神戸からおはようございます。
このニュースレターはいま132名の方が登録してくださっています。いつでも133番目をお待ちしています。いつもありがとうございます。登録は↓からです。
いま一緒に働いてくれているインターンの子たちがとても優秀で助かっていまして、いろんな基礎調査やツール作りをやってくれているのですが、彼らがつくってくれたものの一つにSlack上で動く雑談Botがあります。うちのチームはみんなリモートなので、お互いの人柄だったり考え方を掴むのがなかなか難しい中で、このBotがチーム内でのコミュニケーションをよくしてくれている実感があります。(自家製Collaみたいなイメージです)
このBotが最近投げてくれた質問の一つが、「もし学校に戻れるとしたら、何を勉強したいですか?」というもので、考えさせてくれる良い問いだなと感じました。そのときにはサクッと数学・物理・化学みたいな答えを返してしまったんですが、いま考えると広い意味でのマナーかな、と思っています。
最近中央公論新社の「考えるマナー」という本を読んでいて、これはいろんな分野の人がいろんなテーマ・場におけるマナーについて書いている本です。酔っ払いのマナー、インタビューのマナー、駅名のマナー、官と民のマナーなどなど。あらゆる処にマナーがあるんだということを、詩人の穂村弘さん、作家の三浦しをんさんや井上荒野さんなどが素敵な文章と共に教えてくれます。
特に大好きだったのが、哲学者の鷲田清一が書いた「アホのマナー」という節で、『「アホやなぁ」-いたわりの言葉である。』という一節には心を打ち抜かれるような衝撃がありました。この文章は、
かつては、他人を歓ばせるために進んでアホになるひとたちが数多くいた。それがいまは、アホに なると「責められる」「責任を負わされる」と言って、なかなかアホになろうとしない。 「アホやな あ」という言葉でたがいにリスペクトしあうような関係はどこへ行ったのだろう。 「それはまだ人々が『愚』と云う賢い徳を持って居て、世の中が今のように激しく軋み合わない時分 であった」。明治四十三年、谷崎潤一郎は小説『刺青』の冒頭にそう書きつけていた。(pp.092)
と結ばれます。
新規事業や市場調査の文脈でいろんな会社の方とお付き合いをしていると、他人からアホだと思われること、賢くないと(一瞬でも)認識されることを心から怖がっている、嫌悪している(ように見える)方とお会いすることがままあります。そういう方が、少なくとも私の視点で、魅力的な人として移ることは皆無です。
私自身は積極的にアホであろう、愚人であろうと心に誓う夏の夕暮れです。
✏️読んだ/読んでいる
📃記事
いい加減味の違いがわかる男になりたい!:「味なんて『美味い』か『まずい』かの二択でじゅうぶん」「コクとかキレとかマジで意味がわからんし」わかる。私自身、ケチャップがかかっているとだいたい美味しいってなります。 (Link)
パンデミック関連の規制をすべて解除するイングランド:ワクチン接種が進み「感染者数と入院率の間の関連性が弱まっている」という前提で意志決定した政府、さてどうなるだろうか。 (Link)
中東レバノンの行方:インフレと深刻な経済危機が続き、首相候補が組閣を断念するなど混迷が続く同国。国民の半数が国連が定める貧困ライン以下で生活しているともいわれています。光は見えるか。 (Link)
MeからWeへ:New York Timesの記事。人は一人でいるときよりも人と一緒にいるときの方が5倍もよく笑う。人の喜びは集団にいる時にこそ生まれ、Weが失われたソーシャルディスタンス期にメンタルヘルスが悪化した人には内向的な人が多かったことなど、Weの大切さを改めて再認識。↑のB Corpの表彰企業にも Me to Weという名前の会社がありました、そういえば。 (link)
被害者意識に捕らわれる:TIV(Tendency towards Interpersonal Victimhood)と呼ばれる負の人格特性を持つ人は、さまざまな種類の対人関係において、自己が犠牲者であるという永続的な感覚を持っているとのこと。それではあかんとおもうんよな。 (link)
ポジティブな満足感が、睡眠中に記憶力を向上させる:ジュネーブ大学の研究。脳波測定(EEG)とMRI、そしてAIによる機械学習を組み合わせ、特定の学習内容が発する特徴的な脳活動を検出できる装置を開発。深い睡眠中に脳は「勝った記憶」を集中的に反芻することを突き止めたと。 いやなことは寝たら忘れる、はデフォルトだったんや。 (Link)
パンデミックのストレスでダメージを受けた脳を修復する方法:BDNF、ちょっと前のプロジェクトでやたらとやったなぁ。 (Link)
適切な名前で表現すること、あるいはスティグマの話: 記事原題は“Words matter: Language can reduce mental health and addiction stigma”、呼び名や単語選定は注意深く。 (Link)
プロジェクトを計画しすぎてダメにする方法:未知のものに挑むときにどのくらい計画というものが有効なのか。誰のためにあるのか、何を目的とするのか、それ次第なのじゃ。 (Link)
