神戸から、おはようございます。
昨日14日で32歳になりました。32=2^5で表現できるように、なんとなくキリのいい数字で、気持ちいい数ですね。2月14日は、世間の皆様にとってはバレンタインデーでもあり、私にとっては自身の誕生日でありつつ母方の曾祖母の命日でもあります。
私にとって、誰かの誕生日や命日、あるいは毎年ある祝日や行事ごとは、時間がただ前に進んでいくものというだけではなく、同時にまわるものであることを意識させてくれる、素敵なタイミングです。普段生活をしていると、時間はどんどん過ぎ去っていく、ただ消費する・される対象のように捉えられがちです。「あー、時間を無駄にしてしまった」みたいな。こんな、直線的な時間感覚は極めて近代的なもので、「無限の存在である神が創造した有限な世界」という世界観と調和した時間感でもあります。(じかんかん、口に出して言いにくいですね)
この直線的な時間感は、なにか目標に向かって進んでいく・進めていくことととても親和性の高い考え方だと思います。直線の向こう側に目標をピン・Pingして、そこから逆算するように、時間軸に並行する形で行動を落とし込んでいく。プロジェクトマネジメントの王道です。そこでひかれる時間軸は直線の矢印で、ブレや揺らぎは許されません。
そんな時間の進め方をしていると、いつかこう考えるようになるのではないでしょうか。「この時間は、どこに向かうのだろう」「少なくとも自分自身は、この時間の中で、どこに向かっていくのだろうか」と。(コンサル3年生くらいの時、自分が感じていた “何かおかしいな”という感覚は、今にして思えば↑のような問いに端を発していた気がします)
ルネサンス期の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチは、
In rivers, the water that you touch is the last of what has passed and the first of that which comes; so with present time.
川で、あなたが触る水は一番最後に過ぎ去ったものであり、また一番最初に来るものでもある。現在という時も、それと同じだ。
という言葉を残しています。上流から下流に流れ去っていくものでもあり、海から山へと循環するものでもある。そして流れ去ったものでもあり、これから流れてくるものでもある。時間とはそんなものなのかもしれません。局所的には進んでいるように見える時間も、少し視点を引けば、ぐーっとどこかを巡っているのかもしれません。
目標に向かって突き進むために真っ直ぐな時間を生きることは、概ね気持ちよく、充実した毎日を過ごすためには必要な感覚です(松下幸之助しかりナポレオン然り、時間を無駄にするな、と説く偉人には事欠きません)。しかし、進むだけでは絶えてしまいます。たまには腰を据えて、巡る時間、まわる時間にも想いをはせてみようと思っていて、誕生日はそんな機会にもってこいなのかもしれません。
時間感覚の在り方は、その時々のその人の心の在り様に左右されます。一般的に時間は、「~~したい」という願望がかなえられる時には「早く」、そして願望の充足が「~~しなければ」という心の働きによって妨げられる時には「遅く」感じられると考えられています。また、歳を取るにつれ時間が経つのが早いのは、加齢によって「願望」が弱まり、結果的に欲求不満状態が緩和されるためです。
(心の杜:コラム「心の丸窓」)
米国で進む麻薬依存症問題・オピオイド危機について扱った書籍・DOPESICK~アメリカを蝕むオピオイド危機~の中で、「一般人にとっての “未来”は平均して4.7年先のことを意味している一方、依存症者にとっての未来はわずか9日先を意味する」という時間感覚の違いを指摘している部分がありました。(pp.155)
みなさんにとっての未来とは、いつでしょう。みなさんにとっての時間は、どんな形をしているのでしょう。また教えてください。
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ここからは、私が今週観たものや聴いたものなんかを紹介していきます。
✏️読んだ/読んでいる
📃記事
企業が「才能ある人材」を求めるのは間違っているという指摘 :Stack Overflowの創業者であるジョエル・スポルスキさんが書かれたブログを基にした記事。スキル・能力は静的なものではないというのは強く同意で、よりメタに見ると物事を動的・静的いずれでも観察するのは大事だなという学びもありました。 (Link)
ロジカルシンキングのプロセス:ロジカルシンキング= “なぜ” を考えること、みたいな理解で止まらないために。学生や若手社会人の方によくシェアしているんですが、いつ読んでも素晴らしい記事です。(Link)
「なにがわからないか、わからない」ときの質問のしかた:わからないときでも自分の思考のプロセスを明示する、という姿勢。「2台目の掃除機を買う時に」という例・イメージが素晴らしいなと。とにかくいい記事でした。 (Link)
キルギス山間部の教育テクノロジー:人口の60%がネット環境に接続していないキルギスで、学生が接続できるローカルWi-Fiホットスポットとして機能しているilimbox。中に入っているのは、本や動画だけではなく、英語・ロシア語・キルギス語で書かれた400万本のWikipedia記事。面白い。 (Link)
