こーべ通信 vol.60:言い訳をしない大人になろう。
神戸からおはようございます。
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大人になることで自然に出来るようになることはそれほど多くないと思うのですが、数少ないそういうモノの一つに「言い訳」があります。年齢が行けば行くほど、なぜやるのか、なぜやらなかったのか、背景や理由を語ることが上手くなり、それはときにストーリーと呼ばれ、ときに言い訳と呼ばれます。同じものが別の名前で語られ、なんら語り方を変えるだけで非難から賞賛に代わることもあります。
人間には「理解されたい」という欲求があります。承認ではなく、理解です。2013年にハーバード大学卒業式の壇上に立ったオプラ・ウィンフリーは、
“The single most important lesson I learned in 25 years talking every single day to people, was that there’s a common denominator in our human experience. We want to be validated. We want to be understood.”
私が25年間、毎日毎日人と話してきて学んだ最も重要なことは、人間の経験には共通点があるということです。私たちは自分を認めてもらいたい。理解されたいのです。
と語っています。人から理解されない状態が続くと世の中の重みに耐えられない、だからこそ時間を経るに従い、他人に理解してもらうための理由付けが上手くなるのかな、というのがいまの私の仮説です。
最近、仕事で「この人は言い訳でなんとかしてきたんだな」と感じることがありました。そこそこ立派な肩書きを持った人で、これまでの成功のストーリーや、失敗から学んだこと、自分自身のやる/やらないの基準がどんなところにあるのか、朗々と語っていらっしゃったんですが、端的に感じました、かっこ悪いなと。
ストーリーだコンテクストだ、うるさい時代です。確かに幻想の中に生きるホモ・サピエンスとして、成功に文脈をつけること、失敗にも意味づけをすることは他人を惹きつけるのでしょう。単に、私がかっこ悪いなと思うだけです。
Being understood is not the most important thing in the world.
といったのは、女優で写真家のアレクサンドラ・ヘディソンとの結婚を発表したジョディ・フォスターです。何年か前に見かけて以来、大好きな言葉の一つです。
ストーリーや言い訳はあなたや私を救ってくれるかも知れないし、時には利することもあるでしょう。それでも、そういうものに依拠しない強さをもたなくてはいけないと感じます。
✏️読んだ/読んでいる
📃記事
ユヴァル・ノア・ハラリが語るウクライナ問題:必読。『ウクライナ危機の根底には、歴史の本質、人間の本質についての根本的な問いが横たわる。それは、人間は自分の行動を変えることができるのか、それとも歴史は無限に繰り返され、人間は装飾以外は何も変えずに過去の悲劇を再現することを永遠に強いられるのか、という問いである』から始まるロングエッセイ。 "Gunpowder has become less lethal than sugar."だと。もう一度いいますが、今週の必読です。必要なら私からギフトで記事を送るので、ご希望の知人の方はお知らせください。It all comes down to human choicesなんだぞ。 (The Economist, link)
100のアドバイス:先週から"99 Additional Bits of Unsolicited Advice"の内容をTwitterで取り上げていたんですが、Visakan Veerasamy氏のスレッドもめちゃよかったです。『笑いと不安はコインの表裏。不安がるな、と伝えることは更なる不安を呼び起こし、むしろその状況を笑い飛ばす方法を見つけられれば、自然に不安は消えていく』ですって。 (Twitter, link)
TEDとは何かを問うべき時が来た:リチャード・ワーマンが作った「排他的なオタクコミュニティ」から、クリス・アンダーソンの「真面目で作為的なトークイベント」へと変化を遂げた。TEDはテクノクラシーのプロパガンダ部門だったんだと。 "It is smart but not quite intellectual, personal but not sincere, jokey but not funny."だと。辛辣。古巣BCG、TEDとコラボしているんだよなぁ、やれやれ。 (drift, link)
イーロンマスクは昨年11月に57億ドルの寄付をした:不特定多数の慈善団体向けに行われ、寄付はテスラ株の譲渡で行われたようです。その納税額の大きさで話題をさらった彼ですが、昨年の株式売却の総額は164億ドルに上ります。 (The Information, link)
ディズニーは居住コミュニティをつくる:テーマパークから帰りたくない!と思う人に向けて、カリフォルニア州コーチェラバレーの1.9千戸コミュニティ “Cotino”などを提供していきます。外部ディベロッパーと提携しつつ、Disneyとしてのストーリー作りを支援していくとのこと。(The Verge, link)
Salesforceは従業員向け文化施設をつくる:"Trailblazer Ranch"と呼ばれるこの施設はカリフォルニア州スコッツバレーの75エーカーの土地に建設され、オンボーディングや人材育成の拠点として利用されるようです。素敵空間、いってみたい。 (Corporate blog, link)
西アフリカでジャーナリストを育成する:Centre for Journalism and Innovation Development(CJID)が主催している非営利団体・Dubawaは、シエラレオネやリベリア、ガンビア、ガーナで現地ジャーナリスト向けにファクトチェック訓練を行う6ヶ月間のプログラムを提供。COVID-19関連のMis-Informationが報じられる地域、政府職員の横領も指摘されており、ジャーナリストへの期待も大きいです。 (Reuters Institute, link)
