神戸から、おはようございます。
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昨年からビジネスコーチングに関わるようになり、人の成長について深く考える機会が増えました。先週のレターでお届けしたとおり、NHKの「奇跡のレッスン」に改めてハマり始めたのは、そんな文脈の中に生きているからでもあります。
2015年に南アフリカ相手にジャイアントキリングを起こしたラグビー日本代表を率いたあのエディ・ジョーンズが東京・目黒学院高校のラグビー部を5日かけて指導する回。名将が名将たる所以が見えてきます。
例えば、選手に対するメッセージの具体性と、身体感覚との繋げ方。
「ボールを持っている人の後ろに入れ」ではなく「ボールを持つ人の背番号を見ろ」と伝える
「ディフェンスは低く構えろ」ではなく「身長の75%の高さで構えて走れ」と伝える
「アタックは相手の逆をつけ」ではなく「相手の肩が前に出ている方向に走り込め」と伝える
あらゆるアドバイスは、ただ具体的なだけではなく、選手それぞれの身体感覚に紐付いたメッセージとなっています。アドバイスを実行できているかは、自分の視覚や映像を通じて即座に確認できて、曖昧さがありません。
またエディは練習中、良いことでも悪いことでも、気になったことがあればすぐにプレーを止めて選手を集めます。1日の終わりにまとめて伝えるでもなく、試合前にアドバイスをするでもなく、練習の中で、すぐに。まだ身体感覚が残っている内にフィードバックをしないと、ただ頭で理解するだけになってしまい、行動改善に結びつきません。頭ではなく、行動を変えたいのであれば、フィードバックは行動直後に行わなければなりません。これも改めて、エディから学ばせてもらったことです。
さらに、2019年まで大坂なおみ選手のコーチを務めたサーシャ・バインが大阪学院大学高校の女子テニス部をコーチする回で、彼は負けた選手に対して「どんな試合も、勝つか学ぶか、だよ」と伝えています。今この瞬間だけを切り取ると「勝つか負けるか」となってしまいますが、考える時間軸を将来に拓くことで、この二択は「勝つか学ぶか」へと変わっていきます。スラムダンク、山王工業・堂本監督が『「負けたことがある」というのがいつか大きな財産になる』と言っていたように。
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ここからは、私が今週観たものや聴いたものなんかを紹介していきます。
✏️読んだ/読んでいる
📃記事
優秀さの尺度を多様に持つ:「こういう頂上感の良くないところは、ここが唯一の頂上だと思ってしまうところだ。パズル解決能力はそれなりに応用範囲が広いから、これが知性の唯一の尺度位に思ってしまうのだ。論理的推論・演繹の無謬性に対する過信と言ってもいいかもしれない。同じような事が、色々なスケールで起こっている。自分の得意な世界の尺度でしかよその世界を測れず、自分の考え方が優れているという結論に至る。自分の万能感が加速する」めちゃめちゃいい文章でした。私も、世界が狭いのはいやだな、と思っています。(Link)
責任を取ろう:「『失敗の責任は私にあります』と言えない責任者たちの話。」という記事から。制度に関係なく、人生に起きる全てのことに責任を持とうとする姿勢を持つ人が好きです。実際に全てのことに責任を取れるわけはないし、「責任を取れ!」と言ってくる人とは付き合わなくてもよいので。誰かの責任を指摘して糾弾している人、楽しい人生なんだろうか。 (Link)
つぶやきの力:『「今日は重大な決断をした」とつぶやくのは気持ちがいい。』という記事。詳細なイメトレを続けよう、習慣化しよう、という本論に賛成しつつ、私としてはつぶやきの力に注目しながら記事を読みました。とある数学者はどんな難問に取りかかるときでも「こんな問題、簡単だ」と声に出してからペンを持つ、と聞いたことがあり、自身をうまく扱うための魔法として“つぶやき”は有効そうだな、と感じています。 (Link)
この夏、核融合のPoCが始まる:2025年の本格運転を目指す国際熱核融合実験炉(ITER)に向けたコンセプト実証として、the Joint European Torus (JET)が今年6月に始まります。より安全で安定した核利用に向けて。数十年先には、エネルギー問題には一筋の光明が見えてきているのかも知れません。 (Link)
骨はミネラル分の電池:絶滅した無顎類の甲冑魚の化石を研究対象として、詳細な3次元画像が撮影できる集束イオンビーム走査型電子顕微鏡法(FIB-SEM)を用いて解析をしたところ、骨を起点としてミネラル代謝が行われていた事実が判明したとのこと。計測・測定技術の進化は思わぬファクトをもたらしますね。 (Link)
ライオン間のあくび伝染は「集団の強化」につながる:この研究内容もそうなんですが、「伝染性のあくびはチンパンジー、オオカミ、イヌ、ヒツジ、ゾウでも研究されている」にへぇ~っとなりました。 (Link)
マリファナ合法化は米連邦全体に広がるか:3/31にクオモ知事が署名したことによりNY州は全米で15番目の嗜好用大麻合法地域に。南部でもバージニア州が少量であればマリファナの栽培・所持が合法になる法案が可決。ニューヨーク州選出のアメリカ合衆国上院院内総務、チャック・シューマーは、この動きを連邦レベルで促進していくぞ、と鼻息荒め (Link)
米国で続く民族イシュー:2020年大統領選でも疑惑の地となったジョージア州で可決された新たな投票法とマイノリティー問題、メキシコ国境・移民希望者であふれる一時収容施設、Covid-19起点で過熱するアジアン・ヘイトと女性被害。世界は悲しい。