電波で人の感情を捕捉する研究:ロンドンのクイーンメイ大学の研究者が、恐怖や嫌悪感、リラックス度などを心拍変化等を検出する電波を通じて計測するアルゴリズムを発表。精度は71%でまだまだだが、既存研究の40%を大きく上回る点で価値があると。軍事利用の可能性にも触れられています。 (Link)
声を上げる中東のインフルエンサー:クウェートで最も人気のあるインフルエンサーの1人、Xeina Al-Musallamさんが根強く残るセクハラやジェンダーイシューに声を上げる。 (Link)
カンガルーケアを世界に:低体重児や未熟児のケア方法としてスカンジナビア諸国などで取られる、母子で肌を触れ合わせながら抱っこする手法。体温保持や感染症予防、心拍安定などの効果が小規模研究では認められていると。 (Link)
メディアへの信頼は消え去った:テレビや新聞の情報を信頼できると評価するアメリカ人の割合が過去最低46%に。SNS情報への信頼度も最低27%。翻って日本、テレビ報道でこんなことがなされているようで、何か構造が違えているのではと思います。 (Link)
ちょうど1年前の記事「なぜ欧米人はマスクをつけないのか 口を隠すと不気味?」:日常の当たり前は、こんなにも脆い。2020年2月15日時点での中国でのCOVID-19感染者数は6万6千人超、死者は約1.5千人でした (Link)
📙本
ベス/メイシー「DOPESICK~アメリカを蝕むオピオイド危機~」:ここ数年、米国のオピオイド問題に関する記事を見てきましたが、やっと全体像と個別の問題が繋がって理解できた気がします。いい書籍でした。 (Link)
林壮一「底辺のアメリカ人~オバマは彼らの希望となるか~」:2008年オバマ大統領が初当選した大統領選が行われていたアメリカで、貧困の中にある米国民一人一人にインタビューをしていった本。2009年発売。いまなら、いろんな答え合わせが出来る。そして、戦争が人を疲れさせるということもわかる。 (Link)
二宮敦人「最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常」:マンガ・ブルーピリオドの最新刊も出ましたし。ぜひ。 (Link)
不死身の特攻兵:マンガ。最終10巻まで読み切りました。戦争は悪だ。その中に含まれる意図や意志が全て善だったとしても、総体として悪になる。それが戦争だ。 (Link)
Shrink~精神科医ヨワイ~:マンガ。「僕はこの国に、もっと精神病患者が増えればいいと思っています」 私もそう思います。 (Link)
BADON:マンガ。刑務所出所後に高級煙草店をはじめる4人の男たちのお話。 みんなクールでダンディ。こうなりたい。(Link)
🎥観た/観ている
火星ミッションの歴史:44年前に打ち上げられいまは海王星の向こうへと飛び立っていったボイジャー2とまた交信が出来るようになった今週。4分の動画の中にある、ミッションが成功した瞬間の司令室、喜びの爆発。人類の夢がここにある。 (Link)
Pinterest バレンタイン特集:バレンタインメイク、ってなんだ??? (Link)
📻聴いた/聴いている
「8時間勤務中ずっとGet Wild退勤」プレイリスト:集中するときにはやパリコレ。退勤できないけど(Link)
Sing, Sing, Sing:日常にはジャズとリズムが必要だ。 (Link)
《働くことの人類学》タウンホールミーティング』:聞けば聞くほど、このまま気ままに生きていこうと決意するPodcastシリーズ。 (Link)
🧩感じた/感じている
1時間に1回深呼吸とストレッチをしよう。
やることよりも「やっている感」を出すことを大切にした結果、世の中に不均衡と淀みが増えていく。
「客観的であることが主観的であることよりも優れている」という主張は決して客観的に正ではない。
自分が考えるべきことを他人に考えてもらって、それを恥ずかしいと思わない人間にはなりたくない。
「知らんけど」「知らんがな」をもっと気軽にいうと良い。
春は近い。
🍵今の関心事
社会正義はどんな時間軸で移ろいゆくべきか。
手につかないときに、手につかないものに、どう手につけるか。
午後のおやつに適しているのは、プロテインバーか、はたまた昆布か。
客観性=正、と考える顧客の心をいかに溶かしていくのか。客観性がなければ判断できない人間の再生産を自分がどの程度許容するのか
寝るときに耳栓をすると自分の心身にどんな影響が出るか
🥑活動報告
ポッドキャスト・Cobe.fmで、「フォークの歯はなぜ4本になったのか」の回が進んでいます。次は「セールスマンの死」を予定。(Link)
近々、書籍が出る予定で、1月末で第1稿書き上げました。これから編集・校正で、もう一踏ん張り。発売は今年4月を予定しています(To be Updated)
4-5月で、テニスのシングルス大会にエントリーしてみました。トレーニングします。(To be Updated)
4月~GWはお仕事おやすみ期間にして黙々と読書します。楽しい本がたくさん積んである。(To be Continued)
みなさんの、読んで面白かったものや考えていることなんかも、ぜひコメントやメール、SNSなんかで教えてください。
たまたまこの過去記事を閲覧していたのですが、明日2/14がお誕生日なのですね!よい1年になるとよいですね!