんですけど、それをすごく思い出したんですよね。
ハンバーガー屋さんで、私の横で話されていた会話も、男性2人のやつは、共通の知り合いの話から始まって、
「技術をどこから仕入れているか」
「次にどうするか」みたいな、社会活動につながっていきそうな、いろいろと広がりのある会話なんです。
一方で、女性側の会話は、よくも悪くも中身をあまり詰め込んでいない。
「こんなことが起きた」という事象や、シンプルな自分の感情を、そのまま場に落とす、というカラーになっている。
考えてみると、自分自身の日々の会話も、ちょっと油断すると、ハンバーガー屋の男性2人がやっていたような会話ばっかりになってしまうな、という気がするんですよ。
中身はスカスカなんだけど、なんか雰囲気がよくなる会話。
そういうものも、していかなあかんな、と、ふと思ったんですよね。
会議のときに、すぐ、
「アジェンダは?」
「結局、あなたは何が言いたいの?」とか言う人がいるんですけど、私はあまりそういう人が好きじゃない、というのもありまして。
いろんなコミュニケーションの場があると思うんですけど、「情報量ゼロの会話をしたっていい」という思いはあるんです。
ただ、いざやろうとすると、なかなか難しいよな、という気がするんですよね。
私は『今日好き』を見たことがないので、実際にどんな会話なのかは分からないんですけど、そのポッドキャストで聞いた感じによると、
「ずっと話したかったの」
「俺も」
「今日、本当に話せてよかった」
「俺も。ありがとう」
「本当にありがとう。今日、時間つくってくれてうれしい」
「俺も、本当に話したいと思ってたから。ありがとう」
「時間きたね。じゃあね」みたいな会話らしいんですよ。
なんだ、それは、と。
好きな音楽とか、映画の話とか、普段何をしているかとか、そういうことはまったくなくて、
「あなたと話したかったです」
「僕もです」ということだけを交換して終わる会話がある、と聞いて、痺れたんですけど。
私がハンバーガー屋で聞いたやつは、比較的それに近い何かですね。
「ここに来るとき、ちょうどあなたの話をしていた」
というのは、1回言えば分かるやろ、と思うんですけど、7回、8回言うていましたからね。
いや、コミュニケーションって面白いですね。
お昼ご飯を食べに行くとき、ついイヤホンをして、いろんなものを聴いてしまうんですけど、街の音や、街の会話にも、もっと耳をそばだてていきたいな、と思ったのでした。
ぜひ皆さんも、「勉強人」、すごく面白いポッドキャストなので聴いてみてください。
小川さんの声が、私はとても好きなので、聴いていて心地いいですし。
ちょうど『今日好き』の前は、『REAL VALUE』かな、何かを勉強しよう、という回を聴いていて。私も『REAL VALUE』を見たことがないので、一緒に勉強させていただきながら、やっと社会に少しずつついていくことができるようになっているのかな、と思っております。
最近、聴くものに困っている方や、少し映像コンテンツから離れて目を休めたいと思っていらっしゃる方は、ぜひ候補の1つにしていただくといいんじゃないかなと思います。
じゃあ、今日はこの辺で。ありがとうございました。











