神戸から、おはようございます。暖かくなってきて、すっかり春ですね。
写真創作家の古性のちさんの作品が好きで、特に新しい季節が立ち上る時期にはついついPinterestで検索して言葉を見に行ってしまいます。
「2020年に出会った美しい日本語たち」をみて、写真の美しさはさることながら、季節を素敵に表す日本語の豊かさに驚かされます。「うららか」という平仮名4文字だけで春という季節やあだやかな日差しが連想されるし、小春日和ときくと暖かな秋の風景が目の前に浮かんできます。
ランカスター大学の言語学者・パノス・アサナソプロスらが2015年に発表した研究で、「ふたりの人物がまったく同じ出来事を目撃しても、その捉え方は各々が使う言語によって異なる」ことが明らかになりました。
被験者に、自動車の方向へと歩いている人物の動画を見せた。その様子を言葉で描写させたところ、英語を母国語とする人の多くは「人が歩いている」動画だと答えたのに対し、ドイツ語を母国語とする人の多くは「自動車に向かって歩いている人」の動画だと答えたのである。
つまり、ドイツ語を母国語とする人は、人物の行為だけでなくその目的も一緒に描写する傾向があるのだ。なぜなら彼らの言語は、出来事を全体において考察する、全体論的観点をもつ言語だからである。これに対して、英語を話す人は、行為そのものだけに注意を集中させる傾向を持っているようだ。
(from Wired.jp)
このほかにも、話す言語によって記憶される内容が異なる、という研究もあります。(より正確には、『ある事件・事故が起きた時に、目撃者の記憶が話す言語によって異なる可能性がある』ことを指摘したものです)
自分が使う言葉が、自分自身の記憶・観察・思考を規定します。豊かで多様な言葉を丁寧に話したり、書いたり、聴いたりすることで、複眼的視点で物事に当たれるひとになりたいなと、常々思います。
この3月、改めて辞書(新明解と大辞林)を買い直してみました。言葉の豊かさは、感性や思考の豊かさに繋がるはずです。みなさんもよければぜひ。
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ここからは、私が今週観たものや聴いたものなんかを紹介していきます。
✏️読んだ/読んでいる
📃記事
いつまでも初心者でありたい:子供と一緒にチェスを一から学びだした方のお話。新しいことに取り組むのは楽しいし、そして習い事は自己意識を高め、仕事・業務などでもたらされるストレスのバッファーになるとも。私も30歳になってからテニスを一から始めたのですが、40代でのベテランオープン大会優勝を目指して頑張っています。勇気が出る、良い記事でした。 (Link)
仮説思考 is for everybody:仕事のお客さんに「現状での仮説を教えてもらえますか?」と問いかけて「仮説…??」みたいな反応をされることがあり、改めて見直した資料です。タイトルには “スタートアップ”とはいっていますが、仮説思考を改めて身につけたい方全般におすすめできるDeckです。頭を使って仕事をする方にぜひ。 (Link)
生産性監査、入ります:10個の質問で、自分の仕事ぶりを振り返りませんか?ただ目の前のことをこなしていくよりも、もっと楽しい仕事との向き合い方があるはずですし。 (Link)
What is the first thing I do in the morning?
How do I manage my calendar?
How much time do I dedicate to deep work during a typical day?
How many breaks do I take during a typical day?
How do I cultivate my curiosity?
Do I have time for self-reflection during the week?
Is my physical workspace setting me up for success?
Is my digital workspace setting me up for success?
How do I know the work day is over?
What is the last thing I do in the evening?
火星の空を飛ぶヘリコプター:人類史上はじめて、他の惑星の空を飛ぶ機体がお披露目。初飛行は早くても4月1週目とのこと。夢をのせて。 (Link)
手術後フォローアップ、遠隔でほぼ対面と同等の満足度:膝半月板の関節鏡手術後の患者を対象にしたランダム化比較試験。患者様の平均満足度(0~10点満点)は、オフィスでのフォローアップが9.77点、遠隔医療でのフォローアップが9.79点だったとのこと。痛みのスコア改善度もほぼ同等。 (Link)
妊娠中の運動、子供の将来の健康状態に寄与するかも:まだマウスでの研究のレベルですが。妊娠中にお母さんが運動すると、代謝関連の疾患に繋がる要素が子供に引き継がれにくくなる可能性があると。人間についてもなりたつかを研究するためには長い時間ととんでもないお金がかかりそうだ… (Link)
睡眠改善、飲み物に意識を向けてみては?:マットレス等を展開するコアラスリープ社が全国の1千名を対象に睡眠満足度調査を実施。睡眠満足度が高い地域と低い地域で個別要素への取り組み程度を比較したレーダーチャートが面白かったです(↓)。地域や職種などの切り口でもデータが示されていて面白かったです。高校生の睡眠状況もLINEリサーチの結果が出ていたのでこちらもぜひ。 (Link)
