毎日更新の日々もあと1週間となりました。エッセイや詩、本の紹介などをたくさん書いてきたら、月曜のここで冒頭書くことまで吐き出してしまいました。
いくつかお気に入りです。9月以降も、気が向いたら不定期で、何か書きます。
詩の時間:『座布団』(山之口貘)
座布団、山之口貘土の上には床がある 床の上には畳がある 畳の上にあるのが座浦団で その上にあるのが楽という 楽の上にはなんにもないのであろうか どうぞおしきなさいとすすめられて 楽に坐ったさびしさよ 土の世界をはるかにみおろしているように 住み馴れぬ世界がさびしいよ
お便りをお待ちしています。
💼心惹かれたもの
川中島白桃:夏の魅力あるフルーツ・桃。果肉の柔らかい黄桃もおいしいけれど、かための食感の白桃もやみつきになります。信州・長野の川中島白桃、最高にうまいのでぜひ買ってみてね。 link
Pebble Index01:「あれ、あのとき考えてたことなんだっけ?いいアイディアだったのに・・・」を日々体験する私と同年代の皆さまに。ボタンをペコッと押して録音開始、文字起こしはiPhoneアプリやAPI経由で他サービスに吐き出されます。運転や移動が多かったり、思考がタイピング速度を追い越してしまう人におすすめ。昨日日曜のドライブ時に利用したのですが、精度十分、実用に耐えますわこれは。 link
✏️読んだ/読んでいる
📃記事
ノーベル賞晩餐会にはスウェーデン産白ワインを:2024年のブラインドテイスティング大会。欧州の銘醸12本を相手に専門家たちが総合首位に選んだのは、スウェーデン南部スコーネ産の白ワイン・イメレン(Immelen)だった。その一本は、後のノーベル賞晩餐会のグラスに注がれることになる。EUがスウェーデンのワイン商業醸造を認めたのは1999年、ワイナリーはまだ50ほどしかない。温暖化は欧州北部のワイン家に追い風にみえるが、造り手は局所的な激甚気象が北欧ワイナリーにも悪影響を及ぼしているという。しかし、耐寒品種ソラリスの誕生やニュー・ノルディック料理の隆盛は、当地のワイン文化をより豊穣なものにしている。醸造所のCEOはノーベル賞晩餐会で給仕として働き感想を盗み聞きしていたらしい。真剣な仕事師である。 link
甲殻類に学ぶ共生型データセンター設計:東南アジアのマングローブ林に生息するマッドロブスターは干潟に塚を築く。2メートル以上地面を掘り、中央に空洞を作って、そこから放射状にトンネルを伸ばすとともに、掘り出した土は地上塚として屋根の役割を果たす。マングローブ林と共生するこの設計コンセプトに刺激を受けたマイクロソフトチームは、マッドロブスター型データセンターを設計するに至った。プレハブ式のアーチ型木造の屋根、内部の床は圧縮土、土壌の補強が必要な部分には再利用可能なコンクリート製基礎が利用されている。稼働してから2年目になると、屋根の上は草原となり、鳥が巣を作り、窪地にカエルが住まうようになる。これもバイオミミクリー。 link
”人民元プラザ合意”は起きうるか:中国の貿易黒字は過大と呼ぶべき水準にあり、その根っこは輸出競争力ではなく、家計への所得移転を抑え込んだ中国の国内構造にある、というThe Economist論考。製造業強化を続ける北京政府は人民元は実力より安く据え置くことを国策として選択しており、内需拡大を進めていけば黒字は縮むというものでもない。直接的な対処法は人民元の大幅な切り上げだが自発的にその決断が下されることは望み薄で、あるとしたら”取引相手国の協調圧力”、つまり日本が1985年に飲まされたのと同じ筋書きが必要だろう。しかし中国は、プラザ合意後に日本を襲った円高不況、さらにはその後のバブル崩壊までしっかり研究しているはずだ。同じ手は二度通じない。link