Peloton失速から学べることは何か:2020年コロナ禍で追い風を受けた同社は急激な需要の増大に応えるため、アジアの製造拠点から米国まで(重くて大きい)バイク+ディスプレイ製品を空輸しており、現金を燃やし続けていた。結果、時価総額は1/5以下になり、2千人以上を解雇することになりました。 (Charter, link)
Google Docsはどんな風に使われているのか:教室の事例が興味深いです。Chromeのアドレスバーに "doc.new"と打つと新しいGoogle Docsが立ち上がるのは知っていたのですが、sheets.new/slides.newも使えるのは知りませんでした。sheetsは意外に便利かも知れない。 (quartz, link)
仮想不動産を買う:不動産価格が継続的に上昇するなか、"メタバース"と呼ばれる世界で取引される不動産の売上合計が5億ドル/年を超えたようで、今年は更にそれが倍になると予想しています。ここに全資産を投下するのはギャンブルですが、ポートフォリオの一部を投資しても良いのでは、と筆者は言います。 (Marker, link)
米国赤十字が血液不足に苦しむ:米国で使用される血液の40%を供給する同団体は過去10年で最悪の血液不足に直面していると報告。コロナ禍で献血者が10%減少しており、病院側が要求する血液の1/4しか提供できない日もあったとのこと。日本でも同じことが起きているのでは。 (JAMA Network, link)
人類が絶滅するなら、その原因は何か:YouGovが英国で行った調査結果。気候変動が人類終末の原因になると考えている人の割合は31%→42%に。これに似たテーマが世界SF作家会議でも取り上げられていましたね。 (YouGov, link)
DeepMindがつくる核融合炉向けAI:Swiss Plasma Centerと協働で強化学習システムを開発しているとのこと。電圧を毎秒数千回調整する必要があるtokamak(磁気コイルで囲まれたドーナツ型の真空)の管理最適化に役立つようで、確かに人類よりも信頼できるのかも知れません。この領域を扱ったSF作品がどんどん出てきそう。 (VentureBeat, link)
📙本
勉強の価値:森博嗣の文体に癒やされています。 (Amazon, link)
プロジェクト・ヘイル・メアリー:そろそろぐっと面白くなるぞ、の予感を感じています。 (Amazon, link)
円 劉慈欣短篇集:Podcast・Cobe.fmの次回ご紹介本です。大劉関連作品が今年は2つ予定されているようで、楽しみにしています。 (Amazon, link)
左利きのエレン:今頃読み始めてみました。代理店の人が全般的に苦手でして、ちょっと読後感も引きずっています。 (Amazon, link)
🎥観た/観ている
バック・トゥ・ザ・フューチャーのデロリアンが実現するかも:楽しみです。
The Future was never promised. Reimagine today. Sign up for the premiere of the DeLorean in 2022. DeLorean.com #DeloreanEVolved #Delorean #Auto #ElectricVehicle #Luxury #BigGameMicrosimulation of traffic flow:渋滞ってこうやって起きる/解消するんやながよくわかるシンプルシミュレーション。楽しい。 (link)
📻聴いた/聴いている
Rebuild 328:Equifaxのお話を聞くと、米国で働くのは本当に大変だと思わざるを得ない。いやはや、すごいな。Alpha Codeに読みやすい指示書を書くではないですが、DeepLが英訳しやすい日本語を書くように意識している自分を最近よく見かけます。 (rebuild, link)
What Don’t Look Up is really about:アカデミー賞にもノミネートされた話題のブラックコメディ映画「ドント・ルック・アップ」共同脚本家・David SirotaがVoxのPodcastに登場しています。サマリ記事はこちらに。この映画をみてどんな感情が生まれたとしても、それは狙いの中にある、ということなのでしょう。 (Apple Podcasts / Spotify)
🧩感じた/感じている
森博嗣のような文章を紡ぐ人になりたい。アンディ・ウィアのような文体で書き、物事を見る人になりたい。ユヴァル・ノア・ハラリのように語る人になりたい。私にロールモデルはいない。
"99 Additional Bits of Unsolicited Advice"がすばらしい。Bad things can happen fast, but almost all good things happen slowly. / The greatest teacher is called “doing”. / Work to become, not to acquire. Being wise means having more questions than answers. どれも至言。
これも至言。良い人間であることは大切だが、それを証明することばかりに気をとられていないか。 > "Be a good person, but don’t waste time proving it” by Manas Disoriya
私の仕事ぶりをAIに評価しないで欲しい。耐えられないから。その一点だけでも、将棋棋士の先生方を尊敬している。
🍵今の関心事
ゆっくり進む善いことの見届け方。
Nreal Airを買うかどうか(たぶん買わない)
海外リモートワークビザ、どこのものを取るか。
8月に予定している1人長期経営合宿、どこでやるか。
🥑活動報告
先週献血に行き、2月中旬で既に4回目/年です。上限規制が12回/年のようで、実施ペースを落とそうかと思っています。
お仕事が盛り上がってきています。同時に、私けっこうできるやんけ、という自信も少しずつ積み上がってきています。あと1.5ヶ月ほど、息を止めて走ろうと思います。
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今週もHappy Weekを✨✨