ニュースレターをどう始め、運営するか:3万人以上の読者がいるDense Diversityがどのようにサービスを始めたのかをまとめたアーカイブ記事。いまなら、Notionとかを使うとシンプルかついい感じに出来そう。 “I’m not proud of still using Google” の部分で笑いました。 (Link)
Substackのビジネスは詐欺か:ニュースレター配信者にとっての公正・公平な場を提供する、としつつも、一部のエリートライターに資金援助を行い、ニュースレター配信は儲かると見せかけようとしていたのではと指摘されているSubstack。改善は続くか。 (Link)
Notion共同創業者のインタビュー:そうか、Notionはレゴなんだな、と腑に落ちました。トースターが欲しいよ、という人は別のものを使えばいい。自分が好きなようにつくってそれを使いたい、という人には再校のツールなんだな。 (Link)
📙本
宮野公樹 著「問いの立て方」:「問いについて問う」ことをテーマに、考えることそのものにアプローチしていく良著でした。問いや考えの背景にある世界観や生活観、仕事観、そこまで深掘って行くべきで、そこに至らなければ有効な問いにはならんのだなと。浅いハウツーが書かれたものではなく、深く深く探求していく内容でした。 (Link)
楊海英 著「内モンゴル紛争 - 危機の民族地政学」:中国の民族問題がイシューになっていることはなんとなく理解をしていたつもりだったんですが、この本を読むまで、内モンゴル自治区、新疆ウイグル自治区などはこれまで自分の環世界に (Link)
乙嫁語り:Podcastパートナーのみきさんからおすすめして頂いたマンガ。中央アジアを舞台に、遊牧民族の生活を描きます。↑の本で内モンゴル紛争のハード知識を入れてから読むといろいろ思うところがあるぞ。 (Link)
🎥観た/観ている
BS1スペシャル「モーリシャス 汚れた海 失われた楽園の長き闘い」:2020年7月に貨物船が座礁し、1千トンの重油がマングローブが茂る貴重な湿地帯を襲った モーリシャス。ロックダウンにより観光業主体の経済に深刻な影響がある中で、いま、何がおきているのか。サトウキビの藁や自分の髪までもを提供し、お互いに助け合いながら、1ヶ月オイルフェンスを作り続けたシーンはグッときました。結束。NHKオンデマンドでぜひ。 (Link)
又吉直樹のヘウレーカ!「ボクも100歳まで生きられますか?」:仲野徹先生の本も大好きなんですが、語り口も大好きです。 (Link)
📻聴いた/聴いている
yama - 春を告げる:3/20@大阪のライブに行くはずだったんですが体調の関係で。 (Link)
Rebuild 261: Chumby Is Still Alive (N):去年の3月、COVID-19や米大統領選はこんなトーンだったな、と記憶バイアスを補正できました。西山朋佳三段、来期での四段昇段に期待。心から応援してます。 (Link)
🧩感じた/感じている
ロジックだ感性だといろいろありますが、結局は世界観・パースペクティブの問題で、パースペクティブの旅が最も楽しい。
昼間暖かく日が沈むとひんやりする気候、好きです。
Oura Ringの睡眠トラッキング・行動推奨の精度に驚いています。睡眠品質を中心にして日中の行動を調整するの、悪くないです。
いろんなカップ麺がコンビニに並ぶが結局シーフードヌードルに帰る。
テニス、上手くなってきている気がします。
🍵今の関心事
(少し前の関心事が再興しているんですが記事 “Trump starting to fade from view” を読んで)トランプおじちゃん、2021年、ゴルフ以外に何をするのか
次にどの方向で自分自身をレベルアップ・チューンアップしていくか
40歳の時の自分はどんな成果を出す仕事人になっているか
W800の次に乗るバイクをどれにするか
将棋で三段に昇段するためにどうするか。相掛かりと横歩取りをどうさしこなし、速度計算の精度を上げ、大局観を磨くか
🥑活動報告
3月末納品のお仕事、ほぼほぼ目処がついてきました。お客さんがすごく喜んでくれて、かつ彼らのアクション磨き込みにも実際に貢献できたので良かったです。4月少しゆっくりして、また次のプロジェクトを探しに行こうと思います。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)の治療法開発を支援している「せりか基金」にファンディングしました。何か再配分や外部性に基づく問題があるときに、その解決を政府や行政に求めるのではなく、自分自身でできることをやろう、と考えるようになったのは経済学を学んだ一つの恩恵かもしれません。学術研究クラウドファンディング “Academist”もよく見ています。関心がある人はぜひバックしてみてください。 (Link)
ドングリFMの3/11関連エピソードを聴いて、災害対策の文脈で自宅にAnkerの大容量・非常用電源を買ってみました。過去の災害を振り返るだけではなく、これからのために準備もしておくのが大事だな、と感じます。 (Link)
日々のお仕事と併行して進めていた書籍なんですが、4月下旬発売(4月中旬予約開始)になりそうです。情報収集を狭義の、情報を使って考えたり行動することを広義のテーマにしている本なので、いろんな方に届くといいなぁと思っています。書店や図書館に並んだら、ぜひ手に取ってみてください。 (to be updated)
みなさんの、読んで面白かったものや考えていることなんかも、ぜひコメントやメール、SNSなんかで教えてください。