AIに対しても性差を感じる我ら人類:論文誌Psychology & Marketingに掲載された研究によると、消費者は女性性を持たせたAIの方が「温かみ」「感情の豊かさ」について高い評価を下したとのこと。ジェンダーバイアスは、多寡は別にして、全ての人の中にある。言葉がある限り。 (Link)
“Less is better”なのに加えてしまう我ら人類:University of Virginiaの研究チームによると「何かを取り除く方がより簡単で有利な場合でも、人間は余計な要素を追加することで、こうした課題を解決する傾向がある」とのこと。さらに「減法による解決策は認知的に利用しづらく、また、人間は加法による解決策を探し続けているという事実が、我々が過密スケジュール、過度な官僚主義、地球への過度の負担などの課題を減らすのに苦戦している理由の説明に役立つ可能性がある」と示唆。研究紹介動画もあるのでぜひ。 (Link)
深夜のスナック菓子は翌日の仕事生産性に悪影響を及ぼすという研究:ノースカロライナ州立大の研究チームより。「知っとるわ!でもやめられんやろ…」という声がどこからか聞こえてきます。 (Link)
📙本
三体Ⅱ(上):やっとゆっくり頁をめくれそうな時期が来たので大作に手を伸ばしました。巷で言われるとおりの名作感。宇宙をテーマにしたSci-Fiを読むと、いつも人間について考えさせられます。 (Link)
The Economist:1ヶ月に1回、その月のThe Economistがまとめて届くのでまとめ読みをしています。全部は読みきれないんですが、Business欄を読んで、Asia欄を読んで、その他見出しをザーッと通し見するくらいでも、習慣としては続けていきたいなと思っています。(Link)
経済セミナー vol.719 2021年4/5月号:実証ビジネス・エコノミクスの新連載が始まりました。元・経済学徒として(数式部分を一部飛ばしつつ)楽しく読んでいます。思考道具としての経済学は、万人におすすめできるパワフルさです。 (Link)
🎥観た/観ている
ドキュメント72時間「大病院のコンビニ それぞれの“生きる”」:心臓が動くのも生きること。身体が動くのも生きること。食べるのも生きること。仕事をするのも生きること。家族を支えるのも生きること。いろんな生きるが入り交じった場でした。220円、私の周りにいる方に、この回は見て欲しいです。 (Link)
ハマーの電動SUV:斜めにも走行できる電動ピックアップトラックがHummerブランドで登場。航続距離は500km弱、価格は11万ドル程度とのことで、実際の発売は2023年を予定。ご予約はこちらから。 (Link)
GoogleのCovid-19国内感染者数予測:4/4~5/1の28日間、全国で陽性者数67万人、死者1.6万人と予測。過大ではとの指摘ありつつ、さてどうか。 (Link)
📻聴いた/聴いている
Rebuild 301: Science of Happiness:ばっちり影響されて、Courseraで “The Science of Well-being”の受講をはじめました。講座内で紹介されているPodcast “The Happiness Lab with Dr. Laurie Santos”もちょこちょこ聞いています。higeponさんの語り口、フェアで率直だと感じられて心地よいです。 (Link)
yama - 春を告げる / THE FIRST TAKE:何度聞いても最高にいいですね (Link)
🧩感じた/感じている
新規事業の問題ではなく、組織の問題だ。戦略の問題ではなく、組織の問題だ。組織の問題は、他の誰の問題でもなく、あなたの問題だ。
意識しながらやると動きがこじんまりする。
自分と自分以外の境界は、身体の境目におくのが一般的かもしれないが、唯識の思想に従うのであれば、自分が見ている石も、花も、あらゆるものが自分になるはず。
最適を求めるために往々にして邪魔になるのがプライドだが、プライドを完全に放棄した仕事や生活に何か意味があるのかは甚だ疑問
🍵今の関心事
全人類について、そのときの感情がおでこに表示されるようになったとしたら、人のコミュニケーション形態はどう変化するか。また、ニット帽は法律で禁止されるか。
口癖の処方は人を変えるか
決定版と称されるコンテンツに触れてそれを決定版に出来た人はどの程度いるのか
会社としての今期の残り期間(~8/31)、どこで何をして過ごすか
🥑活動報告
長くご一緒していた重めのリサーチワークが片付き、少しずつ手元に余裕が出てきました。また次の調査・コンサル案件開拓を始めていこうと思います。
Courseraで、deeplearning.ai提供の“Neural Networks and Deep Learning”とYale Univの “The Science of Well-Being”の学習を始めました。ひっそりUdemyでAdobe Premier Proの使い方も勉強しています。今月を学習強化月間、来月を研究テーマ研磨月間にする予定。昨日の自分よりも少しでも良くなる・善くなるように努力するのは、いつでも楽しいしわくわくする経験です。
2年ぶりにVIA Surveyで性格特性調査をしました。誠実さは変わらず、スピリチュアリティやユーモアが上に来ていました。思慮深さや自制心は皆無です、自覚があります。性格特性や強み診断は、定期的に受けて変化をトラッキングするのがいいですね。
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