アルゼンチン、ポロ経済だけは世界一:世界トップ30のポロ選手のうち27人がアルゼンチン人。昨年1〜11月には2,900頭の馬を38カ国へ輸出し、この分野の世界最大の輸出国でもある。高原で育つ優秀で安価なポロポニー、優れた技能を持つ騎手の蓄積、ポロ競技場に必要な平らな土地の豊かさ。これら素材優位を圧倒的な輸出産業にまで育てたのは、規制緩和でクローン技術まで受け入れたポロ協会の判断だった。2010年には名馬のクローンが80万ドルで落札され、今ではクローンの仔馬だけを売って知財を守る生産者までいる。国全体では実現しなかった輸出主導の成長が、ポロというごくごく限られた産業の中では完璧に回っている。link
西側諸国の迎撃ミサイルが尽きる日:ウクライナの空で起きているのは、数百万ドルの迎撃ミサイルで数万ドルのドローンを撃ち落とすという、経済的に成立しない防空戦である。The Economistによれば、西側の迎撃弾は消耗に生産が追いつかず、NATO諸国への供給も遅れている。もし中国とドンパチを始めたならわずか数週間で完全な弾切れに陥るという見立てまである。冷戦後の軍需産業は少量高性能に最適化してきたが、安価なドローンを大量使用する消耗戦の時代はその前提を尽く破壊してきた。イノベーションのジレンマで語られた何かである。link
孤独なのは男性ではなく貧困層:中年男性の孤独、というのはコロナ禍以降よく語られたナラティブだ。しかしデータが静かにそれを否定しつつある。孤独の分布を分けるのは性別ではなく資産であり、社会資源である。富裕層は友人10人以上のネットワークを維持し、いっぽうの貧困層は孤立を強いられている。友情の維持には金と時間と移動手段が要る、という身も蓋もない事実がその背後にある。孤独対策が”男性の””心の”問題に矮小化されると、傾聴と居場所づくりがその処方箋と誤って解釈されてしまう。処方箋を出す側にとって、金を配ることは出来ないけれど、傾聴会!のような謎イベントを企画することはできるから、問題は一向に解決しない。 link
なぜタクシー運転手はボケないのか:2024年にBMJに掲載された研究で、米国の2020〜2022年の死亡証明書約897万人分を443職種に分類して調べたところ、アルツハイマー病を死因とする割合がタクシー運転手と救急車運転手で顕著に低かった(全職種平均1.69%に対しそれぞれ1.03%/0.91%。年齢、性別、人種・民族、教育水準を統計的に調整済み)。同じ運転業でもバス運転手は特段この値が低くないのが解釈を複雑化させている。路線バス運転手のように決まったルートをなぞるのではなく、毎回異なる目的地への最短経路を組み立てる負荷が海馬を鍛えるからだ、という仮説が著者らによって提示されている。ロンドンのタクシー運転手は後部海馬が物理的に大きいという古典的知見とも繋がる。交差点が多い、ランドマークが多い、目的地まで複数のルートがある、といった「頭の中で地図を作らざるを得ない街」に住んでいる人ほど、アルツハイマー病が少ないという研究もある。link
身体は正しさより先に強張る:美学者の伊藤亜紗が『身体の美学入門』の刊行に合わせて語る。もともと生物学者志望だった彼女は、ヒトゲノム計画全盛の要素還元主義に違和感を抱き、割り切れないものを扱う美学へ転じた人。記事で印象的なのは、意識では差別をしないと表明していても、身体はすれ違いざまに強張るという指摘である。言葉で片が付かない感性の領域に黙っていろと圧をかける社会は、身体から漏れ出す本音を引き受けられない。美学とは永遠に噛み続けられるガム、である。いい定義だと思う。link
男の自尊心は収入でできている:米国の若者たちの間で「男が一家の大黒柱に!」という伝統的価値観が復活しつつある。18〜34歳男性の37%が「男は働き女は家に」に同意し、過去最高値だという。男性の86%が大黒柱であることを男らしさの第一特質に挙げる現代において、夫の失業は離婚リスクを高め、経済的に不安定な男性の自殺念慮は16倍に跳ね上がる。味わい深い統計的事実として、宝くじに当たった男性は結婚するが、女性にその傾向はない。女性の77%が、男性の第一の特質として「一家の大黒柱であること」を選んでいる。 link