B Corp認定企業のトップ5% “Best for The World 2021”:Adam Smith InternationalやBusiness Development Bank of Canadaなどがランクイン。0 Employeesでも認定を受けているところがあるんだな。 (link)
ヘルスケア業界への投資とExit:バイオファーマ向けのシリーズA投資がぐんぐん伸びてる。癌領域や神経科学領域の伸張も著しい。svbのレポート、クオリティ高いなぁ。 (Link)
サイボウズ デザイン研修2021:自身がデザインするときに気をつけること、周りのデザインを見るときに気をつけること、デザイナーと一緒に働くときに気をつけること、いろんなテーマが網羅されていて一歩目として素敵。 (Link)
正直者の告白 (“Why Harvard and FAANG are overrated”):「面接で能力を偽ることはできても、毎日仕事で能力を偽り続けることは難しい」「書類上の資格は、すぐに本当の評価に取って代わられる」本当にその通りや。 (Link)
AI Quest 2021:経産省主催のAI/データ活用のための人材育成プログラム。2020年、私は成績優秀者に選んで頂いたりもしました。コミュニティも元気。 (Link)
📙本
考えるマナー:大人を悩ますマナーの難題に作家や芸人十二人がくりだす名(迷)回答集。最高でした。 (link)
「権力」を握る人の法則:「高い地位に到達する人とそうでない人は、二つの基本的な要素によって歴然と分かれる。それは、 困難に挑戦しようとする意志、 そしてその意志を目標達成に結びつけるスキルである」意志とは決意、エネルギー、集中。スキルとは自己省察、自信、共感 力、闘争心。頭がいいことは過大評価されすぎだ。 (link)
🎥観た/観ている
空中での鷹の挙動:2021 Audubon Photography AwardsのVideo部門受賞作品。羽ばたきながら、全く頭がブレていない。すごくないですか…??
Youtube Culture/Trend Report 日本版:過去1年間で動画コンテンツ(YoutubeやInstagramなど)を投稿した人は47%。7分半で大きなトレンドをつかめるやつです。 (Link)
Netflix 大坂なおみ:開会式での聖火点灯。日曜の1回戦勝利。素晴らしいテニスプレイヤーです。こちらも、いいドキュメンタリーシリーズでした。一流になればなるほど、周りの人は、その人の人間的な側面を遠ざけてしまうんだな、と感じます。 (Link)
Bauhaus Art Generator: “The site is intended to carry out experiments with famous and new styles of art. We like dynamic and generative design.” すきです。(Link)
📻聴いた/聴いている
いんよう!第153回【メドメイン社と胃がんの病理AI論文①】:空中戦のようなAIの意義だけではなく、病理医としてのフェアな視点と使い方のイメージ、論文の構成までお話が聞けたのはハイパー貴重でした。このレターで何度も繰り返していますが、いんよう!、素晴らしいPodcastなので是非。 (link)
いんよう!第152回【本をおすすめする回】:↑でご紹介した「みじかい髪も長い髪も炎」はここでご紹介されていて知りました。おわりに、を読むの、大好きですわたしも。 (link)
いんよう!第132回 DeepMind社のAlphaFoldの話:Github上でコードが無料公開されて、役に立つ・役に立たないなど一議論巻き起こしているAlphaFold2。その意味合いにちょっとだけアプローチできました。 (link)
🧩感じた/感じている
街の緑が濃くなってきた。
コーチというより、壁でありたい。
ピグマリオン効果は再現性に疑問が付されているが、誰かに対して期待を持つことそのものは快い体験だ。
多くの非専門家が「一家言ある」と感じてしまう分野とSNSは相性がすこぶる悪い。自分にできることは、そういう分野で信頼できるソースを見つけるか、距離を置くこと。
The world is your school. The market is your test. The graders are your customers. (by)
🍵今の関心事
表現の自由そのものは、どのような人にとって重要なトピックでありうるか。
私が本を出したことによってどんな変化が社会に生まれたのか、それを私はどう観測できるのか。
何かうまくいかないことがあるときに、それを早めに検知し、適切に修正する機構を自身に埋め込むために何ができるか。
ただ怒るために怒っている人、ただ悲しむために悲しんでいる人に対してできることは、距離を置く以外にありうるか。
🥑活動報告
Cobe.fmのカバーアートと紹介文を切り替えました。聴者、増えるといいなぁ。
先週、今年2回めの400ml献血に行ってきました。次は9月、成分献血を予定しています。
ハーバード・ビジネス・レビューの購読をはじめました。読むものはどんどん動いていきますね。
今週は講演会など外向けのアウトプットの場を多く頂いています。同時に、原理原則系のインプットもできるといいなと思っています。
今週も、Happy Weekを:-)