📙本
探求 エネルギーの世紀:地政学やエネルギー問題の専門家ダニエル・ヤーギンが15年前に書いたベストセラーをいま改めて読む。いまみな石油のことばかりを考えているけれど、あらゆるエネルギー源・変換/回収装置が21世紀の論点だぞ。太陽光!蓄電池!みたいな適当なことを言うのはやめような。 link
ヒトラーのオリンピックに挑んだ若者たち ボートに託した夢:「遥かなる山に向かって 日系アメリカ人二世たちの第二次世界大戦」の著者が同時代の米国を描く。主人公のひとり・ジョーの生い立ちの悲惨さは圧倒的で、かつ独特である。彼がシェル艇のつくり手・ポーコックと対話し、チームメイトと打ち解ける描写に涙する。いい噺だよ。遙かなる〜のほうもそうだけど、仮に不条理が相対的なものだとしたら、現代日本は全く公平・公正な社会である。 link
ポーコックはそこで言葉を切り、骨組みから一歩後ろに下がって、腰に手をあて、作りかけの作品を注意深く眺めた。
「ジョー。私にとってボートをつくることは、宗教と似ているんだ。ボートをつくるには、細かい技術を身につけるだけでは足りない。心ごとぜんぶ自分を捧げなければいけない。自分自身を完全に明け渡さなければならない。だから、舟が完成してそれを手放すときには、自分の体の一部を、心の一部を、ボートの中に永遠に置き去りにしてしまったような、そんな気持ちがしなくてはいけないんだ」。
ポーコックはジョーのほうに向き直って、つづけた。
「ボートを漕ぐことも、それと同じだよ。ボートだけじゃなく、人生で起きる多くのことでも、それがほんとうに大切なものなら、同じことが言える。私の言いたいことがわかるかい?ジョー」。
ジョーはポーコックの言いたいことがよくはわからなかった。彼は少し落ち着かなげなようすで、ためらいがちにうなずき返すと、階段を下りてまた腹筋運動をはじめた。そして、ポーコックが言わんとしていたことを理解しようとした。(p.328)
📻観た/聴いた
Audible『言語化するための小説思考』:文体の肝は順番である、というのに目を開かれた。執筆過程にある偶然を逃さないこと。これはコンサルタントのお仕事も一緒で、ただプロセスに没頭するだけではなく、そこで生まれた小さな違和感やひらめきをいかに顧客に還元するかが力の見せ所である。 link
Audible『物語化批判の哲学 <わたしの人生>を遊びなおすために』:パズルは認知負荷が高いのだけれど「確実に正解がある」という安心感がそこにあるから取り組める。これは詰め将棋と同じ構造。詰め将棋が強い人が即将棋が得意な人ではないように、認知負荷の高いお仕事に取り組むのがうまい人が人生をうまく渡っていくわけでもない。自分だけのおもちゃを取りもどそう。 link
🧩感じた/感じている
代替を『だいがえ』の誤読、なぜみんなするんだろうか。同時に、なぜ私はしないんだろう。さて一方、わたしは約定を『やくてい』と読む癖は直らない。口馴染みだろうか。
原油価格、何か一つきっかけがあれば、一気に150ドルを超えそうだ。
二つの道で迷った場合は、すぐに結果が出ない方を選ぶほうがよい。
🍵関心事
ジャパン・テニス・ライジング・ファンドの運営と繋がるために、BCG時代の同僚に紹介をお願いしたのだけど先方からは梨の礫らしく悲しい。無視されない人間になるために、私はこれから何が出来るだろうか。
テニス・全米オープンの予選が始まる。錦織圭選手は本戦出場なるだろうか。
日々の生活に、調和・バランス・リズムをどうもたらすか。
🥑活動報告
あと1週間で当社Cobe Associeの第8期目の締め。1年間、おつかれさまでした。
来年度もご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。
お便りをお待ちしています。








